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僕らはゾンビ対策官  作者: ソーダ
第一章 新人
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#051 本気

三十分後、関東ゾンビ殺所場北門……


「一気に突っ込め!負傷者は見習い(予備対策官)がやれ!」


と、宇土が拡声器を使い叫ぶと大勢の対策官が走って敷地内へと入っていった。その時、水瀬率いるJ班はシンクが入れられている牢獄を目指して走っていた。



「桜庭!奴はどこにいる?」


水瀬が桜庭にそう聞いた。ここで話はずれるが普通の班ならば班長が色々と指示を出して先頭を走るのだが、水瀬は他の班とは根本的に違う。何故ならば班長である水瀬が作戦内容をしっかりと把握していないからだ。なので水瀬班では副班長である桜庭が先頭を行くのだ。


「あの扉の先です!」



桜庭はそう言うと少し離れたところにある鉄の扉を指差した。その扉が何故鉄で出来ているのか…… それはその先にゾンビ等が入れられる牢獄があるからだ。


「オラッ!」



水瀬が突然鉄の扉に向けて突っ込んでいった。多分ドラマや映画にあるように思いっきり扉を開けたかったのだろうが、この扉は残念なことに押すのではなく引くのだ。なので水瀬は鉄の扉に思いっきりぶつかってしまった。



「水瀬二佐、この扉引くんですよ」


保見はそう言うと鉄の扉を開けた。すると、開けると同時に桜庭と七尾が飛び込んだ。が、その牢獄には人は居らずその牢獄の前に二人の人間が立っていた……


「エースとシンク…… でいいのか?」


七尾がそう聞くとエースがこう言った。


「当たり前だ。しかしここで見られたのは予想外だったな……」


エースはそう言うと剣を取り出して水瀬達に向けた。多分エースはここで倒せと言っているのだろう。すると水瀬がこう言った。


「たけと、我に力を貸してくれ」


「あ、はい」



水瀬は七尾からの返事を聞くとグングニルを手にエースへの攻撃を始めた。現在水瀬班のいる場所は通路の為、かなり狭かった。なのでエースの攻撃を避けるのが大変になるのは当然、しかも武器もそこまで大きく振ったり出来ないのでいつもの戦いとは全く違っていた。





「保見!連絡して!」


「は、はい!」


桜庭は突然保見にそう指示をした。すると保見は慌てて無線機を取り出し連絡を始めた。



「榛葉、援護をするぞ!」


桜庭はそう言うと水圧銃をエースに向けていつでも発射出来るようにした。



「シンク!お前は先に逃げろ!」


「分かった!」


シンクはそう言うと奥へと走っていった。この通路の先にはまた鉄の扉があり、その先には警備室がありそこをぬけると東門があった。


「この俺が邪神を逃がすとでも?」


水瀬はそう言うとエースの横を通り抜けようとしたが、エースが剣を突然水瀬に振り下ろした。なので水瀬は仕方なく避けるために下がった。


「向こうに行く前に俺を倒せ……」


「そう言われれば仕方がない。この残酷な(おもしろくない)設定を立ち切ろうじゃないか」


水瀬はそう言うと素早く攻撃に移った。そして水瀬とエースによる激しい戦いが始まった。


「七尾、離れろ!この戦いに手を出すことは多分無理だ」


そう言ったのは桜庭だった。その桜庭もさっきまで構えていた水圧銃を下ろしていた。多分この戦いをタイマンという形で見ているのだろう。


「水瀬さんって一人で戦った方が何故か強いですよね」


そう言ったのは榛葉だった。何故水瀬は一人で戦った方が強くなるのか理由は分からないけれど、多分自由に戦えるからではないか…… という考えが一番有力ではないか? 水瀬の部下達はそう思った……




関東ゾンビ殺所場東門、林班……


「暇だね~」


その時冨沢はそう言いながら空を見ていた。が、今日は曇りだ。しかも今にも雨が降りそうな感じがしている。



ドンッ!


突然東門な近くにあった警備室の扉が開いた。最初は倉科かと思ったがその予想は外れた。


「シンクだ!」


シンクが出てきたことに最初に気付いた塚西は皆に聞こえる声でそう言った。すると冨沢が突然立ち上がり刀を構えた。


「まさか此方は破られてなかったのか……」


シンクはそう言うと渋々短剣を手に持った。そして冨沢へと少しずつ近付いていった。


「エースももう少し良い武器なかったのかね~」



ピリリリリッ!



突然林の持つ無線機からそんな音がした。なので林が無線機を取ると宇土の声が聞こえてきた。どうやら南門に移動しろとの命令らしいが、ここにはシンクがいた。なので林は皆にこう言った。


「小牧、お前はここで冨沢と戦って」


林は小牧の肩に手をおいてそう言うと今度は塚西と中鈴の方を見てこう言った。


「残りは俺と南門へ移動する!」


「了解!」


林はそう言うと二人を連れて南門へと走っていってしまった。この時林には一つの疑問が生まれていた。それは何故宇土が殺所の状況を知っているのか…… だった。



「冨沢准官!援護します!」


小牧がそう言ってシンクに近付こうとした時だった。突然冨沢の刀が何処かへと飛んでいくのが見えた。


「くそっ!武器が……」



冨沢はそう言うと自分の手を見ていた。どうやらその時の衝撃でかなり痺れているらしい。


「冨沢准官!任せてください!」


小牧はそう言うと冨沢の前に立った。



「大丈夫なのか?俺が槍を使うことも出来るが……」


「大丈夫です。これでも中鈴一等に教えてもらってきているので」



小牧はそう言うと槍を手のひらで一回転させた。すると、突然シンクが短剣を使い突き刺そうとしてきた。が、小牧は教えられてきたように槍の持つ部分で攻撃を防いだ。そしてシンクが短剣を少しでも引いた瞬間、小牧は槍で突き刺そうとした……



「あぶね!」


その攻撃は当たりはしなかったものの、かなりシンクを追い詰めていた。が……


「それは上手いけどその次の攻撃まで読まないと……」



シンクはそう言うと肘を使って小牧の背中を殴った。すると小牧はその攻撃を受けてしまい前屈みになってしまった。すると今度は小牧の腹を強く蹴り飛ばした。しかもこれがみぞおちに当たり、小牧は地面に倒れてしまった。が、小牧はそれでも槍を杖のように使い、痛みを堪えて立ち上がった。



「おっと!まさかあのコンボを耐える人間がいたとはな」



シンクがそう言った時だった。突然ポツポツと雨が振りだした。この戦いの時には最悪の天気だ。何故なら雨だと土が泥になってしまい汚れるだけでなく、歩きにくくなってしまうのだ。しかも武器も滑りやすくなってしまうので雨は対策官に嫌われていた。



「ここで負ける訳にはいかない……」


小牧はそう言うと槍を再び構えた。するとシンクがこう言ってきた。


「別に良いじゃねーか。明らかに俺の方が強いんだし。それにお前が負けるなんてことないしね!」



シンクはそう言うと突然小牧に飛びかかってきた。が、その攻撃は避けることが出来たが、その次の攻撃は全てかわすことが出来ず、短剣が腕に当たり、血が少し出てきてしまった。



「今のうちに降参しておいた方が良いと思うけど?」


とシンクは小牧に言ったが小牧の考えは変わらなかった。



「僕は…… 僕はお前を倒す!」


小牧はそう言うと突然槍でシンクを突き刺そうとした。シンクはそれを見てとっさに短剣を小牧の方に向けた。




すると地面には血がポタポタと垂れた……





榛葉祐紀しんばゆき


ゾンビ対策士長


武器……ロングソード

短剣

拳銃

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