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創世のソード・ブレイカー  作者: 柚木りん
第六章 新たなる地へ
38/70

幕間① 現る標(しるべ)




◇◇◇



「ん・・・・・・」



違和感を覚え、ゆっくりと目を覚ます。

さっきまで操られた父さんと戦い、その後気を失った父さんを建物の中に運んで比較的綺麗な部屋のソファーの上に寝かせて看病していた。俺達もかなり消耗していたが、ルイスが『傍にいてやれ。』って言って任せてくれた。それからはリイン達にも手伝ってもらいながら看病していて、疲れて父さんが眠る横で頭を抱えてちょっと眠っていた・・・みたいだけど・・・・・・





「あ・・・れ・・・?」



さっきまでそこで眠っていたはずの、父さんの姿が、どこにも無かった。



「なんで・・・!!」



急いで起き上がり、ソファーに触れる。



「まだ・・・暖かい・・・!!」



それから駆け足で部屋を出て、隣の部屋で眠っていたリイン達を見つけた。




「ねぇ!!父さん知らない!!?」


「ぅえっ!?」

「えっなに!?」



二人は声に驚き、焦点が合わないまま辺りを見回しようやく俺に気づいて立ち上がり、ゆっくり近づきながら話をする。



「ぅあ・・・カイキ君・・・?何かあった?」

「父さんって・・・いないの・・・?」



ようやく状況を掴み始めた二人は、だんだんと慌て始める。



「・・・この部屋には来てないはずだよ!!」

「外に出ちゃったのかなぁ・・・」



この場で少し会議をし、その後皆で部屋を出る。しかしこの階の廊下にもほかに人の気配がない。やはり外に出てしまったのか・・・



「外にはルイス君達が調べものしてたはずだよね?とりあえず行ってみようか。」

「・・・うん・・・」



大丈夫・・・だよね・・・・・・?







◇◇◇



「・・・身体は、もう・・・いいんですか?」



驚きながら俺はゆっくりと質問する。彼の差し出す右手を取ることは出来なかったが、彼はそんな事気にすることもなく手を引っ込め話を続ける。



「あぁ、うん。大丈夫だよ。今までの事もぼんやりとだけど覚えている。君達の事も・・・カイキが、全力で頑張っていたことも。」




そう語る表情は先ほどの戦いを思い出しているのか、悲しげでもあり、苦しげでもあり・・・誇らしげでもあるように見えた。



「状況を確認したくて外に出たんだけど、君達が何かしてるのが見えてね。声をかけたんだ。だから俺にも手伝わせてくれないか?もともと俺のせいだし君達にとっても、一番必要なことだと思うけど?」



その言葉は少し挑発しているようにも感じ、俺達は少し警戒する。なんせ先ほどまでエギルにその身体を乗っ取られていた存在だ。一応診てはいるけど、まだエギルの力が残っている可能性も無くはない。

そう・・・思った時だった。


俺達の考えが分かっているかのように、彼は笑ったのだ。




「・・・安心してよ。もう()()()()()()()()()。それも合わせて、情報交換と行こうよ。」

「・・・・・・」




確かに、先ほどまでの邪悪な気配は無い・・・んだけど・・・何かが引っかかる・・・何だ・・・・・・?



「・・・・・・ルイス?」




ファレルが心配そうに見つめていた。それに気づいて、急いで取り繕うとした時・・・・・・遠くから、声が聞こえてきた。




「・・・・・・みーつーけーたーーーー!!!!!」(ドーン!)


「グエッ!!」




・・・カイキがクロウさんの背中に向かって、飛び付いて来た・・・・・・




「・・・お、おい、カイキ・・・?」



そこに居た誰もが呆気に取られていた・・・恐る恐る様子を見ると、どうやらクロウさんは前のめりに倒れてしまったらしい・・・

そんな事は気にもせず、カイキはギュウっと抱きしめていた。



「ねぇ!身体、もう大丈夫!!?痛い所無い!!?」

「い、今の方が・・・ダメージデカいよ、カイキ・・・」




そうとう痛かったのか、かける言葉に力がないクロウさん・・・しかしその様子を見たカイキは、クロウさんの頬や身体にぺたぺたと自分の手を当てながらようやく喜びをあらわにした。



「~~~~~っ!!!よかったーーー!!生きてる!!!よかった!!!」



俺達が周りにいることにも目もくれず、クロウさんをぎゅっと抱きしめ泣き叫ぶカイキ。その様子を見ていると、俺達の警戒心も解けていっていた。クロウさんはそんなカイキの様子に最初は驚いていたが、徐々にその目は優しい父親の目になり、そしてカイキの方に向き直りそっと頭を撫でるのだった。



「・・・あ・・・・・・」

「・・・ごめんな、心配かけて。でももう大丈夫だから。ありがとう。」



その言葉を聞いて、カイキはさらに泣き出してしまった。その声は言葉にならないほどに・・・

しかしクロウさんは、それを見ていたずらっ子のように笑う。



「・・・しっかしカイキ・・・お前いつからそんなに甘えたちゃんになったの?(にっこり)」

「・・・!!!?!!??」




・・・ようやく辺りを見回し状況を理解したカイキ。すると一気に顔が真っ赤に染まるのだった。



「ぅあ!あ!?」

「カイキ君・・・分かりやすく慌ててる・・・可愛い♪」

「こう見るとやっぱり年相応の子供だねぇ・・・♪」



リインとキリヤが子供の成長を見守る親戚の人達のような顔をしている。



「~~~~先、部屋戻ってる!!」


「あ、逃げた。」




カイキはすぐさまクロウさんから引きはがされたように離れ、照れてるのを見られないよう俯きながら全速力で駆け出すのだった。



「あはは・・・イジリすぎたか・・・(笑)」



カイキが走り去った方を、クロウさんはじっと見つめていた。


その様子を見てから、俺はクロウさん含めここに残ってる皆に指示を出す。



「俺達も部屋に行きましょうか。皆揃って、もう一度聞かせてください。カイキと捕まった時の事から・・・これまでの事を。」



話を聞いたら、俺の中に渦巻くこの気持ちは晴れるだろうか・・・




「・・・ん、分かってる。君達の事も聞かせてね。」




そう言うとクロウさんはカイキが走って行った方を向き、ゆっくり歩き出した。


皆も徐々に歩き出す。皆が動き出した最後に、俺もゆっくり歩み出す・・・わずかな不安を抱いだきながら・・・・・・





◆◆◆




「・・・・・・・・・」




建物の中に入っていくルイス一行を、遠くの空から見つめている者がいた。





「おめでとう・・・賭けはあんたの勝ちだよ・・・」




フードを目深にかぶった黒衣の男。彼は呟きながら、視界から消えるまで彼らを見つめていた。

その時、急に後ろから声が聞こえた。



「・・・お前だろ?あの科学者の自我を守ってたのは。」

「・・・リヒト・・・」



その人物はフードの男と知り合いのようだ。尋ねながら近づいてきた。



「何の事だ・・・お前こそ、奴をここに連れて来ただろう?何のためだ・・・」

「べっつにー?俺の勝手だろ?好きにさせてもらうさ。」



そのリヒトと呼ばれる男の口調は、とても軽かった。

しかし次の瞬間、一気に雰囲気が変わったのだった。




「・・・お前こそ、いつまで()()()()()()()()()?」

「・・・・・・っ!」




◆◆◆



長くなったので分けます(;'∀')

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