#042 白昼堂々
ゾンビ殲滅局東京本部……
「結局ゾンビはいませんでしたね」
小牧はそう言いながらエレベーターのあるところへと歩いていた。民間人からの通報により慌てて局から出た林班だったが、結果から言うと見つけられなかったのだ。
「悪戯だったんだろ!」
と、冨沢が言った。現に局には一ヶ月で三、四件悪戯と思われる通報がくるのだ。なので今それが問題となっていたのだ。
対策2専用室……
冨沢は部屋に着くと真っ先に自分達の机のあるところへと向かった。するとそこには林が席に座っていた。
「何処へ行ってた?」
帰って来た冨沢を見て林はそう言った。なので冨沢は林宛にかいたメモの事を話した。すると林は突然小さな紙を冨沢に見せてきてこう言った。
「これで場所なんか分かるか?」
林の見せた紙には「ゾンビを殺してくる」としか書かれておらず場所等が一切書かれていなかった。なので林が駅に来れなかったのも当然だ。
「林班長!何故か今日は人が少なくないですか?」
塚西は部屋を見回してからそう言った。
「あぁ、それはさっき目撃情報が多数寄せられて、ほとんどの班が向かったからだよ」
林がそう言うと小牧は部屋を見回した。すると、確かに林の言う通り周りの班はいなかった。強いて言うならば水瀬班は居たけれど……
すると突然部屋に宇土がやって来た。
「大変だ!奴等が東京駅に大量のゾンビを引き連れてやって来たぞ!」
林はそれを聞くとすぐに武器を手に部屋から飛び出した。が、東京駅は先程冨沢達が見に行っていなかったはずだ。なのに何故ゾンビが再び現れたのだろうか……
東京駅……
「水瀬班は右へ!笛中、北音寺班は左へ!」
そう言っていたのは有川だった。どうやら実力のある宮島部隊、及び布田部隊がここには居ないらしくかなり慌ただしかった。
「有川特官!我々はどうすれば良いですか?」
林が有川にそう聞くと有川がこう言った。
「林の所は真ん中から!」
「分かりました」
林はそう言われると小牧達を連れて東京駅の中へと入っていった。すると中は言葉が出ないくらい凄いことになっていた。何故なら、中には大量のゾンビと共にサイスがいたのだ。
「サイスは後回し!先にゾンビの殲滅と生存者の確認を!」
林がそう言うと小牧達は近くにいるゾンビに斬りつけ始めた。すると突然一発の銃声がした。その弾丸は小牧の持つ槍に当たり、貫通した。
「俺が黙ってゾンビが殺される所を見ていると思ったか?」
サイスはそう言うと座っていた階段からゆっくりと下りてきた。その間林班メンバーは武器を構えて下りてくるのを待っていた。そしてサイスが階段から下りると突然こう言った。
「殺れ!」
その声と共にさっきまで動かなかったゾンビが一斉に動き始めた。そして林達を襲い始めたのだ。
「仕方ない。殺すぞ!」
冨沢はそう言うと刀でゾンビに斬りつけ始めた…… が、数が多すぎた。その量は一人当たりにつき五体を相手にしないといけないレベルだ。
「人のゾンビを殺すんじゃねーよ!」
サイスはそう言って林に拳銃を構えた時だった。突然サイスの後ろからナイフが飛んできて肩に当たったのだ。その衝撃でサイスは拳銃を落としてしまった。
「誰だ!」
サイスがそう言って後ろを見ようとした時だった。突然サイスの首に何かが触れた。サイスはその触れた物をよく見ると鎌の刃の部分だと分かった。
「動いたら死ぬよ!」
そう言ってサイスの前に出てきたのは倉科部隊に所属する丹波颯友だった。丹波はサイスの前にくるとしゃがんで拳銃を拾い上げた。
「言っとくけど、彼女殺すときは躊躇なく殺すよ」
丹波はサイスに向かってそう言った。多分この時の彼女とはサイスの首に刃を当てている羽部のことだろう。
「ここのゾンビは全て倒す!各自散開!」
そう言ったのは倉科だった。倉科がそう言うと小牧達の近くにいるゾンビを倒し始めた。やはり流石と言うべきだろう。実力のある倉科部隊が来たことにより、サイスを捕まえることに成功したと共に全てのゾンビを倒すことに成功した。
「残念だったな。また俺達の勝ちだ!」
冨沢は取り押さえられているサイスに向かってそう言った。すると、サイスはこう言った。
「残念だが、向こうにはまだ仲間がいるんだよ!ばーか!」
そう言われてしまった冨沢はサイスの事を殴ろうとしたが、林に止められてしまい殴る事が出来なかった……
丹波颯友
ゾンビ対策士長
武器……槍
短剣
拳銃




