#083 決意
京葉地下八重洲口……
その場所は爆発の影響で電気がついておらず真っ暗だった。なので対策官達は懐中電灯の光を頼りに二人を探していた……
「ホコリ舞ってて全然見えない……」
冨沢はそう言いながら懐中電灯を天上に向けた。しかしそこは大きな穴が空いており、中の配管が丸見えだった……
「林、この辺りをバラバラになって捜そう。そうじゃないと見つけられない」
「分かりました」
林はそう言うと中鈴を連れてどこかへ行ってしまった。冨沢は林が中鈴と行ってしまったので小牧とペアを組もうとしたら、すでに小牧は中畑に取られていた。するとそんな冨沢に伊東がこう言った。
「冨沢三佐行きますよ」
伊東はそう言うと暗闇に向かって歩いていった。冨沢は一瞬何が起きたか分からなかったが、すぐに伊東についていった……
「そこに誰かいるのか?」
伊東はそう言うと瓦礫だらけの場所を照らした。するとそこには瓦礫を必死でどかそうとしている相須がいた。
「やっと見付けた。もう一人はどこにいるの?」
冨沢は相須にそう聞いた。すると相須は瓦礫をどかしながらこう言った。
「この瓦礫の下!爆発で倒れてきた壁の下敷きになったの」
相須がそう言うと伊東はその瓦礫の所に移動した。そして武器を置き、袖を捲った。
「ここは俺達がやるから向こうに行ってろ。向こうに皆いるから」
伊東がそう言うと相須は指示通り行ってしまった。
「救急車呼んでもらえます?一応地下といっても浅いので繋がると思うのですが……」
「分かった」
冨沢はそう答えるとスマートフォンを取り出した。そして少したってから伊東にこう聞いた。
「救急車って何番だっけ?117でいいんだっけ?」
冨沢がそう聞くと伊東は一瞬何を言っているのか分からなかった。伊東は冨沢の言っていることを少し理解してからこう答えた。
「119ですよ。117は時報」
「あざっす」
冨沢はお礼を言うと電話をかけ始めた。確かに慌てていると番号を忘れるということは無くもないが、その代わりに時報を覚えているか?伊東はそう思いながら瓦礫をどかし始めた……
ゾンビ殲滅局東京本部、第一会議室……
「これで終わり。解散!」
仲野がそう言うと対策官達は部屋から出ていった。するとそんな中、仲野は倉科と宗を呼んだ。そしてその二人を本部長室へと連れていった……
「突然だけどアメリカに行ってみないか?」
二人は突然そう言われてどういう反応をすればいいのか分からなかった。すると仲野は続けてこう言った。
「実力を上げるためにどう?倉科はアメリカに住んでたから分かると思うけど、向こうはゾンビが湧き放題で対策官が足りないらしい。だから行ってみたら?」
二人はそう言われると少し悩んだ。何故なら、もし向こうにいくとしたら東京の防衛が緩くなるかもしれない。しかも、今の東京本部には水瀬や有川も怪我の為いない。なのでそう考えると行きたいとは言えなかった。
「でも東京防衛は大丈夫なのですか?」
倉科がそう聞くと仲野はすぐにこう言った。
「多分大丈夫。こっちには宮島、布田、新宮がいるから。取りあえず明日までに行くか決めておいて」
「分かりました……」
宗と倉科はそう言うと部屋から出ていった。本音を言うと二人ともアメリカに行ってみたかった。何故なら向こうの方がゾンビも沢山いて、毎週ゾンビと戦うことが出来るからだ。しかし、東京本部のこと、部下達の事を考えるとどうしても行きたいとは言えなかった……
対策1、第二部隊専用室……
「丹波、どうしたらいいかな?」
倉科がそう言うと丹波は倉科を見た。すると倉科は丹波に一枚の紙を渡した。丹波はそれを受けとるとその紙にを読み始めた。
「アメリカに行くかの事ですか?」
丹波がそう聞くと倉科は頷いた。すると丹波はこう言った。
「行ってくればいいじゃないですか。倉科准官なら普通に戦えると思いますよ。それに半年くらいなら准官がいなくても守れますよ」
倉科はそう言われると少し残念なような気もしたが、どうするか決まった。あとは宗しだい。
「ありがとう、丹波……」
倉科はそう言うと部屋から飛び出した。そして隣にある第三部隊専用室の扉を開けた。中では宗がいつもと変わらずに作業をしていた。
「どうした?あの件のことか?」
宗に言われると倉科はこう言った。
「私行くよ。例え何が起きても……」
林秀介
二等ゾンビ対策佐官
武器……火炎剣
短剣
拳銃




