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創世のソード・ブレイカー  作者: 柚木りん
第五章 君が求むは
26/70

○ 嘆きの回廊 ○

わー先月間に合わず遅れましたー!!今月頑張ります(;'∀')



◇◇◇



「皆!もう少しだよ!」



シバルを立って数時間。俺達はカグナ遺跡に向かうため、とある森に来ていた。



「・・・なぜ、森・・・」

「・・・なんか同じ所回ってないか・・・?」



・・・皆ゼーハー言ってきつそうだな。まぁ歩いて来たし仕方ないけど・・・



「もうすぐだよ。入り口の所は(ひら)けていて結構分かりやすいから。」

「・・・?」




皆きょとんとしていた。あのカラクリを見れば、さらに驚くだろう・・・



「・・・ねぇ、ルイス・・・ちょっと聞きたいんだけど・・・」



そんな折、ファレルが尋ねてきた。だが、尋ねようとしている内容は・・・俺には想像がつく。



「・・・それ以上は言わなくていいよ・・・分かってるから・・・」

「・・・・・・分かった。」




魔物の核。それを造るとなると、相当な力が必要だ。なんせ命を生みだすことと同義だからな・・・

エギルやあの男の力は未知数だが、それ以外でそんなことが可能なのは・・・・・・




「あ、あそこ!!」



そんな事を考えていると、リインが指をさし叫んでいた。

見ると、そこには木々がなく妙に(ひら)けた場所だった・・・どうやら目的地にたどり着いたようだ。





「もしかして・・・あれ?」



ファレルが指をさしながら尋ねてくる。



「うん、一本だけ妙な位置に木があるだろ?とりあえずそこまで行くよ。」




(ひら)けた場所の前に、一本だけ木が立っている。その前まで皆を案内する。




「・・・よし。」



その木に手を置いて、様子を確かめる。どうやら()()()()は無事のようだ。




「それじゃあ皆、これから・・・・・・!?」



説明しようとしたら、周りに気配を感じた。同じくファレルとカイキも気配を察知し構えている。



「・・・相変わらず、どっから湧いてくるんだか・・・!」

「十・・・二十・・・・・・ざっと五十くらいいる?」



いつの間にか周りを囲まれていた。魔物と死人・・・様々な種類がいる。



「リイン、キリヤ。俺達の後ろに下がってて。それと、あの中にキリヤ(あんた)の身体はあるの?」

「え!!?えっと・・・」

「いえ!ありません!!申し訳ないけど皆さん知らない人達です!!」




すみませんと頭を何度も下げる二人。それを確認し、俺は再度指示を出す。






「だったら話は早い・・・」



俺も剣を構え、歩みだし大声で叫ぶ。



「・・・一匹残らず狩りつくせ!!!」


「「おう!!」」





掛け声とともに、一斉に敵に向かい攻撃を仕掛けていく。



「大人しく成仏しててよね!!」



カイキは鎖鎌を自在に操り、敵を切り裂いていく。と、同時に魔法とも連携させてより多くの敵を倒していく。




--------ガアアァァァ・・・!!!-----------



倒された敵は次々とうめき声をあげ、塵となって消えていく・・・・・・



「・・・相変わらず、どうやって操作してんだ?」

「クロウ!・・・って、頭に乗るな。」




パタパタとカイキの頭に飛んできたクロウ。そのまま落ち着いてしまった。



「以前とは威力も違うだろ?」

「そりゃあもちろん。前回とはまた状況も違うしね。今回は魔法もかけて強化してるし。」

「なるほど?」



辺りを見回りながら納得するクロウ。

敵は次々襲ってくるので、カイキはずっと動いている。



「少しは手伝えば!?」

「俺?俺が手を出せば一瞬だぜ?」



ニヤリと笑いながら言うクロウにカイキは呆れていた。



「一瞬って、どうやって・・・」



そうつぶやいた瞬間、クロウは真上に飛び・・・



「よっしゃ行くぜーーー!!!」




叫びながら、なんと炎を噴き出したのだった。




「・・・・・・マジか。」

「しゃ!!」




カイキは開いた口が塞がらなかった。


クロウの炎は、辺りの敵を一掃したのだった。




◇◇◇




「・・・フッ!」




―——————— ザンッ!! ——————―————



ファレルは早速、カイキから貰った剣を使い戦っている。カイキの魔法で強化された剣は、硬い鎧甲を持つ魔物にも良く効く。



『オ、オノレェェ!!』



真っすぐ向かってくる魔物の攻撃を飛んでかわし、そのまま両手で剣を振り下ろした。



「ハアアァァァ!!!」  (・・・ザンッ!!)


『ギャアアアアア・・・・・・・!!』



その剣は魔物の左肩から入り、斜めに切り裂いた。身体はそのまま真っ二つになり崩れ落ちていく。






「・・・ふう。」



・・・トンッ・・・



「お?」

「お前・・・俺より剣術上手くないか?」



背中合わせにファレルに語る。

・・・少し嫉妬が混じっているのは、まぁしょうがない。



「・・・フッ、そうか?ただ器用貧乏なだけだよ。」

「・・・そーかよ・・・ハァァ!!!」





互いに向かいの敵に向かって切り込んで行く。そのまま数刻、それぞれに戦い続けるのだった。






◇◇◇




「・・・私達の出番・・・ないね?」

「そ、そうだね・・・」



リイン達が向かい合って話している時、一旦俺は戦線離脱し二人の元へ向かった。



「そろそろいいかな・・・」

「あ、ルイス君!」



リイン達はあの一本だけ立つ木の傍にいた。なので、少しだけ移動してもらう。



「今から遺跡への入り口を開ける。扉が開いたらすぐに飛び込んでね。少し降りたら、残りが来るまでその場で動かないように!」

「へ・・・」

「扉って・・・どこに?」




きょとんとする二人をよそに、俺はその木に向かって打撃を与える。



「・・・フッ!」



木の表面を傷つけずに、中のスイッチだけを押すように『ドンッ!』と揺らす。

すると地面から、地響きがし始めたのだった。



・・・・・・ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・




「ぅわわわわ!?」

「地面が・・・割れ!?」



あの(ひら)けた場所、その地面が少しずつ(ひら)いていく。そこが扉なのだ。(ひら)いた所から階段が現れた。



「はい飛び込んで!!」

「え!ちょっ!!」



二人を掴んでポーンと放り投げた。



「キャアアアァァァァァ・・・・・・!!!」 (・・・ドシン!)



・・・あまり深くはないはずだが、どうやら底には着いたようだ。

それを確認し、三人に叫ぶ。




「ファレル、カイキ、クロウ!お前らも急いで入れ!この扉は二十秒しか()かない!!」

「ハッ!?二十秒!?短!!」

「つべこべ言う前に、行きますよ!!」



三人も扉に向かって走り出し、一気に飛び込む。

それと同じくらいに、少しずつ扉は閉じ始めていた。



「さて・・・」



残っている敵は残り僅か。位置を確認してから、レッカに指示を出す。



「燃やせ・・・烈火(レッカ)!!」





◇◇◇





「・・・はぁ、皆さん無事ですか?」

「まぁ・・・なんとか。」

「落ちたとき、腰打っちゃったけどね・・・」




遺跡の始まり。辺りは薄暗く、カイキが手のひらに魔法を使って火をともしていた。階段の終わり、カイキの明かりの周りにファレル達は合流している。一番先にいたのは俺が放り投げたリイン達だった。



「あの・・・ルイス君は?」



背中をさすりながら尋ねるリイン。すると程なくして、階段を下りてくる音が聞こえてくる。




「皆、揃ってるよね?」

「あ、ルイス!」



これでようやく全員が揃った。皆俺の方を見ている。



「遅いんだけど。」

「・・・ルイス君、今言うけど。人を放り投げるのはどうかと思うよ!!(泣)」

「悪い悪い・・・緊急事態だったし。」



半泣きで怒るリインをなだめていたら、ファレルが近づいてきた。



「上の連中は?」

「あぁ・・・燃やした。」

「「も゛!?」」

「ファレル達のおかげで数は減ってたし。大丈夫!森林火災は起きてないから!!」



それを聞いて、今まで冷静だったファレルの顔がみるみる怒りに満ちるのだった。



「・・・あ、当たり前でしょ!?そんな事起きてたら犠牲者が出てたかもしれないんですよ!!大騒ぎにだってなるし・・・(くどくど)」

「ちょ、ちょい待て!今説教はやめろよ!だいたいちゃんと考えてやってるから!!」



「・・・ファレルって、保護者?」

「あーそういう所あるよな。」



ファレルの説教が始まったかと思ったらそっちではカイキとクロウで話してるし・・・

って!今はそういうことじゃなくて!!




「・・・はぁ。扉は閉まった。もうこの入り口から入って来れる奴はいない・・・このまま進むと、サグに出る出口がある。カグナ遺跡を調べたら、そのままサグに行くぞ。」



無理やり話を切り替える。まだファレルは不服そうだったが、不意にカイキが口を開いた。




「あ、そういえば・・・シバルを出る前にルイスが言ってた『幽霊』って結局何なの?」



それを聞いたリインとキリヤがピシッ!!っと音が聞こえるぐらいに固まってしまった。



「ちょっとカイキ君!!?それは言わないでくれるかな!?せっかくさっきの騒ぎで忘れてたのにー!!」

「ただでさえ暗いんだから!余計に怖い!!」

「・・・いやその顔で怖いと言われても・・・」



キリヤは見た目魔物の身体なので、その顔で怖がってもあまり恐怖を感じられないように見える・・・しかし、当の本人達には関係なく、本当に怖いみたいで二人で抱き合っていた。



・・・そこに俺はトドメをさす。



「・・・あー、悪いんだけど・・・ここ、幽霊いっぱい出るよ?」

「「え゛!!」」



再び固まってしまった。


俺はゆっくり歩きながら話を進める。皆、俺の後に続いて歩み始める。




「もともとこの地は魔力が満ちていてな。おまけに地下ってこともあって、冥界に近いからか、彷徨える魂達がうようよ居たんだ。なのでここだと、レッカも普通に話せます。」


「よっ!」




俺の横に、敬礼しながらポンっと現れて挨拶するレッカ。その様子に、皆目を丸くしていた。




「え・・・え!?」

「レッカちゃん・・・触れてないのに声が聞こえる!?」



驚くのも無理はない。いつもレッカは人の姿の時は、誰かに触れていないとその人と会話することが出来ないのだ。なのでだいたい皆は握手したり(リインだけは抱きしめるけど)して会話していたんだ。





「元々レッカは思念体のようなものだし、ここだと幽霊も普通に視れる。だからレッカもこの姿のままでソードブレイカーの力を使えるんだよね。ここだけだけど。」

「よろしくねー♪」


「・・・・・・マジか。」

「どんな原理ですか・・・」



カイキにファレルは驚き通り越して呆れてるようにも見えるが、そんな中リインが歓喜の顔に変わっていってた。




「んんーーーー!!それでもやっぱりかわいいーー!!レッカちゃんいればもう怖くない!!」

「えーー!!?」

「・・・こいつら、馬鹿だな。」




レッカの話題で、幽霊の話は忘れたようだな。




・・・そして一番呆れていたのは、クロウだった・・・




◇◇◇



長い長い地下空洞を歩き続ける。カイキの明かりがなければ、何も見えないだろう。



「・・・しかし、だいぶ長いですね。」

「どこまで続くんだ?これ・・・」

「こっちだよ!もうすぐ!!」



タタタ・・・っと先頭を切るレッカ。

暗い洞窟を躓くことなく突き進む姿を見て、またもや皆唖然としている。



「・・・レッカちゃん、すごい・・・」

「なんで見えるの・・・」



俺達はカイキの明かりを頼りに固まって進んでいる。



「ま、俺達は一度ここに来た事あるからな。通ったのはこの通路だけだけど他にも沢山の出入り口が存在しているらしいよ。」

「その情報もコルスさんから?」

「・・・いや?」




俺は歩みを止め、雰囲気を出しながら答える。



「・・・()()()()()()、だ。」



「・・・え゛・・・」



「いやいやいやいやいやいや・・・何言ってるの!!?」



再び固まり、皆慌てふためいている。さすがのファレルも血の気が引いて、クロウも叫んでいる。





「さっきも話した通り、ここだと幽霊は普通に存在する。カグナ遺跡で亡くなった住人達の魂が、今もここに縛られてた。俺達がここに入ったのは、地上でその住人の女の子が泣いていたからだ。彼女に教えてもらって、この入り口を知って遺跡に入ったんだよ・・・あの時、全員成仏させたんだけどな・・・」





進みながら、当時の事を思い出していた。あの、凄惨な事件を・・・


ファレル達は、俺の雰囲気を感じたのか大人しくなっていた。皆次の言葉を待っているようだ。





あれは・・・まだ、俺とレッカが二人で旅をしていた時だった。

小さい、だけど確かに響く声が聞こえてきたんだ・・・・・・











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