それは勘違いでした。
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これ以上は反応があれば続きを掲載したいと思います。ではまた会える日まで^^
そして1週間が過ぎとうとう部活の初顔合わせの日となった。
「ようやく顔合わせか、これで今日から釣りづくしの高校生活がようやく幕を切るわけだ。」
授業が終わったのでこれから真栗と一緒に部室へ向かうことになっている。あいつも釣り部へ入部することにしたようだ。[真栗も釣り部に入部することにしたよ(^^)vこれからよろしくね♪]という旨のメッセージが来ていた。どうやら先輩の話を聞いて入部することを決心したようだ。あの真栗に釣りの素晴らしさを伝えるなんて…さぞ釣り好きの先輩なのだろう。
そしておれは真栗と合流し部室に到着した。
「よし、入るぞ。」
「どきどきするねー!」
「コンコン、失礼します。」おれが部室のドアを開けると先日の胸の大きな先輩がおれたちを出迎えてくれた。
「あ、来たわね。栢山君に喘木さん。とりあえず真ん中の椅子にかけてくれる?」おれたちは指示された椅子に座った。前には既に2人の先輩がすわっている。ハーフかクウォーターと思われる金髪の美少女とthe地味女子といった感じの丸メガネをかけた先輩だ。
「じゃあみんな揃ったわね。釣り部の方から自己紹介させてもらうわ。私の名前は下根好実。釣り部の副部長をしているわ。」
とても愛想のいい先輩だな。そして胸が大きい…。
「部長はいまアメリカに留学中よ。来月には戻ってくると思うわ。」
なるほど部長は別にいるのか。
「得意な釣りは画像釣りよ。よろしくね。」
やさしい微笑みを浮かべながら先輩はそう答えた…………ん?画像釣り??なんだ画像釣りって。聞いたことも見たこともない。もしかしてここはふつーの釣り部じゃないのか?初めてそんな疑問を持ったが自己紹介を途中で止めるのは失礼なので最後まで聞くことにする。
「次はあたしの番。あたしは尾笛蘭子。まあ一応よろしく。」
正面に座るハーフ先輩だ。なんかドライな先輩だな。
「あ…最後は私ですね…私の名前は…えと…渡江透羽…です…」
蚊の鳴くような声で自己紹介を始めたのは地味目の先輩だ。にしても聞き取るのがやっとだぞ。
「得意な釣りは…ギャップ釣りです…というかそれしかできないんですけど…はい…」
ん?いまギャップ釣りと言ったよな。ほんとに消え入りそうな声だったがたしかにギャップ釣りと言っていた。ギャップ釣りとはなんなんだ…?
「2人ともありがとう。という訳で私達はこの3人に部長を加えた4人で活動しているわ。じゃあ、今度は栢山くんと喘木さん。自己紹介よろしくね?」好実先輩に促されおれたちも自己紹介を始める。
「1年の栢山優です。釣りは幼い頃から好きで主にロック(岩場にいる魚を狙う釣りのこと)を得意としています。よろしくお願いします。」完璧な自己紹介だと思ったのだが、ロック…という先輩方の呟きが聞こえてくる。何かまずかったのだろうか…?
「はいはーい!わたしは喘木真栗です!気軽に真栗って呼んでください!かやまとは中学が同じで4年目の仲です!釣りは初心者ですけど副部長さんにいろいろ教えてもらいます!よろしくお願いします!!」
「じゃあ一応みんな自己紹介は終わったわね。栢山くんと喘木さんは質問とかある?」好実先輩に言われておれはこの時間ずっと思っていた疑問を口にした。
「えっと…質問何ですけど。ここは釣り部ですよね?画像釣りとかギャップ釣りってなんですかね?」
すると少し訝しそうにしつつも好実先輩が答えてくれた。
「ええ、ここは間違いなく釣り部よ。そして画像釣りとギャップ釣りは…真栗ちゃんもいるし一応軽く説明するわね。」
「画像釣りはもっともメジャーな釣りの方法よ。例えばツブヤイッターやLIFEなどで適当な男の人に胸とかいやらしい部分の写真を送って男の人を釣るわ。」
……………………………………………………はあ?
どういうことだ!?男を釣る?この爆乳女は何をほざいているのだ?横では真栗が「ふむふむなるほどー、おっぱいか〜」などと言っているがそれどころではない。
「ちなみにギャップ釣りはかなりマイナーよ。私も透羽ちゃん以外にこの釣りをしている人を見たことがないわ。」
「ギャップ釣りはその名の通りギャップで男の人を釣る釣りよ。そこにいる透羽ちゃんは普段は地味目でいじめられっ子だけどメガネをはずして周りが見えなくなるとドSになるの。そのギャップで男を釣っているわ。」
そしておれはついに耐えきれなくなり声を荒げた。
「どういうことですか!さっきから胸だとか男を釣るだとか…ここは魚を釣る部ではないのですか!」
すると好実先輩は心底驚いたような表情をして戸惑いながらも答えた
「ええ…藍駅学園釣り部は男を釣るために切磋琢磨する部活よ。他校にも知れ渡るくらい有名だし、部室に来てすぐ入部を希望していたからてっきり知っているものだと思っていたのだけど…」
「なんじゃそりゃあああああああああああ!」
なんだと…ここは魚を釣る部ではないだと…しかも男を釣る部だと…なんという事だ。ショックのあまり倒れそうだ。…ではおれは何のためにこの学校に入部したというのだ…。
「はあはあ…取り乱し出してしまいすみません。でもまあ確かにそれはおれの至らぬ所もありました。そして大変おこがましいとわかっているのですが入部を取り消して頂けないでしょうか?なにゆえ部活を勘違いしていたもので…。」
とりあえず冷静に考えてこんな部に残ってなどいられない。おれはこんなてひどい手打ちを受けた直後とは思えないほど丁寧に入部取り消しのお願いをした。
「悪いけどそれはできないわ。」
「なぜだあ!」
なぜだ。おれは懇切丁寧にお願いしたつもりだ。しかし、なぜこんなにきっぱり断られなければならないのだ。
「栢山くんは釣りのことしか頭になくて校則を見ていないのね。私は栢山君のことを思って入部取り消しをしない方がいいと言っているのよ?」
「どういうことですか?」
「この学校には入部した部活には最低でも1年間は参加しなければならないという校則があるわ。栢山君は先週入部届けを出したからもう受理されてしまっているの。」
「なんだその校則は…」
部活動に力を入れている学校とは聞いていたがまさかこんな校則があるなんて。
「まあ厳密に言うと部活をやめることは可能よ。ただし1年間より前に部活を辞めた人は進路に大きく傷がつくわ。」
「なっ…」
「具体的には推薦入試やAO入試が受けられなくなるわ。また忍耐力なしと見なされて面接などでとても不利になってしまうわ。それに加えて部室を辞めたものは学校中の笑いものよ。現に私の同級生は部活を辞めてからずっと後ろ指をさされているわ。」
くそ…逃げ場なしということか。しかしどうだ。男を釣る部活に入っても地獄。辞めて笑い者になっても地獄ときた。
「かやま…一緒に部活しよ?」
ここまで黙って見てきた真栗がとうとう口を開いた。
「すまん…真栗。少し考えさせてくれ…。」
おれは先輩たちに深々とおじぎをし部室を後にした。