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創世のソード・ブレイカー  作者: 柚木りん
第五章 君が求むは
28/70

○ 愛の繋がり ○



◇◇◇



「・・・アイラ・・・?」



俺達の前に現れた白い影。それは、ファレルが会いたくても会えない・・・亡くなった恋人、破壊者(ブレイカー)のアイラさんだった・・・・・・





「・・・なん・・・で・・・」

「・・・ここならあんたに会えると思ったよ・・・」

「な!!」



俺の言葉を聞いたファレルは、動揺を隠しきれなかった・・・



「知ってたのか・・・?このこと・・・!!」

「確信してたわけじゃない!ただ、アイラさんはずっと弓の中にいただろ?クロウの洞窟を抜けてから、あそこの力を吸収していたようでな。少しずつ、魔力が高まっているのを感じてた・・・そしてこの魔力が満ちる、幽霊も存在できるこの空間で顕現したってわけだろう・・・」



俺達の様子を見ていたアイラさんは、ゆっくり口を開いた・・・










その頃、俺達の後ろでカイキ達がこそこそと話をしていた。



「ねぇ、クロウ・・・あの人、誰?」

「いや俺が知るかよ、てか俺に聞くな。多分、俺と会う前の二人の知り合いじゃねぇの?」

(あの気配・・・洞窟を抜けてからファレルに感じていたものと・・・)


「ふーん・・・」




「ほわぁー・・・綺麗な人だねぇ・・・」

「ファレルさんの恋人・・・かな?でも、あれって・・・」



リインとキリヤは見惚れていた。しかし、皆薄々気づいていた。



()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()・・・







「・・・ファレル、ルイスも。こうして話をするのはお久しぶりです・・・」



ゆっくりと、アイラさんは口を開いた。

ポツリポツリと絞り出すように話すアイラさんを見て、ファレルは気持ちを押さえられなくなっていた。



「アイラ・・・本当に・・・君、なのか・・・?」

「・・・・・」



静かに、悲しそうに・・・アイラさんは笑う・・・・・・



「・・・ごめんね。こんな形で再開なんて・・・本当は、あなたを戦いに、巻き込みたくなくて・・・何も、言えなかった・・・そのせいで、あなたを・・・苦しめた・・・!」



ついには泣き出してしまったアイラさんを、ファレルはそっと抱き寄せる。

頬に伝う涙を親指で拭って、もう一度抱きしめる。




「俺の方こそ・・・!!守れなくて・・・すまなかった・・・!こうしてもう一度、君に触れられるとは・・・思わなかった・・・むしろ、嬉しいよ・・・アイラ・・・!!」

「ん・・・私も・・・ずっとこうして触れたかった・・・!!」





アイラさんも腕をファレルの後ろに回し抱きしめる。

お互いに涙は止まらなかった・・・







しばらく待って、申し訳ないが話を切り出そうとした時・・・



アイラさんが、ファレルから離れた。




「・・・ごめんね・・・このまま、皆・・・引き返してほしいの・・・」

「え・・・・・・」



俺達は、何の事か分からなかった・・・ゆっくりと、アイラさんはファレルから距離を取る。




「・・・どういうこと?さっきも言ってたよね・・・」



俺は尋ねる。

アイラさんは少し黙って、意を決して話し出した。








「・・・皆の事はずっと弓の中から見ていた・・・皆が出会って強くなっていくのを・・・・・・」




そこで一息置いて、そのまま続ける。




「でも・・・()()はダメ!触れればたちまち飲まれてしまう・・・皆の光じゃ、通用しないの・・・!!」

「なっ!」



俺達皆に衝撃が走った。



「・・・ちょっと待て!あんた・・・知ってんのか!?この先にいるのが誰なのか!この先に・・・()()()()()()()!!」



俺の言葉に、アイラさんは小さく頷く。



「・・・あれは人ではない・・・一寸の光もない、純黒の闇・・・そこらの魔物とは比べ物にならない力・・・ファレル達は、一度見てるはず・・・・・・」


「「!!!」」



その言葉を聞いて、俺達は互いに顔を見合わせた。



「あの男か・・・・・・!」



記憶を喰らう魔物の中で見た男・・・カイキやクロウの前にも現れた・・・

俺達を、ここまで誘導した男だ・・・・・・









「・・・アイラ。」



その時、考え込んでいたファレルが口を開いた。



「・・・それで?俺らに引き返せって?」

「ファ・・・ファレル、さん?」



・・・なんかファレルの様子が・・・怖いんだが。




「アイラ・・・俺が頑固なのは知ってるだろ?」

「・・・・・・」



少しずつ、ファレルはアイラさんに近づいていく。



「・・・俺は知らなきゃいけない、君がなぜ殺されなければいけなかったのか・・・

そのきっかけを作った魔物が一体何なのか・・・最初からすべて知らなければいけない・・・だから、俺は進むよ。たとえ君が止めても・・・それにどうせ、入り口はルイスが燃やして出るの大変だし。(笑)」

「うっ・・・まぁ、そうだけど・・・」



急に話が飛んできて驚いた。まだキレてるのか・・・?



「アイラは、応援してくれるよね?」



微笑みながらそっとアイラさんの肩に触れる。アイラさんは涙が止まらず、少し困った表情になりながらも・・・小さく、確かに笑っていた・・・・・・




「・・・ズルいよ・・・私が断れないの分かってて・・・言ってるよね・・・」



ファレルはもう一度アイラさんの涙を親指で拭いながら、彼女の言葉を待っていた。


その表情は、とても穏やかである。




「・・・分かったよ。もう私からは、何も言わない・・・だからどうか、気をつけて・・・・・・」

「ん・・・ありがとう・・・ずっと隣にいてくれて・・・」



そうして二人は力強く抱きしめ合い、熱い口付けを交わす。


そのままアイラさんは、光となってファレルの中に消えていった・・・・・・




「わ!ちょっと!!」

「子供は見てはいけません!!」



・・・後ろでリインがカイキの目を隠していた。



「・・・ファレル。」

「大丈夫・・・アイラは俺の中に眠った・・・今度こそ、一緒になれた・・・!」



自分の前で小さく拳を握るファレル。

彼女の存在を確かめるかのように・・・



「行こうルイス!立ち止まってはいられない・・・!!」

「・・・ハッ!そうだな!!」



俺とファレルはお互い笑みがこぼれ、拳と拳を突き合わせた。



「お前ら!早く来い!このまま進むぞ!!」

「あ、はい!!」

「待って~!!」



俺は後ろにいたカイキ達に声を掛けて、足を進める。

リイン達は返事をしたが、カイキはボーっとしていたようだった。



「・・・・・・」

「あ?どうしたカイキ・・・」

「ん、いや・・・・・・」



クロウがすぃーっと飛びながら振り返る。

カイキは返事をしながら、ゆっくりと歩き始めた。



(・・・少しだけ、()()()()・・・と、思ったのは・・・なんでだろう・・・)



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