○ 君の声が響く ○
ワ―遅れましたー!今月頑張ります・・・
声は一体誰の声だったのでしょうか、、、
◆◆◆
・・・靄がかかったように視界が暗かった。自分が何をしているのか、頭が働かなかった・・・・・・
ただ、かすかに声が聞こえた・・・あの彼の声・・・あの時の賭けが、頭をよぎった・・・・・・
◇◇◇
『・・・・・・エ・・・ギル・・・・・・ッ!』
俺達の前に現れた黒い靄。それは人の形を取り、俺達のよく知る声で言葉を発したのだ。
= 久しぶりだなぁ創世龍!まだこんなところにいたのか・・・=
「・・・貴様ぁ・・・!!!」
声を聞くだけで憎悪が沸き上がる。俺以外にも皆、目つきが変わっていた。
そしてその靄、エギルは、再びクロウさんに向き直り、指示を出した。
= さぁクロウよ!目の前にいる敵を殺せ!そして我らのもとに連れてくるのだ!! =
『・・・ぐぁ!!』
クロウさんは頭を押さえ苦しんでいる。エギルの力に侵されているようだ。その様子を見て、カイキはもう耐え切れなくなっていた・・・
「・・・っ!!父さんから、離れろ!!!」
カイキは武器を取り出し鎖鎌をエギルの靄に向かって飛ばすが・・・
「待て!!お前の武器じゃ効かない・・・!!」
鎌はクロウさんの頭の上を通りエギルの靄に当たるが、靄は弾けるように散り広がった。やはりエギルの実体は無かった。
= ・・・フフフフフ・・・アハハハハハ!! =
その後奴の声だけが響き渡り、それは静かに消えていった・・・・・・
「・・・気配がない・・・もうここにはいないのか・・・?」
辺りを探るが、先ほどまでいたエギルの気配は完全に消えていた。
そんな中カイキは一目散にクロウさんに駆け寄った。
「父さん!父さん!」
クロウさんの両腕を掴み叫びながらゆするが反応がない。
『・・・・・・』
「とう・・・さん」
ぼーっと立っているだけ、焦点も定かではない。瞳もまた黒ずんできている。さっきまでとは違い完全に意識は無いようだった。
・・・けど。
『・・・・・・』(スッ)
「・・・え・・・・・・」
クロウさんはゆっくり右手をカイキの眼前にかざす。
そして、その手に魔力を込め始めた・・・・・・
「っ!!逃げろカイキ!!!!!!」
俺は必死に叫ぶが、間に合わなかった・・・・・・
—————— ドオオォォォォン・・・!! ——————
『・・・・・・・・・っ!?』
「・・・ぅあ・・・」
・・・・・・かに思われた。
—————— キィィィン ——————
「・・・・・・フゥ・・・」
ファレルが、カイキとクロウの間のわずかな隙間に薄く板状に伸ばした結界を展開していた。
「ファレルナイス!!」
「んな呑気に言ってる場合ですか!?カイキ、今のうちにこっちに!!」
俺にツッコミを入れたファレルはすぐさまカイキに向き直り、手で下から仰ぐようにこちらに来いと指示を出す。
それを見てカイキも慌てながらこちらに来た。そして俺達は皆武器を構える・・・クロウさんは、静かに立っていた・・・
互いに向きあい隙がないか探り合いをしている時・・・俺は思っていたことを口にした。
「あんた・・・やっぱり、クロトと会ったことあるだろ。」
「えっ!?」
俺の言葉に、ファレル達は驚いていた。
「今のあんたに届いてるかは分からない。でも言っとく。必ずあんたを救ってみせる!だから俺達に任せてほしい!俺達を・・・信じてほしいんだ!」
「・・・ルイス・・・」
カイキもようやく、覚悟を決めたようだった。
そして俺の言葉を聞いたクロウさんの左目から、一筋の涙が零れていた・・・・・・
頬から顎へ、そして体から離れた涙を合図かのように・・・
クロウさんは襲いかかって来た・・・・・・
◇◇◇
—————— キイィィィィィン!! ——————
右手の拳に魔力で炎を纏い襲って来たクロウさんの攻撃を、展開した剣で受け止める。するとカイキが血相を変えて俺の服を掴んで叫んできた。
「ちょっと!!父さん傷つけたら許さないから!!」
「だーーーー!お前はどっちの味方なんだよ!!分かってるから下がってて!!」
カイキと言い合いになりながらなんとか攻撃を押し返し態勢を立て直す。
反動でクロウさんも後ろに飛び着地するが、すぐさま立ち上がり右手を頭上に掲げ魔力を込め、巨大な火の玉を作り上げる。
・・・空を覆うほど、大量に・・・
「え゛!!」
「いやっ・・・うっそ!!」
さすがの俺も血の気が引く。
クロウさんはそのまま手を前に、放り投げるように振り下ろし火の玉がゆっくり動き出した。
「ファ、ファレル!!結界!!」
指をさしながらファレルの方を見やるが、ファレルは手を横に振っていた。
「いやいやいやいや無理無理無理無理!!魔物の攻撃ならまだしも、本場の魔力の使い手の、しかもあんな強力な魔法俺の破壊者の力じゃ防げませんって!!」
「そこをなんとかお願いしますよファレルさん!!」
「キリヤまでせがまないでくださいよ!!」
そんな言い争いをしている間にも火の玉が迫って来ていた。
「チッ!とりあえず皆!俺の後ろに固まれ!!カイキは氷の魔法をこの剣に込めてくれ!!」
「ぅあ!?わ、分かった!!」
大声で指示を出し、俺はソードブレイカーを最大限展開する。両の手、そして翼として剣を携え、魔力を込められるだけ込めて迎え撃つ。
左手にはカイキに込めてもらった氷の剣を、右手には・・・・・・
「・・・・・・火には火をってなぁ・・・!!」
右手は本体の剣に魔力を込める。
「踏ん張りどころだ・・・!行くぞ・・・烈火!!!!!!」
魔力を込めた剣達を、迫った火の玉に向かって切り込む。
魔力と魔力がぶつかった瞬間蒸気が噴き出し、辺り一面に広がる。
そして巨大な爆発音が、辺りに響いた・・・・・・




