#072 生存者
東京駅、丸の内北口……
「な、なんだこれは?」
突然一人の男性が違和感を感じて起き上がろうとした。すると手にドロドロとした液体に触れると、自然とそれを見てしまった。
「は?」
その男性はそう言うと辺りを見た。すると辺りは完全に血の海で近くには自分の班の班長の首が転がっていた……
「まさか……」
男がそこまで言いかけたときだった。突然後ろから声がした。
「なんだこれは?生存者は君だけか?」
そう言ったのは有川だった。すると後ろにいた上丘がこう言った。
「中島じゃん。何があったの?ここで……」
上丘がこういうと全身血まみれの中島が此方を見てこう言った。
「分からない。ただサイスとジャックと戦っていたのは覚えてる……」
「そうか。中島は一回中央口に戻った方がいいな。上丘が連れてってやれ」
「了解」
上丘はそう言うと中島を丸の内中央口へと連れていった。
「残りは生存者を探すぞ」
有川はそう言うと倒れている対策官を見た。が、それから四人で生存者を探したものの、誰一人と生存者がいなかった……
「秋津、報告して」
「はい」
秋津はそう言うと無線機を取り出した。そして宇土司令隊の一人、米田にこう報告した。
「大池班、村井班は中島ゾンビ対策士長以外の生存者なし。当班はここで待機してます」
「了解」
秋津は報告が終わると無線機をしまった。すると近くに立っていた佐瀬が何かを見つけたらしく、こう言っていた。
「あそこにいるのってサイスとジャック?」
そう言うとここにいた全員がその方向を見た。するとそこにはサイスとジャックがいた。しかもその後ろには大量のゾンビを引き連れて……
「アイツらにまさか俺らが来るのが分かってたのか?」
「佐瀬、どっちにしろやることは変わらないだろ」
有川が佐瀬にそう言った。すると佐瀬は自信満々にこう言った。
「もちろんです!」
有川は佐瀬の返事を聞くと部下達にこう言った。
「今回はアイツらが襲ってきてどうしようもなかったら、あの二人を殺す。躊躇したら仲間が死ぬと思えよ」
有川がそう言った時だった。突然サイスとジャックの後ろにいたゾンビが此方に向かってゆっくりと歩きだした。そして有川班のすぐ近くまで来た。すると有川は突然大鎌を振った。
「戦闘開始だ。全員殺るぞ!」
「了解!」
部下達はそう言うとゾンビを倒しながらサイスとジャック達に近づいていった。すると突然秋津を一体のゾンビが襲った……
「わっ!」
そのゾンビは秋津に向かって飛びかかってきていたのだ。
「奇種か」
秋津はそう言うとそのゾンビから少し距離をとった。そしてどう距離を縮めようか考えていたときだった。突然そのゾンビが倒れたのだった。
「あれ?」
秋津はそう思いながらも他のゾンビを倒しにかかった。しかし、ゾンビはまだたくさんいた。銃系武器がない有川班にとって大量のゾンビを相手にするのは大変な事だった……
ドンッ!
突然そんな音がするとともに、有川の前にいたゾンビが吹っ飛んだ。
「なんだ?」
有川はそう言うと後ろを向こうとした。すると有川の横を小橋と星水が駆け抜けた。そして二人は吹っ飛んだゾンビの止めを刺した……
「小橋!なんでいるんだ?」
有川はゾンビを倒しながら小橋にそう聞いた。すると小橋はこう答えた。
「自分の班は他の班を援護する役割なので、ちょうど戦っていた有川班を助けようとしてやって来ました」
小橋がそう言うと有川は一瞬後ろを見た。すると後ろにはライフルを持っている双葉と火玉銃を持っている菊川がいた。
「さっき吹っ飛んだのはあれを撃ち込んだからか……」
有川はそう言うと前にいるゾンビを倒し、サイスに近付いた。
「やっと来たか……」
サイスはそう言うと剣を持った。そして有川に向かって振ろうとした時だった。サイスは突然手から血を流して剣を落としたのだった。
「銃か?」
サイスはそう言うと有川の後ろを見た。すると駅の出入り口付近にライフルを構えている双葉が見えた。
「アイツか……」
サイスはそう言うと有川の攻撃を避けながら後ろに下がった。
「ジャック、ここは任せた。俺はエースの所に行く」
「分かったよ」
ジャックはそう言うとレイピアを持って有川の前に出た。そして有川に攻撃を始めた……
中島愁月
ゾンビ対策士長
武器……高力銃
捕獲銃
拳銃




