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創世のソード・ブレイカー  作者: 柚木りん
第二章 思い出の鍵
5/70

● 封じられた真実よ ●



「ファレル!そっち行ったぞ!!」

「分かってます!ハァァァ!!」




旅に出て数日がたった。

相変わらず魔物は無数にいるので、襲ってくる奴は片っ端から退治している。

そのおかげか、ファレルの武器の扱いは上手くなっていっていった。



「・・・はぁ・・・」

「おつかれ。大丈夫か?」

「まぁ・・・なんとか。でも()()()の方はまだまだですね。うまく攻撃出来ません・・・」

「結界か・・・」



ファレルの武器はアイラさんの弓を使っている。おかげで魔力も込めやすく、初日で使いこなせていた。

しかし、本来の武器の結界の方はうまく形に出来ず、防御にも使えていない状態だった。



「形は頭の中で想像し、あとは指先に魔力を込めて想像した形を放出するって感じなんだけど・・・」

「分かってはいるんですけど・・・なかなか難しいですね。」

「まぁまだまだ魔物はいるんだ。経験を積みながら慣れてくといいよ。」



ファレルの結界は、攻守強力な武器になる。

使いこなせれば怖いもの知らずなんだが・・・さすがのファレルでもこればっかりはすぐには無理か。



「・・・今なんか悪口言ってませんでした?」

「え゛!!言ってない言ってない!!」



テレパシーでも使えるのか!?


◇◇◇



~商業の街・ラクト~


「ここが次の街・・・」

「ここは商業が盛んで、結構便利なものがいろいろ置いてあるんだぜ。」

「・・・やっぱり街ごとにいろいろと違うんですねぇ・・・」



ようやく次の街についた。

昔は車とか馬車とかいろいろな移動手段があったんだが、魔物が増えているこのご時世、街から出る者はどんどんいなくなり、今では乗り物は何もない。ゆえに移動はすべて徒歩だ・・・



「ま、政府だけは車とか持ってんだけどな。」

「ここで何か買うんですか?」

「あぁ、一番の目的はここの闇市だ。」

「・・・今なんかサラッと聞き捨てならないことを言ったような・・・」

「さぁ行くぞ!!」





◇◇◇



カランカラン・・・



「・・・いらっしゃい、おやあんたか・・・」

「久しぶりだなコルス!今日はあんたに頼みがあって来たんだが。」



ここはラクトの地下街にある闇市。

上層部とは違い、ならず者達が集まり開いている店には、裏ルートで手に入れたヤバいものがいろいろある。

そのうちの一つのボロボロの店に入る。

そこにいるのは俺の昔からの知り合いだ。



「・・・今日は珍しい顔もいるものだな。」

「あ・・・ども、ファレルです。」



見た目ちびの超よぼよぼのじいさん相手にさすがに少し驚いているファレル。

この人は俺の協力者だ。



「この人はコルス。様々な品を売ってくれるんだが、なぜか俺の動きを読むように行く先々にいる店主だ。

 ちなみに品は情報もあり。見た目通りの奴とはかぎらない。」

「・・・はい?」

「なんちゅう説明してくれるんだい!・・・それで?今日はどんな用だ・・・?」

「・・・〝灰色の封龍(はいいろのふうりゅう)″の居場所だ・・・」

「・・・これはまた・・・高くつくぞ。」

「構わない。知っているなら話してくれ。」



俺は一番聞きたかったことを聞こうとした。

すると蚊帳の外だったファレルが会話に参加した。



「・・・あのー、盛り上がってるとこすみませんけど・・・今、龍って言いました・・・?」

「あー・・・」




今人間達は魔物に追われ、龍の存在など忘れていることだろう。

しかし、確かに存在するのだ・・・龍は。



「・・・この世界は創世龍(そうせいりゅう)が創ったって言われているだろ?その言葉通り、龍がこの世界を創ったんだ。

 そして当時はまだほかにも龍はたくさんいたんだ。今言った灰色の封龍ってのはその当時、人間が封印した龍だ。」

「え・・・・・・」




・・・さすがのファレルも理解は出来ないだろう。話が壮大すぎるし・・・

今はファレルは置いておいてコルスと話を進めようとした時・・・



「・・・その前に、なんであなたはそんなこと知ってるんですか・・・」

「・・・え」

「ずっと気になってましたけど・・・あなた達、一体何者なんですか・・・」



思わぬ返答にこっちが驚いた。

さっきの龍の話は理解したのか・・・

どう返答しようか考えてた時・・・



「モルドー渓谷だ」

「「え・・・」」



突如コルスが口を開いた。



「あんたが欲しがっていた情報だ。お代は魔物の鎧甲千個だ。」

「え!ちょっま!!多い!!」

「これぐらい安いもんだろう。ほれ、足りない分は外で貯めといで」

「・・・こっの!行くぞレッカ!!ソッコーで集めてくる!ファレルはここにいてくれ!」

「は!?ってちょっと待ってください!!」



ファレルの制止も聞かず、俺はソードブレイカー(レッカ)を発動して飛び出す。

今ファレルを連れて行くと何言われるかわかったもんじゃないからな・・・

・・・せめて、封龍のところに行くまでは・・・





◇◇◇




「・・・・・・」



あっと言う間に置いて行かれた俺はすることなくとりあえず店のソファーに座る。

ルイスにあしらわれ怒りは覚えるが、それをぶつける相手がいないのでどうしようか考えていると・・・



「・・・あんたは結構思ってることが顔に出るタイプだな・・・」

「え・・・」


我に返って思わず手を顔に当ててしまった・・・

ルイスが出て行ってからおとなしかったコルスさんが口を開いた。



「・・・ルイスやわしらのこと・・・気になるか?」

「そりゃあ・・・まぁ・・・」



その時に気づいた。

今まで店が暗くて分からなかったが、この人・・・眼が・・・金色だ・・・



「・・・わしは、人ではない・・・」

「・・・は!?」



いきなり予想もしないことを言われ、思わず素っ頓狂な声が出てしまった。



「お前さんは・・・もう龍はいないと思うか・・・」

「え・・・それは・・まぁ、でもさっきあなた達が話してましたけど・・・」

「あぁそうだ・・・龍は確かにいる。そして、今もまだ何体かはいるのだ・・・」



・・・たんたんと話すのでもう突っ込むことも忘れていた。



「わしは・・・そのうちの一体だ・・・」

「・・・龍って人に化けられるんですか・・・」

「・・・人に魔力があるように、龍にも魔力はある。それを使えば、化けるのなど容易いものだ・・・()()()()()()()()()()・・・」



へぇー・・・そうですか・・・もう突っ込まないぞ・・・



「・・・お前さんが気づいたように、龍は人とは瞳の色が違う・・・案外近くにもいるかもしれんぞ・・・」

「・・・!」



そう言われて思い出した。

ルイスの瞳は・・・赤色ってことに・・・

俺は恐る恐る・・・コルスさんに聞いた。




「あの・・・なら・・・ルイスは・・・?」

「・・・いずれ分かるさ・・・」



・・・さすがに話してはくれないか・・・

だがこれで確信に近づいたんじゃないのか・・・



「・・・あんまり思い詰めるな・・・あいつは・・・遅くなってもきちんと話してくれるぞ・・・」

「・・・あなたは・・・あいつのことよく知ってるんですね・・・」



そう言うと彼は何も答えず、静かに笑っていたのだった。




◇◇◇




「ただいまぁーーー!!!」




滑り込むように俺は店に返って来た。

きちんとお代の魔物の鎧甲を持って・・・



「・・・つ、つかれたぁー・・・」

「・・・お疲れ様です。」

「お・・・」



床に倒れこんでいたらファレルがのぞき込んで・・・



——————ゴスッ!!!——————




「い゛!!!いったぁーーーー!!!」



・・・踏まれた・・・



「なにすんだよ!!」

「・・・これぐらいは許される範囲かと。」

「う・・・」



わーやっぱこいつ怒ってるー・・・

まぁしょうがないけど・・・いずれちゃんと話すから・・・



「・・・やっぱこいつ腹黒だ・・・」(ボソッ)

「・・・なんか言いました・・・?」(にこぉー)

「・・・すみませんでした・・・」



・・・こいつ怒らせたらやべぇー・・・



「たしかに、お代はいただいたよ。」

「・・・これ、一体何に使うんですか?」



俺を放置してファレルが気になっていたことを聞いた。

コルスはお代を片付けながら・・・



「ルイスから聞かなかったかい?魔物の素材はそのまま武器に使えるんだ・・・これだけあればいろいろな武器が作れるよ・・・」

「あぁ・・・なるほど。」



二人がそんな話をしている間に俺は旅の支度をし終えた。



「ファレル。さっき昼食も買ってきたんだ。行きながら食べよ。」

「・・・えぇ。」

「あ、ちょっと待ちな・・・」



ファレルの機嫌が変わる前に外に出ようとしたら、コルスが何か棚からごそごそしながらファレルを呼び止めた。



「あんたはちょっと出てな・・・」

「え!なんで!」

「いいから!・・・またそいつの雷を喰らいたいかい・・・?」

「うっ!」



なぜファレルを呼んだのか分からなかったが・・・しぶしぶ外で待つことに。



◇◇◇



「・・・行ったか。」

「・・・なんですか?用ならルイスの方がいいんじゃないんですか?」

「あいつはもう持ってるし・・・」




持ってる・・・?一体何の話だ・・・



「これだ・・・」



そう言って渡したのは、白いバングルだった。



「・・・これは?」

「これは魔力を込めることが出来る道具だ。上手く使えば移動も楽になるぞ・・・」

「え・・・」

「ルイスは(ブレード)を羽の形にして空も飛べるが、お前さんは何もないだろ・・・これなら魔力を形にする練習にもなるぞ・・・」

「・・・なんで俺のこと知ってんですか・・・」

「・・・これでも情報屋だからな・・・わしの情報網は伊達じゃないぞ。」



もうほんとに突っ込まないぞ・・・

でも・・・ま、



「・・・ありがとうございます。」

「ルイスの相手も大変だろうが・・・まぁ頑張りなさいな。頼んだよ・・・」




◇◇◇



「何の話だったんだ?」

「プレゼント貰ったんです。」



外で大人しく待ってたら、やっとファレルが出てきた。

左腕には、白いバングルがはめられていた。



「さぁ、モルドー渓谷に行くんでしょ?早く行きましょう。」

「お、おう・・・」



急に態度が変わっていたから驚いたが、怒らせないうちに移動することにした。

目指すはモルドー渓谷。

封じられた龍の谷。



そこで話すよ・・・俺の・・・俺達のこと・・・


更新不定期になります(;'∀')

ちょっとずつだけ見えてきた真実・・・まだまだ先は長いです

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