● 珍警部登場? ●
◇◇◇
次の地へ向かうため、龍の谷からそのままクロウの背に乗り飛んでいる最中だった・・・
「次の目的地はどんな所なんですか?さすがに気が休まる所がいいですが・・・」
そんな中、ファレルが尋ねて来た。
俺は地図を広げながら答える。
「そうだな・・・確かそれなりに大きい町だったはずだ。その中心に俺の知り合いがいるんだが・・・ん?」
その時、皆の視線が俺に向けられているのに気が付いた。
「・・・ルイスって、どんだけ知り合いいるの?」
「また龍の知り合いですか?」
「・・・お前らほんと俺の事どう思ってんの?」
カイキとファレルの質問に答えるとレイが続けて聞く。
「ということは、そこにいる知り合いってのは人間のってことかな?」
微笑ましいと言わんばかりの笑顔で尋ねてくるレイの質問に答えようとした時、
—————— グゥウゥゥゥゥゥゥゥ・・・ ——————
盛大な音が聞こえた・・・
「今の・・・何?」
「下から聞こえたような・・・」
ファレルと一緒に前のめりになって下を覗き込む。すると、クロウが物凄くクシャクシャな顔をしていた。
「ク、クロウ・・・?どうした、大丈夫か・・・??」
「なーんか嫌な予感・・・」
ファレルの予感は・・・的中した。
「・・・腹、減ったぁぁぁぁ・・・・・」
====== ボンッ!! ======
クロウは大きなため息をつくとともに、身体が今までの小さなサイズに戻ってしまったのだ。
「はっ!!?」
「「え゛」」
そして一斉に落下し始めた・・・・・・
「どわぁぁぁぁぁああああ!!!?」
「「うわああああぁぁぁ!!」」
「クロウ!ちょっとしっかりして!落ちてる落ちてる!!」
クロウを両手で鷲掴みするが、すでにクロウはヘロヘロだった。
「・・・もう無理、腹減って死にそう・・・動けん・・・」
「このままじゃ俺達皆転落死だよ!!」
カイキは父のレイに問いただしてた。
「父さん!クロウにかけてた魔法切れてるんだけど!!?」
レイは落下してても笑って答えた。
「いやぁー、ずっと巨大化させてたしさっき谷でファレル君と結界も張ってたし・・・俺もあんまり魔力残ってなかったんだよね。てへっ☆」
「『てへっ☆』じゃないよ!!!(泣)」
こうして言い争っている間にもどんどん地上に向かって落下している。地面に叩きつけられるまであとわずかだろう・・・
考えている時間はない!!
「お前らなるべく固まれ!ファレルは結界!カイキは合図したら地面に向かって技を放て!!」
「わ、わかった!」
「了解!!」
俺の指示を聞いて皆すぐに行動してくれた。そして俺もソードブレイカーを発動する。
「行くぞレッカ!!」
魔力を風のように武器に纏わせ、それを一気に振り下ろす。
「カイキ!今だ!!」
「いっけぇぇぇー!!!」
カイキに指示を出し、魔力を最大限に込めた技を放つ。もう地面は目の前だった・・・・・・
====== ドオオォォォォン・・・・・・!!! ======
巨大な音と共に、土煙が舞う。
なんとか着地出来たようだった・・・・・・無事とは言い難いが。
「・・・ぐ、ゲホッケホ・・・皆、大丈夫か・・・?」
「なんとか・・・」
「グエ・・・吐きそう・・・」
ファレルもクロウも、目を回していたがけがはないようだ。
周りは木々に囲まれてる。どうやら街外れにある森の中に落ちたようだ・・・他の皆は・・・・・・
辺りを見回した時だった、リインが叫んだ・・・・・・
「・・・待って!キリヤがいない!!」
「なに!?」
まずい・・・今キリヤは魔物の身体・・・何も知らないやつが見つけたり他の魔物と出会ったら襲われる!!
「皆!急いでキリヤを探すぞ!!」
◇◇◇
「・・・うーん・・・?」
一方その頃、キリヤ本人はただ一人目を覚ましていた・・・・・・
「ここ・・・どこ・・・?」
・・・ガサガサ・・・
「!!!?」(ビクッ!!)
「・・・たしかこっちから声がしたような・・・ん?」
木の陰から現れたのは、部下と思われる制服を着た人々を引き連れた口髭の生えた男性・・・
「・・・・・・」
「・・・・・・」
お互い目が合って、固まってしまった・・・
先に口を開いたのは、部下の一人だった。
「・・・ハッ!!け、警部!魔物!対処!!」
「あ!!」
その言葉にその場にいた皆がハッとなったが、キリヤは急いで訂正する。
「あいやいやいやいや!!待ってください!俺こんな形ですけど人間ですから!!襲いませんから!!!」
両手を前に突き出し顔も一緒に精一杯振るが、ただの一般人に信じてもらえるとは到底思えない・・・
しかし・・・
「・・・ん?話す魔物・・・それって彼が言っていた・・・」
「え・・・」
そんな時だった。
「キリヤ!!無事か!?」
「〇☆▽◇×!!??!?」
後ろから声がかけられ、思いっきり驚いてしまった。するとぞくぞくと後ろから人が現れる。
「あ、ほんとにいた。」
「キリヤ!!!よかったーーー!!」
リインはキリヤの姿を確認すると、すぐに思い切り抱きしめた。
「・・・リイン・・・無事だった・・・よかった・・・」
お互い抱きしめながら泣きそうな顔になった・・・
その様子を見ていたルイスは、ふと、奥に立ち尽くす複数の人々に目を向ける。
「ん・・・?」
呆然としていた口髭の男性もルイスの視線に気づき目を向ける。
「ん・・・ってお前・・・」
「「あーーーー!!?」」
お互い指を指して叫びあった・・・・・・




