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創世のソード・ブレイカー  作者: 柚木りん
第四章 導きの楔
23/70

● 地下に埋(うず)もれた記録(その1) ●


◇◇◇




「・・・おいこれどこまで行けばいいんだよ・・・」

「・・・知りませんよ、こっちが聞きたい・・・」



日記の主を探しに街から出たファレルとクロウ。しかし、いざ森に入ると意外と広く見つけるのに時間がかかっていた。



「クロウ。飛んで空から探せないんですか・・・?」

「いやこの森深すぎて、何とか外出ても見えないし逆に戻れねぇぞ。」

「・・・ですよねぇ・・・」





・・・まぁつまり、迷っていたのだ。




「まさかここまで深いとは・・・地図にはそれほどないのに・・・」

「このままだとマジで夜に・・・ん?」




ため息をついていたクロウが何かに反応した。

クンクンと匂いを嗅ぐ仕草をする。



「どうしました?」

「・・・なんか、煙の匂いがするぞ?」

「煙?」




ファレルは少し考える。ただのボヤの煙かもしれない・・・けど・・・



「・・・誰かいるかもしれませんね。」

「匂いはこっちだぞ。」




わずかな望みにかけて、クロウに道案内を頼む。辺りは少しずつ光が消えていっていた。






◇◇◇


「ここは・・・!」



クロウが感じた匂いを頼りに森を進むと、湖が見えてきた。その隣には小屋のような家が建っている。

地図と見比べる。おそらく、探していた日記の主の家に間違いないだろう。職員から聞いた情報とも合致している。クロウが感じた匂いは、煙突から上がる煙だった。




「や、やっとかぁ・・・」

「お疲れ様です。さ、行きますよ。」




疲れてヘロヘロになっているクロウをよそに、ファレルは扉をノックして早速中に入る。




「失礼します。」

「ってちょい待て!!」






◇◇◇




「ただいまー!!」

「・・・・・・つ、疲れた・・・・・・」

「大会してたから、勝ってきた。(ドヤァ)」




午後。コルスの店に、カイキ達が帰って来た。ルイスに言われたとおりにレッカが出迎える。




『おかえりなさい!』

「んーーーーレッカちゃん・・・癒されるぅー。」



帰って早々レッカの全力のお迎えに、リインは自分から抱き着いた。



「お帰り、やっぱり大会開いてたか。しかも勝つって、やはり実力は確かみたいだねぇ・・・」

「・・・やっぱ知ってたか。・・・って、そういえばルイスは?いろいろ報告もあるんだけど。」

「あー・・・それがな・・・」




コルスは帰って来た三人に、今までの状況を説明した。






◇◇◇




「おや・・・お客さんかい・・・?」



森の中にある小屋・・・家には、一人の老人がいた。

毛皮をはおり、まるで熊のような姿で座っている。静かに笑っていた。

どうやら木こりのようだった。



「・・・珍しいねぇ・・・こんな森の隠居じじいに、一体何のようだい・・・?」

「・・・お邪魔します・・・早速ですが、お話を聞かせてください。あの、日記について。」

「・・・・・・『日記』・・・・・・?」




ファレルの言葉に、老人は一瞬動きが止まった。しかし、またすぐに元の笑みを浮かべる。





「あなたはカグナ遺跡の地上にある街、サグについてご存知の様子。あの日記に書いていたことも含め、お聞かせください。」

「あぁ・・・サグか・・・懐かしい名だ・・・」




老人は思い出しているのか、顔を上に向け腕を組む。そしてポツリポツリと言葉を紡ぎだした。

ファレルとクロウは静かに次の言葉を待つ。




「あぁ・・・あそこは恐ろしかった・・・もともとカグナの魂の声が聞こえると・・・噂はあった・・・しかし、あのもの・・・あぁ・・・アレハ・・・()()()()()・・・」


「!?」

「お、おい!じいさん!?」




少しずつ話す老人の様子が、急におかしくなった。片言になったかと思ったら・・・





——————バキバキバキバキバキ・・・・——————




老人の身体は、みるみる形を無くしていった・・・・・・

うずくまった状態で、背中が脈を打つように広がり、大きくなっていく・・・・・・



「お、おいファレル!!!これまずいぞ!いったん外に・・・!」

「待って!まだ彼を・・・!!」




その時だった・・・





『イカナイデ・・・』




「・・・ぇ・・・」



老人の身体から、かすかに声が聞こえた。

それはファレルにとって、かけがえのない声・・・・・・



バキィン!!!



「ッ!!」

「! ファレル!!!」



一瞬気を許した瞬間に、ファレルは老人の割れた背中から現れた白い腕に引きずられ、ともに老人の身体の中に吸い込まれてしまった・・・




「・・・おいおい・・・嘘だろこれ・・・どうすんだよ・・・」



後に残ったのは、老人の()()()だけ・・・中は空洞になっていた。

クロウは必至で探す。




「・・・おいファレル!ファレル!!聞こえないのかよおい!!」



その叫びは、家の外にまで響いていた。




「・・・クロウ?」

「!? ルイス!?なんで・・・」



ルイスは中に入ってすぐに、辺りを見回し状況を確認する。すると荒れた部屋の中央付近に、座った状態でうずくまり、背中から何かが出てきたように穴が開いている老人の姿があった。背中以外はほとんど形は残っていたが、全身にヒビが入っている。



「ルイス・・・ファレルが・・・あの中に・・・」

「・・・連れて行かれたのか・・・」




コクンとうなずくクロウ。それを見て、ルイスはクロウに指示を出した。




「・・・今すぐコルスの店に戻れ。俺が必ず、ファレルを連れて帰るから。」

「え・・・でもどうやって・・・」



ルイスはそっと、手をかざす。




「・・・大丈夫だから、行け。」

「・・・・・・分かった。」




そう言ってクロウは飛んで行った。すでに外は日が完全に落ちていた。



行ったのを確認し、ルイスは再び向き直る。




「・・・・・・さて。」









長くなったので分割しました(;'∀')

あの少年は一体誰なのか・・・もうしばらくで正体が分かります。

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