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創世のソード・ブレイカー  作者: 柚木りん
第六章 新たなる地へ
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● 先詠みの人形(ドール) ●



◇◇◇



ようやく呼吸を整えたゲイルは、その龍の体で正座して改めて自己紹介とこれまでの経緯を話し始めた。



「コホン・・・ごめんなさいね、見ての通り愛に一途なので好みの子を見つけるとつい・・・(チラッ)」



ウフッと照れながらファレルとレイをちらちら見つめている。それに気づいたレイが慌ててファレルに向き直る。



「ちょっと待って!あれって俺もロックオンされたの!?」

「見捨てないでください・・・!」



レイの肩をガッシリ掴んで嘆くファレル・・・




そんな二人をよそに、ゲイルは本題を話し始める。



「アタシはね、あの中に助けたい子がいてそれでずっと(さぐ)ってたの。最近コルスちゃんもやって来てそれで協力するようになってね。」



「!あいつがお前に声かけたんじゃなくてお前からだったのか!」

「そうなの!入り込める穴が無いか飛び回ってた時に声がかかってね。」



ゲイルはその時の事を思い出しながら、最初からゆっくり話し始めた。



「まずはあの子と出会った時の事から話すワね。」




◇◇◇



= 今から三か月くらい前の話よ。アタシは山でお花摘みして暮らしていたの。動物達もたくさんいてそれはそれは楽しかったワ。 =



「・・・お花摘み・・・?」



思わずファレルが呟いていたが、すかさずゲイルが指をさす。



「そこ!突っ込まない!!アタシだって女よ?お花摘みくらいするワよ~!」



えー・・・っと男子一同心の声が聞こえる眼差しを向けている・・・



「分かりますお姉さま!」



なぜかリインはキラキラした眼差しを向けていた。



「「順応早!!」」



皆思うことは同じだった・・・



「あなた最高ね!撫でてあげるワ!!」



リインの事が気に入ったみたいでギュッと熱い抱擁を交わすゲイルとリイン。





ようやく離れたゲイルは気にせず話を戻した。




= ある日、小さい男の子が山に迷い込んで意識を失い倒れたの。その子は傷だらけでどうやら両親に捨てられたようだった。アタシはこれでも龍だから怖がらせないように動物達と協力して隠れながら手当てしたの。けど、意識が戻ったその子はアタシの事に気付いてた。その子は、不思議な力を持っていたの・・・ =




『出てきてよ・・・手当てしてくれたのあんたでしょ?オレはあんたがここに居るの知ってたから会いに来たんだ。ありがとう。』




「・・・・・・()()()()?それってまさか・・・」



ゲイルの話に出てくるその少年、明らかにただの子供じゃない。その力は・・・



「そう・・・その子は、()()()()()()()。」





◇◇◇



カツ、カツ、カツ・・・




暗いくらい檻の中、ここに足音が近づいて来た。おそらく、この市場を支配する役人・・・



カツ・・・・・・



足音は檻の前で止まる。いくら暗闇に目がなれたといっても暗いものは暗い。奴が男とは分かったが服装まではよく見えない。


その男は檻を思い切り蹴りつけた。




ガアアアアン!!!!




「「キャアアァァ!!」」



共に閉じ込められている女子(じょし)達が悲鳴を上げる。

びくびく震え上がる彼女達を男はニヤリと笑いながら口を開いた。



「オラァ!クズ共!今日は()()()の日だ!買われやすいように少しは綺麗に洗えよ!?」



男は叫びつける。それを聞いてさらに彼女達は震え上がる。譲渡会・・・つまりは金持ち共に奴隷として売られるという事だ。その後どうなるかは、大いに想像出来る。



男は譲渡会に出す者達を選ぶため、檻のカギを開けて中に入って来た。

・・・チャンス、だと思った。




「・・・待て。」

「あ・・・?」



オレの反応を見て不機嫌に振り返る男を、オレは胸ぐらを掴んで押し倒す。




ダン!!!



「グッ!!?」



急な事で受け身を取れなかった男は思いっきり背中から倒れた。オレはその上に(またが)り男を押さえつける。



「てんめぇ・・・!!!」



男は押さえつけるオレの腕を掴み振りほどこうとしたが、その前にオレはある提案をする。



・・・逃げるつもりはない。ここを乗り切っても他の場所にも敵はいるはず、彼女達を守りながら逃げられるとは思えなかったからだ。



「・・・提案がある。」

「・・・あぁ?」



男は訝しげにオレを見る。その手の動きは止まったので話を続ける。



「・・・この譲渡会、オレをメインに売りだせ。その代わり彼女達はまだここに残せ。」

「なんだと・・・?」



男はこの提案を呑むだろう・・・オレには分かる。状況を変えるなら、今日しかない・・・!






◇◇◇



「未来が視える・・・!?ホントなんですかそれ・・・」



ファレルが声を上げる。すぐにゲイルが説明をした。



「まぁ、条件はあるみたいなんだけどね。少し先しか視えなかったり、今いる場所の未来しか視えない・・・みたいな。アタシが確信したのはあの子が連れ去られる時だったんだけど・・・」



そう話した時、その時の事を思い出してか少し沈んだ顔色になっていた。



「・・・お前の目の前で、攫われたのか?」



するとゲイルは首を横に振る。



「んーん、ちょうど食料調達で飛んで行ってた時だったの。あの子はお留守番してるって言って残ってたんだけど・・・帰ってる時に空から奴らがあの子を連れ去ろうとしてるのを見つけたの。助けようとしたんだけどあの子が念話で『来るな』って言って止めたから・・・」



「ん?そいつ魔法使えるの?」



思わず聞いてしまった。



「あ、念話だけアタシが教えたの!連絡する時楽でしょ?」(てへぺろ☆)



えー・・・っとちょっと引いてしまった。だがようやく話が繋がって来たな・・・



「それでこっそり飛んで追いかけたら、あの奴隷市場に連れて行ってたの。空は結界で覆われていて地上はルイスちゃん達が知ってる通りよ。」



「なるほどな・・・」



奴隷市場は奴らが関わってる、それでゲイルの言ってる子が攫われた事と予知の事を踏まえると・・・



「・・・ゲイルの言ってる子は、奴らにとっては最高の素材なのかもな。」



こりゃ、早く助け出さないとヤバい事になりそうだ・・・


















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