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創世のソード・ブレイカー  作者: 柚木りん
第四章 導きの楔
19/70

● 「カイキ」 ●



◆◆◆



森の中で見つけた子供を軽く手当てしてからコルスの店まで運び、留守番をリイン達に任せてから俺はファレルとクロウを連れてあの森を調べていた。



しかし・・・・・・





「・・・()()()()()()()()・・・」

「ああ・・・」






そう・・・()()()()()()

何かがあった痕跡はある。森の中に不自然に空いた空間。魔力残滓。確かにそこにはあったのだ。

しかし今は、跡形もない・・・





「やはりここに囚われていたんでしょうか・・・」

「そうじゃねえのか?あのガキの魔力も残ってるぞ・・・ってどしたのルイス?」

「・・・・・・」





二人の話声もあまり耳に入らず、俺は地面に手を置き魔力を探っていた。

その中に、気になる魔力があったのだ。



「・・・なんで・・・」(ボソッ)





「・・・ルイス?何か気づいたんですか?」

「・・・いや、一度戻ろうか・・・」




不思議がるファレル達をよそに、俺はコルスの店に足を進める。

・・・戻ったらあいつに話を聞かなきゃな・・・





・・・なんでお前がいるんだよ・・・()()()!!






◇◇◇




――――ガキイィン!!!――――



金属のぶつかる音が辺りに響いた。



あの時俺が見た黒衣の男・・・あの赤眼と同じ眼を持つこのルイスと呼ばれる男が部屋に入って来た時、術式で体に収納していた武器を取り出して無我夢中でルイスに向かって振り下ろしていた・・・



しかし・・・・・・




「・・・なっ!」

「・・・・・・()()()・・・烈火(レッカ)!!」





その言葉と同時に、真っ赤な炎がルイスの体を包み俺の武器を防いでいた。



「・・・悪いな、俺はこの程度では殺せない。」

「・・・っ!?」



そのまま俺は押し返され後ろに下がり、距離を取る。

何が起こったのか分からず戸惑っていると、その炎は人の形に姿を変え始めた。




「!・・・お、おんな・・・?」

「・・・・・・」(ニコッ)

「レッカ。おいで?」




ルイスに呼ばれ、そのレッカと呼ばれる少女は飛んで行った。

・・・俺は夢でも見てるのか・・・?人間が変化していた・・・・・・



「ルイス・・・もしかしなくてもレッカって・・・」

「ファレル・・・一応言っとくが本名だからな。炎はもともとレッカが破壊者(ブレイカー)だった時からの能力だ。だから俺が使うと結構魔力を消費するんだよな・・・」

「あー・・・なるほど。」




・・・ってなんか後ろにいたメガネと勝手に話が進んでる・・・





「あー・・・まぁ話戻すけど、その様子じゃ具合大丈夫そうだな。」

「っ・・・!」




ルイスは心配そうに尋ねてくる。それが意外過ぎて戸惑ってしまう。だってお前は・・・・・・




「・・・ちょっと聞きたかったんだけど、お前・・・もしかして、俺の弟に会ったんじゃないか?」

「・・・・・・え・・・・・・・?」





お・・・とうと?




「ルイス・・・もしかしてさっき調べてたのって・・・」

「・・・あぁ。あいつの魔力がかすかに残ってた。でも・・・」




そう言いながらさっきの少女と共に悲し気な表情になり、また話を進める。




「何かが混じったような・・・純粋な魔力じゃなかったんだ・・・だから、(エギル)が作った人形かとも思ったんだが・・・」





今度は俺の方に向き直り、また話し始める。




「あいつ・・・クロトは、俺の双子の弟だ。眼も顔も同じ。お前が俺を襲った理由がこの顔に見覚えがあるからなら、説明がつくんだ。」

「あ・・・・・・」





確かに・・・・・・

俺は一瞬だけ見た顔に、眼に反応して思わず向かって行ってた。でも雰囲気は全然違う・・・あの黒衣の男は何も喋らず、何考えてるかも分からなかったが・・・

今、俺の目の前にいるのは正真正銘・・・・・・人の痛みが分かるやつだ・・・・・・




「俺・・・は・・・・・・!」




何やってんだよ俺は・・・!いくらケガしているからってちゃんと考えれば分かるのに・・・!

ここにいるやつらは、悪い人達じゃない・・・何か事情があるようだけど、人間じゃなくても・・・





その時だった。



『大丈夫!』

「っ!?」




いきなりギュ―――――っと思いっきり抱きしめられた。その相手は、あのレッカだった。



「・・・レッカは相手に触れれば、声が聴けるんだよ。」

「・・・そういえば、初めて会った時に俺にも抱き着いてきましたね・・・」

「いやーいい思い出だな!」




戸惑っている間もレッカは抱き着いたままだったが、なぜかとても安心したんだ・・・




「なぁ・・・俺達と一緒に行かないか?」

「え・・・・・・」




ルイスが手を差し伸べながら、俺の目の前に立つ。



「俺達は皆取り戻したいものがある。そして共通の敵(エギル)を倒すために旅をしている。・・・お前も一緒に来ないか?」




俺・・・あんたに襲いかかったのに・・・・・・なんで・・・




俺はため込んでいたものを、吐き出していた・・・




「とう・・・さんが・・・あいつに捕まって・・・!」

「・・・うん。」



ルイスは俺の頭を優しく撫でながら、静かに聞いていた。

俺は頬を伝っている涙にも気づかずに、言葉を絞り出す。



「俺達・・・力、使えなくて・・・!そこに、あの赤眼のやつがいて・・・」

「力が使えない・・・ですか。」




ファレルと呼ばれるやつはメガネを上げながら何か考え込んでいた。




「別々に連れて行かれて・・・俺、魔力暴走させて・・・一人で逃げてしまった・・・・・・!父さん・・・置いてきてしまった・・・!」




あの時の光景が頭をよぎる。今、父さんは無事なのだろうか・・・・・・




「大丈夫。」




まるで心を読んだように・・・手で涙をぬぐいながら力強くルイスは言った。




「彼はまだ生きている。一緒に取り戻そう!」




その核心は何処から来るのか・・・でもなぜか、予言のようにそれが叶う気がしたんだ・・・・・・




「なぁ、まだお前の名前聞いてないよな?知っての通り、俺はルイス。こっちの今メガネかけてるのがファレルで、上のちっちゃい龍がクロウ。で、さっきまで看病してくれてたのがリインとキリヤ。こっちのちっちゃいじいさんが俺の情報屋のコルスだ。」


「「誰がちっちゃいだ誰が!!」」


「え・・・龍・・・・・・」




驚きの情報にまだ頭がついていけない・・・・・・




「・・・・・・お前の名前は?」


「俺は・・・・・・」







なぁ父さん・・・この人達となら、俺はもっと。強くなれるかな・・・・・・





「・・・カイキ。」



少しずつゆっくりと、言葉を紡いだ。



「カイキって、言うんだ・・・」


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