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創世のソード・ブレイカー  作者: 柚木りん
第五章 君が求むは
36/70

◯ 反抗の武器 ◯





エギルにより操られた魔導士クロウとの戦闘によって大爆発が起きた


その、少しあと・・・・・・





◇◇◇



~ファレルサイド~




「・・・ハァ・・・ハァ・・・結局こうなるんですねぇ・・・皆さん大丈夫・・・」



ファレルは物陰に隠れ息を整えながら仲間の状態を確認しようと見回す、すると居たのは・・・



「・・・なんだ、クロウか・・・・・・」

「ってなんだってなんだよ!お前最近俺の扱いひどくねぇか!!?」



そこに居たのは龍のクロウだけ。一応無傷なよう、他の皆とははぐれてしまっていた。



「まぁその様子じゃ無事なようですね。」

「ぅおい無視かい!」



ルイス達は確認出来なかったが、まずクロウが無事なことに安堵する。


土煙が立ち込める中、ファレルは魔導士クロウの位置を確認し次の準備に入っていた。



「・・・おいおい、なんか策あんのかよ・・・本人でさえ飲み込まれてるってのに・・・」



クロウがパタパタ飛びながらファレルに質問する。ファレルは一瞬クロウを見て、また魔導士クロウの方を見やる。



「・・・もともと破壊者(ブレイカー)の力は普通の人間には効かないはずです。それに、俺の結界(シールド)や展開したルイスの(ブレード)は実体がないから傷もつきません。そして、俺とルイスは光属性と聞いてます。クロウさんに憑りついている闇だけを浄化できると思うんです。」

「・・・それ、確証はねぇんだろ?ルイスとも連絡取れてねぇのに・・・そんなのやれるのかよ・・・」



「やれるか・・・じゃない。やるしかないんですよ・・・俺達は。きっとルイスも同じことすると思いますよ。クロウも協力するんですよ?」

「ハッ!?なんで俺!?」

「当たり前でしょう。彼の闇を祓うためにもあなたに少しでもあの憑りついている魔力を吸収してもらわなきゃ・・・」

「うげぇーあれを喰わせる気かよ・・・不味そう・・・」

「吸収すれば、元の体に少しでも早く戻れるかもしれませんよ?(ニヤッ)」

「・・・やっぱお前性格悪いぞ・・・」


ゴスッ!


「痛ってぇな!!」



ファレルがグ―パンチしていた・・・



その時、煙の中とある影を見つけた。



「っ!!あれは・・・!!!」





◇◇◇




~ルイスサイド~




「結局・・・離れ離れに・・・なっちまったな・・・二人とも、大丈夫か!?」(ゼーハーゼーハー)

「う、うん・・・」

「なんとか・・・ゲホッ!」



ルイス側で無事だったのは、リインとキリヤ。ファレル、カイキ、クロウとははぐれてしまっていた。



「ケホ・・・それで、どうるすの?どうやってクロウさんを・・・」

「策はある。」



せき込みながら尋ねるリインにルイスは断言した。



「え、あるの!?」

「あるにはある・・・効くかは分かんないけど・・・ただ一番の問題は・・・」



腕を組みながら考え込んだルイス。



「効くか分からないかは置いておいて・・・クロウさんの動きを押さえとかないといけないんだよねぇ・・・あの魔法威力もすごいから、注意をそらす必要があるんだ。一瞬でいい、その隙に俺とファレルであの闇を祓う。んで、出来ればクロウにその魔力を喰ってもらう。」

「え、食べるの!?」

「というか・・・食べられるの・・・?」




二人ともとても不思議がっていた。

それを見てルイスは少し笑い、また話す。



「吸収は出来るはずだ・・・まぁ、リヒトの魔力といい適応してないとまずいだろうけど・・・クロウは白と黒、光と闇のどちらの魔力も持っている。多分、大丈夫だ。」




そう話終わった時、ある違和感に気づいた。煙がまだ立ち込める中、魔導士クロウに近づく影を見つけた。



「っ!?あのバカ!!!」





◆◆◆




声が聞こえる・・・・・・かすかな声・・・・・・



靄がかかる暗い思考の中・・・俺を導く光の声・・・・・・



この声が示す先に行けば・・・靄は晴れるだろうか・・・・・・



『・・・もうすぐだよ。』




◇◇◇



「父さん!!」



煙が立ち込める中、一人静かに立っていた魔導士クロウの前に、実の息子のカイキが現れた。

ゆっくりと視線を動かすクロウ、しかしまだ正気ではないようだった・・・



そしてカイキは少しずつ近づいていく。



「・・・父さん・・・ゴメン・・・俺は一人で、逃げてしまった・・・」



カイキはこぼす様に、謝罪をする。



「・・・・・・俺、協力してくれる仲間も出来たんだよ・・・だから皆で・・・父さんを助けるって、決めてここまで来たんだ・・・・・・!!」



カイキの目に、光が宿る。

そんな様子を眺めていたクロウは右手をかざし、魔力を込め始めた。




「俺はもう・・・逃げないよ!!!」




カイキはそう言うと同時に一歩踏み込み、魔方陣を展開させた。




『っ!!?』



「・・・俺の力はまだ全部戻ってはいない・・・でも!」



地面から光が差し込み、そこから巨大な氷の結晶が現れ始めた。



「今の父さんを・・・足止めくらいは、出来るよ!!」



氷はさらに大きくなり、クロウの身体を包み始める。



「《氷の猟犬(アイスハウンド)》!!!!!!」




まるで獣が足から飲み込むように、氷はクロウの動きを封じていく。

足から徐々に腰、腕、首へと氷は伸びていく。



「今だよ、二人とも!!!」




力を振り絞り、精一杯の大声で叫ぶカイキ。

すると煙の中から二つ、影が飛び出してきた。



「・・・ったく、無茶をする!」

「一気に終わらせる!!」



飛び出したのはルイスとファレル。

ルイスは(ブレード)を、ファレルは結界(シールド)を剣の様に細く鋭くして構え、二人は一気に間合いを詰め、クロウに迫る。

しかし・・・・・・




『・・・・・・ッ』(スッ)



クロウは氷に包まれる直前の無事な右手でパチンと指をならすと、眼前に迫る二人の攻撃を()()()()()()()





「っ!?おゎ・・・!!」

「グッ・・・!!」



二人の位置は入れ替わり、飛び掛かった勢いそのままに地面に突っ込んでしまった。

そしてクロウが何かを呟く。



『-------』



すると小さな黒い球が二つ現れ、それは体勢を立て直そうとしていたルイスとファレルの前に瞬間移動したのだ。



「「っ!!?」」



警戒する間も無くそれは弾け、強力な爆発を巻き起こした。



「うあ!!」

「がぁ・・・!!」



二人は煙を浴びながらそのまま地面に倒れてしまった・・・




「・・・っ!?」



目の前で起こった出来事に、カイキも理解出来ていなかった。それどころか・・・・・・




「あぅ・・・!」



カイキの魔力が完全に切れて、地面に膝をついてしまった。


その途端、クロウを包んでいた氷にヒビが入り砕け散ってしまった・・・



「・・・っ!」

「とう・・・さん・・・・・・!!」



皆が地に伏す中、クロウだけが静かに立つ。

そして再び魔力を込め、クロウの頭上に火の玉が作られる。巨大な玉が頭上に三つ・・・先ほどよりも数は少ないが、大きい玉だった。



『・・・これで終わりだ・・・』

「っ!!父さん!!」



カイキの叫びが辺りに響いた・・・その時。



「・・・・・・クックックッ・・・・・・」


『・・・?』




笑っていたのは・・・ルイスだった。




「・・・ホントに、終わりだと・・・思ってる?」



『・・・・・・っ!』




静かに、ゆっくりと立ち上がるルイス。その様子を見ていたクロウは、あることに気づいた。




『(・・・武器(本体)が、無くなっている!?)』



ルイスはゆっくりと右腕を上げ、先ほどのクロウと同じように指をパチンとならす。

するとどこからか、発砲音が響いた。




—————— パァン、パン、パァン・・・! ——————



『っ!?』



音は計三つ。その音が響いたと同時にクロウの頭上にあった火の玉は弾けるように消えてしまった・・・



『なっ・・・!』



驚く間もなく、ルイスは言葉を続ける。



「・・・俺の本命はこっちだよ。」



ルイスは右腕を前まで下ろし、そのまま指を銃の形にしてクロウに構える。


クロウが振り向こうと動いた瞬間、その背後に・・・ソードブレイカーの本体・・・レッカがすでに(ブレード)を構え迫っていた。


ルイスは指先一点に魔力を込め、発射する。それはレッカが(ブレード)を振り下ろすのと同時だった。



クロウは完全に挟まれ、動けなかった・・・・・




「・・・チェックメイトだ!!」




その声を合図に、ルイスは魔力弾を放ち、レッカは(ブレード)を一直線に振り下ろした。





—————— ダンッ!  ザンッ! ——————







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