表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕らはゾンビ対策官  作者: ソーダ
第一章 新人
64/347

#059 秘密話

午前十一時


関東ゾンビ殺所場、宗部隊……



関東ゾンビ殺所場には宗率いる第三部隊が待機していた。この第三部隊の仕事は、倉戸山作戦により対策官の人数の減っている東京23区の防衛が目的であった。そのため、倉戸山作戦に参加していない水瀬班は新宿駅に、布田率いる第四部隊は本部に待機していた。そんな中、殺所の防衛を任されている宗は、殺所の警備室にいた。


そこでは宗や部下達がゾンビが居ないかと、殺所の職員と共に監視カメラの映像を見ていた。


「あっ!」


突然部下の八代が声を出した。すると宗は八代の元へと移動しながらこう聞いた。


「どうした?」


「いや、正門から何かが入ったように見えたので……」


八代はそう言うと近くにある機械を使い、カメラの映像を巻き戻した。すると、そこには八代の言った通り、何かが正門から入る様子が写し出されていた。


「何だこれ?」


宗が八代に聞いたが、八代もそれが何か分からなかった。ただ、映像から分かる事は人ではないということだった。


「八代対士長、少しいいですか?」


そう言って八代の前に出てきたのは油川だった。彼は八代がさっきまで操作していた機械をいじり始めた。すると、突然その映像が拡大され、その謎の生物が写し出された。


「なんだこれは?」


「犬ですかね?」


八代は驚いた様子で画面を見ていた。多分野良犬が迷いこんできたのだろう。そう思った宗は部下に犬を施設の外に出すよう指示をした。すると八代と油川が走って警備室から出ていった……



「正門ですよね?八代対士長!」


「ああ、そうだ」


八代は建物の中を走りながらそう答えた。そして八代は外へと出るための扉を開けた。するとすぐ近くの草むらが突然揺れた。八代はそれに気が付くとそこに犬がいるのだと思い、近付いた。


「ほ~らワンちゃん、ここは危ないから出てきてね」


八代がそう言って草をかき分けて中を見たときだった。突然八代はさっきまでとは違い、厳しい顔になって油川の所へと走ってきた。


「どうしたんですか?」


油川がそう聞くと八代は口早にこう言った。


「あいつ犬じゃない!ゾンビだ!」


八代がそう言い終わったと同時に草むらからさっき八代が見た犬が出てきた。が、それは既に犬ではなく、人を襲うゾンビだった。


「八代対士長!どうします?」


「もちろん倒せ!絶対にだ!」


八代はそう言うと槍を構えた。そしてゾンビ犬を突き刺した。 八代はゾンビ犬を殺ったのを確かめるとゆっくりと地面に座り込んでしまった。たぶん今のでかなり疲れたのだろう。普通のゾンビとはちがったので……


「八代対士長、大丈夫ですか?」


油川はそう言うと八代に手を出した。


「悪いな」


八代はその油川の手を掴むとゆっくりと立ち上がった。そして宗達のいる警備室へと戻っていった……




関東ゾンビ殺所場警備室……


「そういえば俺達の敵ってエースとか以外にもいたよな。たしか築井中広だっけ?」


「たしかにそんなやついたな。すっかり忘れてたけど……」


宗は部下の雑談を聞いてあることを思い出した。それは旧九条班を襲った築井中広が留置場から脱走した件について会議で話された後のことだった。確かそのとき宗は倉科に連れられて非常階段に行っていた……




ゾンビ殲滅局東京本部、20階非常階段……


「宗は脱走の事についてどう思った?」


倉科は非常階段につくとすぐに質問してきた。が、宗はそんな事は特に考えていなかった為、すぐに答えられなかった。


「私はこう思ったよ。なんでエース達はわざわざ留置場に乗り込んでまで築井を助けたかったのかな?って……」


「え?それは築井がゾンビ愛護団体のリーダーだからじゃないのか?」


宗がそう言うと倉科は外を見ながらこう言った。


「多分それもあると思う。けど私はこう思うの。もしかしたら築井が何かの秘密を持っているから、エース達が助けた…… 私はそう思うの」


「その秘密とは?」


「それは分からない。けど大体の予想はついているの。多分私達対策官を倒すための秘密兵器だと思うの」


「たとえば?」


「そうね。例えば犬や猫かしら?今の世界はゾンビより人の方が強くなっている。なんでか分かる?」


倉科は宗を見るとそうたずねた。が、宗にはその質問の答えが分からなかった。……というより倉科の答えが聞きたかった為、なにも答えなかった。


「理由は人の方が早く動けて、武器を持てるから。これだけで人はゾンビに勝てるの。だからエース達は犬や猫をゾンビ化させようとしてるんだと思うの。確かだけど築井は大学にいたとき、動物関係のことを研究していたからその点には詳しいと思うの……」




関東ゾンビ殺所場警備室……


「あ!」


宗は突然そう言うと立ち上がった。そしてすぐにさっきまでいじっていた機械の元へと移動した。そして先ほど写し出された犬を再び拡大してじっくりと見た。するとその犬は普通とは違う姿をしていることに気がついた。が、すでに時は遅かった。その犬の所へは既に部下が向かってしまっている。もし部下に何かあればと考えると宗はいてもたってもいられなくなり、八代と油川のいる正門に行くために、部屋から出ようとした……





八代恵穂やしろあやほ


ゾンビ対策士長


武器……槍

短剣

拳銃




宗の回想シーンは#041からです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ