#075 二番目
東京駅、銀の鈴待ち合わせ場所……
「どこに行くんですか?倉科奏良准ゾンビ対策官」
突然そう言われると倉科はゆっくりと振り返った。すると突然倉科の顔にナイフが飛んできた。倉科はそれをなんとか避けたものの、頬から血が出てしまった……
「た、丹波……」
そこには沢山のナイフを持っている丹波が倒れている対策官の間に立っていた。
「残念だが俺は倉科の部下の丹波じゃない……」
男はそう言うと正体を現した。倉科の前で男は変装を解いた……
「築井中広!各自散開して確保!」
倉科がそう言うと部下達は一斉に走り出し、築井を囲んだ。すると築井は突然しゃがみ、気絶している津田の首にナイフを当てた。
「俺に近付くとあんたの部下が死ぬぞ。こっちには三人もいるんだからな」
築井がそう言った時だった。突然倉科の横を誰かが走り抜けた。そして、その人は築井の顔面に蹴りをいれた。すると築井は鼻から血を流して飛ばされた。するとその人は剣を持ちながら倒れている築井に近付いた。
「誰だお前は?」
築井はその人に言った。するとその人は被っていたフードを外した。そして築井に向かってこう言った。
「私の名は新宮沙音、よく覚えておきなさい」
新宮はそう言うと築井の顔面を思いっきり蹴った。すると築井の意識は飛んでしまった……
「倉科准官、あの人誰ですか?」
そう言ったのは倉科の後ろにいた津久見だった。しかし、倉科はどんなに考えてもその名前を聞いたことがなかった。すると新宮は倉科に寄ってきてこう聞いた。
「あなたが倉科准官?」
倉科はそう聞かれると戸惑いながらもそうだと答えた。
「やっぱりそうか。向こうにいた時も宮島に自慢の部下だってずっと言われてたから気になってたんだよね。とりあえずあなたはここに居ていいから……」
新宮はそう言うと一人で林班の方へと走って行ってしまった……
「誰なの?あの人は……」
倉科はそう言いながら走っていく新宮を見ていた……
「それにしても予想以上に敵が多いな。私が日本にいない間にこんなに敵が増えていたなんて……」
新宮はそう言いながら小牧の横を走り抜けた。そして林と冨沢の前に出てシンクに向けて剣を振った。
「誰だお前は……」
シンクはそう言いながら刀で防いだ。すると新宮はシンクの太腿に蹴りをいれた。そしてシンクがふらついた所で新宮は滑り込んでシンクの後ろへと回った。
「は……」
新宮はシンクが何かを言う前に剣を振った。するとシンクは血を流して倒れてしまった……
「新宮、殺したのか?」
林はそう言いながら新宮に近付いた。
「林!この人知ってるの?」
隣にいた冨沢が林にそう聞いた。すると林は冨沢にこう言った。
「ああ、五年前まで東京本部最強と言われた新宮沙音だ」
林がそう言うと新宮がこう言った。
「話の途中悪いけど、剣の平たい所でやったから死んではないはず。それじゃあ私は宮島の所に行ってくるから……」
新宮はそう言いながら剣をしまうと行ってしまった。
「小牧、押さえるぞ!」
小牧の隣にいた中鈴が小牧の背中を叩きながらそう言った。小牧はそう言われるとシンクの元へと近付いた。すると、シンクは頭から血を流して倒れていた。
「完全にのびてます」
「そうか。小牧、連絡を……」
林はそう言うと気絶しているシンクに近付いた。
「あいつ帰って来たんだな……」
林はそう言うと新宮が行った方向を見た……
東京駅丸の内中央口……
ここには宮島率いる第一部隊が待機していた。すると宮島の部下の土井が駅の中から出てくる一人の女性を見つけた。
「宮島特官!駅から誰か出てきます!」
土井がそう言うと宮島の部下は一斉にその方向を向き、武器を構えた。しかし、宮島はその女性を見ると部下に武器を下ろすよう指示した。
「宮島…… 久し振りね」
新宮はそう言いながら宮島に近付いた。
「新宮、いつ帰ってきたんだ?」
宮島がそう聞くと新宮はこう言った。
「今日の昼よ。オーストラリアも悪口なかったけど久し振りに日本に戻ってみたかったのよ。そしたらこんな状況で驚いたわ」
宮島はそれを聞くと少し気分が明るくなった。入局当時からの同僚に久し振りにあえて宮島は少し嬉しかったが、今は戦い中だ。あまり長く話していられない。
「悪いが雑談は作戦が終わってからだ」
「分かったよ。それまでここにいていいでしょ?」
新宮はそう言いながら宮島の顔を覗くように見た。宮島がその顔を見ると新宮は笑っていた。
「相変わらず戦い好きなようだな……」
宮島はそう言うと宇土のいる作戦指令車へと足を動かした……
新宮沙音
准特別ゾンビ対策官
武器……剣
テーザーガン
緊急防御箱
拳銃




