◯ 白の世界に映るもの ◯
◆◆◆
「・・・こ、ここは・・・・・・」
目が覚めると、森の中。何一つ音が無い、真っ白な世界。
「・・・・・・?」
自分が何者なのか、なぜここに居るのか分からなかった・・・後ろの気配に気づくまでは・・・・・・
『・・・私の話し相手になってくれない?』
◆◆◆
「なぁ・・・お前らがどれほどのものか、見せてくれよ!!」
そう言うと同時に奴はファレルに向かって飛んで行く。
「!!皆下がって!!」
ファレルの叫びを聞いてリイン達もハッとなりながら慌てて動く。
それとほぼ同時に、リヒトの影を纏った攻撃がファレルに迫った。
「・・・チィッ!!」
すかさずファレルは己の剣に魔力を込め、真正面からリヒトの攻撃を受け止めた。
・・・しかし、圧倒的な力によって押し返されていく・・・
「・・・う、ぐ・・・」
「・・・へぇ?」
ニヤッと笑いながら、リヒトは力を込める。
「っ!!」
「・・・なるほど?お前が・・・けどまだまだだな。」
ぶつかり合っていた影が雷のようにバチバチと弾け、ファレルは吹き飛ばされてしまった。
「ガハッ!!」
「ちょっ!!?」
—————— ガッシャアン・・・!!! ——————
近くにいたクロウを巻き込みながら吹き飛ばされ、遺跡の一部を破壊してしまった。
「・・・痛ー・・・!」
「・・・ぅおい!どけ!」
・・・頭を押さえてはいたが、一応無事なようだった。
その様子を見て、リインとキリヤは腰が抜けているようだった。
「アワワワワワ・・・・・・!!」
「ち、ちょっ!どうしよ・・・!!」
カイキも、少し立ち尽くしてしまっていたがすぐに向き直し武器を構える。
「・・・てめぇ!!!」
そんな様子をリヒトはただ笑みを浮かべて眺めていた。
◆◆◆
最初はただ、何もなかった。気配も記憶も何もかも、その時そこには無かったんだ。
あいつが少しずつ教えてくれた。
そんなあいつが生みだした、寄せ集めの光達。
少しだけ、どこか期待している自分がいた・・・
いつか・・・俺を消してくれるのではないかと・・・
――――――
そうして、気を散らした一瞬。後ろで動いた気配がした。すぐさまそれはこちらに向かって飛んでくる。と、同時に鋭い魔力が顔にめがけて向かってくるのを感じたので、左腕に影を纏い顔の横で止める。
—————— キイィィン!!! ——————
鋼がぶつかり合う音が辺りに響いた。
その正体は、黒い長剣。
「・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
「・・・・・・ヘェ・・・」
ルイスだった。
ファレルとやり合ってる間に、少し回復していたらしい。
「ルイス!!」
カイキも驚いていた。いくら少し回復したといっても、すぐに動けるはずがないほど体はボロボロだったからだ。
それでもルイスは、俺を睨む。
「・・・ハァ・・・ハァ・・・俺の、仲間に・・・手を出すな!!!」
「・・・・・・やっぱ、お前は・・・」
あいつと同じ、眼をしてるんだな。
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