日常
知恵それは我々人類が獲得して得た生きるすべである。
知恵はやがて我々人類を飛躍的に進化させ、この星の支配者となり地球に君臨し続けた。
彼らの知識は止まることを知らず、さらにその上を目指した。
きっとこの知識こそが彼らの長所であり欠点であるのだ。
広大に広がる真っ暗な闇の海。
海を照らすはずの月や星たちは黒雲と霧により姿を消していた。言葉通りの真っ暗闇だ。
そんな中で突如轟音と共に眩しい光が現れた。
その音と光はさらに激しさを増した。
だが暫くするとその音と光は消えていた。
海はまた静かな闇の中に戻る。火薬と鉄の臭いを残して...
潮の臭いと波の音をたたせる海岸を間近で見渡せる所に立つ小さな家。
木々に囲まれたその家の中から鳴るベルの音に一人の男は起こされた。
男「... んだよ。うるせーな... 」
男は気だるそうに時計を見る。男は一旦動きを止めて頭を掻き、目を擦りもう一度時計を見た。
男「まじかよ... なんでタイマーが1時間遅れてセットされてんだよ... 」ダラー
男「もういいや... 萎えた... 」ゴロン
しかしそのすぐに男の家の電話が、ジリリリと鳴り響いた。
男「... 全く...。大人しく寝させてもくれねーのかよ... 」
男はブツブツ小言を言いながら鳴り響く電話に手を取った。
男「もしもし。柳沢爽葉です。」
男は先程までとは違う重苦しい声を振り払って、明るい声で電話にでた。
そのあまりの変化の異様さに場の空気は凍りついた。
いやそこには誰も居ないので凍りつくのは当たり前だった。
???「おーい。オレだけど今大丈夫か?」
爽葉「はい。大丈夫です。」
???「なんだ?体調不良なのか?」
爽葉「いえ。違います。寝坊してしまいました。」
???「は?またか... まあいいや。なら今からでも来てくれ。」
爽葉「あ... はい。分かりました... 」
失敗した。つい流れで仕事を請け負ってしまった。
休むつもりだった爽葉は電話を閉じた後に大きくため息をつく。
なんだかんだ言いながら爽葉はご飯を食べ終えて仕事に出る支度をしていた。
この男本音の部分は、なかなかにネガティブだが建前は一人前なのだ。
爽葉「あー。だるい... 」
爽葉はリュックを背中に背負い扉に鍵を閉めて走り出した。目的地は... コンビニだ!
??「はー」
緑がおいしげる森の中で一人の男はタバコをくわえ溜め息をつく。
男は体を狭い道路で止まる車に、もたれて一服していた。
?「くそっ!... いつまでこんなことすんだよ... 」
?「こんなクソ田舎の森で探せとか無理な話だろうが... って何独り言いってんだオレ?」
男はタバコを下に落とし踏みつけて必要以上に靴で擦った。
男は少し不機嫌な顔で車へと入っている。
?2「車の中まで聞こえていましたよ」
男の入った車の助席にいた少女は冷たい顔でそう言った。
男はそんなことは耳を貸さず車のエンジンをかけ車は動き出す。
?2「でも確かに、この捜索は無意味ではあると思いますが形だけは捜索するという建前でしょう。」
?「っち!そんなのわかってンだよ!」
?2「それにしても捜索班が私たちだけというのは、どうかと思います。」
?「フン!どうせ見つける気がねえから邪魔なオレらだけをつかったんだろ?」ッチ
?2「酷いですね私と貴方とで一緒にしないでいただけますか?」プイッ
?「... ほんとに可愛くね~な... 」
店長「爽葉くん遅いよー。」
爽葉「あっ... 。すいません遅れてしまって... 」
店長「別にいいけど次は気を付けてね」
何だかんだで3年間お世話になっているこのコンビニ... 実は山のなかにあるため客は少ない
だが何故かここは儲かってるらしい。
どうしてかというと近くに軍の基地があるらしくそこの客がやたら大量に買っていくんだ。
ならほかにも店は無いのかって?これが無いんです。
どうやら基地が近くの為、店は最低限にしたいそうだ。
そりゃ儲かるわけだ。
店長「それじゃああとは頼んだよ」
爽葉「分かりました」ビシッ
爽葉は一人になってレジの椅子に座っていた。
基本いつもは客が来るまでは椅子に座り時間を潰していた。
これでお金が貰えるのだからやったもんだぜ!
軍の関係者しか利用しないココは本当に人が来ない。
1日誰も来ない日が多かった。
今日も何もなく終わりたいな~
すると自動ドアが突然開いた
爽葉(やべっ言ったそばから来やがった... )ガクッ
爽葉(やば... あの人目付き悪... )イラッシャイマセ-
入ってきた男は何も言わず爽葉の前まで歩いてきた。
そして何も言わず鋭い目付きで爽葉を睨み付けていた。
爽葉「いかがいたしましたか?... (え!?なにこの人コワイ!)」ビクッ
男「ん~。とりあえず五番」
爽葉「あっ。お煙草ですね!少々お待ちください。」
軍服を着た男の指示通り五番に置かれたタバコを手に取りハンドスキャナーでバーコードを読み取る。
ついでに近くにおいてあったキャラメルも置いたのでそれも読み込みレジに表示された金額を男に伝えた。
男「おお。ホラよ」ポイッ
男から伝えた金額通りの小銭を投げてきた。
正直こういう客は非常にムカついてしょうがない。
それでも怒りの気持ちを堪え笑顔でありがとうございましたと言った。
爽葉(とっとと帰れ!!二度と来るな!!)
そう心で思った瞬間男は立ち止まる。
爽葉は心の声が漏れてしまったのかと冷や汗が出る。
男「お前....。」
爽葉「はっハイ!!」ビクッ
男「この辺で片腕の無い奴見つけなかったか?」
自分の考えていた事とは違う質問に一瞬戸惑ったが、当然そんな人は知らないので分かりませんと答えた。
男「そうだわな。お前何かが知るわけ無いわな。」
一々イライラする事を言う人だ。
多分このタイプの人は軍隊でも嫌われているんだろうなと思った。
?2「それは軍の秘密事項の筈ですが?」
突然声のする方を見ると入り口の前に少女が立っていた。
ポニーテールのピンク髪で目はとても威圧的で、この男と似た目を持っていた。
少女はすいませんと頭を下げて男と一緒に店を出た。
久々の美少女に俺は興奮した。
だがココでふと疑問を感じた。
なぜあのような軍人と一緒に居たのか不思議であった。
娘さんか何かなのかな?
しかし考えるのが面倒になったので美少女を見れて良かったと思いながら仕事に戻った。
山道を走る車で先程コンビニでタバコ等を買った男が新しいタバコを開けて火を付ける。
タバコを吸い始める男を見て少女は車の窓を全部開けた。
男「開けんな寒い。」
少女「貴方がタバコを吸うからです。仕事も終わっていないのに何呑気に吸ってるんですか。」ゲホゲホ
男「真面目過ぎるんだよお前は」
少女「貴方が不真面目過ぎるだけです。」
タバコを吸い終えた男を見て少女は再び窓を閉めて話を始めた。
少女「何故あの少年に機密情報を話したのですか?」
男「もしかしたら有益な情報を得られるかもと思ってな」
少女「外部にこの事が知られたらどうするんですか!?」
男「あんなガキ一人位大丈夫だっての。よく分かってなさそうだし、アレはバカそうだからな。」ハハハ
男の笑いに少女は呆れ返っていた。
そして車はさらに森の奥へと進んで行った。
その車が去った後、木の影からそれを見ていた者が居た。
( TДT)