#052 結果
ようやく決着がついた。先に地面に膝をつけたのは小牧だった。
「おい?小牧?」
冨沢は小牧にそう言ったが、小牧は何も答えなかった。正直に言うと冨沢にはさっきの攻撃は相討ちに見えたため、両者がダメージをおったものだと考えていた。が……
「お前、まだ強くなるな……」
突然シンクはそう言うと倒れてしまった。冨沢はその姿を見るとすぐに小牧の元へと駆け寄った。
「小牧!大丈夫か?」
冨沢がそう言って駆け寄ると小牧はこう言った。
「大丈夫です。シンクが攻撃してくると気付いた時に、すぐ違う攻撃にしたので……」
小牧は冨沢にそう言った。詳しく言うと小牧はシンクの事を槍で突き刺していない。小牧はシンクが短剣で相討ちに持ち込もうとしているのを見てすぐに槍の裏側(持ち手の部分)でみぞおちをついたのだ。なのでシンクにも外傷はなく倒せたのだ。
バンッ!
突然警備室の扉が開いた。するとそこからエースが飛び出てきた。エースはその倒れているシンクの姿を見ると、大体のことを察したのか逃げていった。この時小牧にはエースを追いかけるだけの体力が残っていなかった……
バンッ!
再び警備室の扉が開いた。すると今度は水瀬がグングニルを持って出てきた。そして水瀬はこう言った。
「我が力が怖くなったか?」
水瀬はそう言うとグングニルを力一杯に投げた…… が、それはエースには当たらなかった。すると今度は水瀬の後ろから部下達が出てきた。するとその部下の一人の桜庭かこう言った。
「シンクを押さえろ!すぐに牢へ入れる」
桜庭がそう言うと七尾と保見がシンクを取り押さえた。この時シンクは体力が残っていなかったらしく全く抵抗をしなかった。
「この刀は貴様のか?」
水瀬はそう言うと地面に落ちていた刀を拾い、それを冨沢に投げた。
「あぁ、ありがとう」
冨沢はそう言って刀を受け取った。東門に水瀬班が到着したことにより東門の防衛は大丈夫だろう。なのでこの時冨沢は林達が大丈夫なのか心配になった……
関東ゾンビ殺所場、西門……
西門では未だに倉科達がゾンビと戦っていた。なので宇土がいくつかの班を引き連れて来たことを知らなかった。それ以前に元々宇土達がここに来るとは事前に知らされていなかったのだ。
ザクッ!
倉科は躊躇なくゾンビの顔に槍を突き刺した。ゾンビはその攻撃により倒れてしまった。多分死んだ理由は脳に当たったのだろうが、この時倉科にはそんな事を確認している暇がなかった。何故ならば、ここにはまだ大量のゾンビがいたのだ。なのでそんな事をしていては簡単にゾンビに殺られてしまうのだ。
そして、かなり対策官側が押されているときに奴は部下を引き連れてやって来た……
「各自バラバラで!」
突然そんな声が聞こえると倉科の前に三間が突然出てきた。そして三間は近くにいたゾンビに斬りつけて倒した。
「え?染井班がなんでここに?」
倉科がそう言うと突然染井が倉科の肩を叩いてこう言った。
「説明は後!今は倒す!」
染井はそう言うとゾンビを倒し始めた。倉科はその姿を見ると自分も他のゾンビを倒し始めた……
そして染井班の到着により五分程で動くゾンビがいなくなり、大量のゾンビが門の辺りに転がっていた。すると染井はそのゾンビに全く目を向けずに倉科の所へとやって来てこう聞いた。
「そう言えば丹波君や羽部ちゃんはいないの?」
染井がそう聞くと倉科はこう答えた。
「丹波と暁葉は南門にいるので……」
「なんだ。一応ここにいるんだ」
染井はそう言うと自分の部下がいる方へと行ってしまった…… が、特にすることはない。何故なら宇土の指令により染井班は西門待機になっているのだ。なのでゾンビが再び現れない限りは暇なのだった……
「染井班長、ゾンビの数を数えたところ34体でした」
そう言ったのは染井の部下であり、染井班の副班長である三間だった。一応彼はこの班で一番ゾンビを倒している人物でそれなりの実力者だった。
「結構いたんだね。まぁそのうちの四、五体は希種だろうけどね」
染井はそう言うと壁に寄りかかり座った。そして自分の剣を見た。するとそれに小さなヒビが入っているのを見つけた。すると染井は手で顔を押さえるとこう言った。
「やっちまったー」
そう。この剣は手入れは刀ほどしなくても良いのだが、全くしないと切れ味が悪くなる上に剣が折れたりするのだ。しかも剣は刀の比べると切れ味が元から良くない。なので剣を使う保見や七氏、三間は手入れをしているのだが、染井はそれを全くしていない。なので武器を壊す常習犯になっているのだ。
「流石にこれは不味い。前に修理に出してからまだ一ヶ月もたってないじゃないか!」
染井はそう言うと頭を押さえていた。多分これ以上下原に怒られたくないのだろう。が、ゾンビを倒すには武器がどうしても必要な為、怒られてでも修理してもらわなければ仕事(ゾンビ殲滅活動)が出来ないのだ。
西門では染井が絶望に浸かっていたが、この時南門では西門以上の事が起きていた……
三間岳
准ゾンビ対策官
武器……サーベル
短刀
拳銃




