#004 武器庫
ゾンビ殲滅局東京本部前……
「これは酷いな……」
そう言ったのは林だった。この道路にはゾンビの肉片があちらこちらに転がっていた
「林!ちょっといいか?」
そんな声がすると槍を持っている男性が林に近づいてきた。彼の名は小橋零。林とは入局した時からの知り合いで仲が良かった
「どうした?」
林がそう質問すると小橋はこう言った
「ちょっとやらかしちゃってね。倒すの手伝ってもらえないか?」
「まぁ別に構わないけど、場所はどこだ?」
林がそう聞くと小橋は申し訳なさそうに東京本部を指差した
「実はゾンビが本部に入っちゃって…… 一応地下に追い込んだから手伝ってもらえる?」
「はい?」
林はそう言うと建物の中に入った。そして階段に向かうと地下からうなり声が聞こえてくるのに気がついた
「仕方ないな。冨沢、用意はできた?」
「もちろん」
林に聞かれると冨沢は刀を抜いてそう答えた
「じゃあ行くよ」
林はそう言うと階段をかけ降り武器庫の扉を開け、素早く中に入った
「冨沢は左を、三人は右を頼むよ」
林はそう言うと部屋の奥へと行ってしまった
「小牧!希種はいないようだけど気をつけて」
そう言ったのは中鈴だった。中鈴は部屋に入るとすぐにゾンビと戦い始めた……
基本ゾンビ対策官はゾンビと戦って負けることはない。今でも度々ゾンビによって人が亡くなるという報道があるものの、それは武器を持たない人だからであり、殺傷能力の高い近接武器を持っているゾンビ対策官はよほどの事がないかぎりゾンビに殺られることはなかった
「左は終わったよ」
そう言ったのは冨沢だった。冨沢の足下には首のないゾンビが数体倒れていた
「分かった。ならこっちを手伝ってくれ」
そう言ったのは林だった。林は少し前に主力武器である火炎剣を壊してしまっていた。なので林はゾンビに噛まれるリスクの高い短剣で戦っていた
しかしこの短剣は厄介な武器で、ゾンビに噛まれるリスクが高いだけでなく、しばらくの間手入れをしていなかったので切れ味も悪かった。なので林一人でゾンビを相手にするには限界があった
「今行くよ」
冨沢がそう言ったときだった。突然武器庫の扉が開くと、二人の対策官が林の前に出てきてゾンビを代わりに倒し始めた
「林は下がってていいよ」
そう言ったのは小橋だった。小橋は部下の女性と共に部屋の奥にいるゾンビを倒し始めた
「なんだ、自分達で対処できるじゃん」
林はそう言うと短剣をしまった。そして部下達にこう言った
「あとは小橋班で対処できるはずだ。俺の班は戻るよ」
林はそう言うと武器庫から出ていった。小牧も林のあとを追って武器庫から出ると、扉の近くにライフルを持っている男性といかにも危なそうな武器を持っている女性がいた。果たしてこんな武器はいつ使うのだろうか?
そんな疑問をあとにして小牧は階段を登った
「おい林!宇土の野郎を見なかったか?」
林達が一階につくと突然そう言われた。なのでその声のした方向を見ると、そこには大きな銃を持っている男性がいた
「新庄二佐ですか。宇土司令は見てませんが何かありましたか?」
林は新庄にそう聞いた。すると新庄は怒ったようにこう言った
「何がありましたかじゃねーよ。あの野郎突然本部に戻れと指示してきたんだ。だからその用とやらを聞きに来たんだよ」
新庄は乱暴にそう言った。そんな新庄の後ろでは部下と思われる男性が林達にペコペコと頭を下げていた
そんな時だった。近くの階段から一人の男性がかけ降りてくるのが見えた。その男性は林と新庄の所にくるとこう言った
「突然呼んで悪かったね。東京駅には宮島、宗部隊もいるし大丈夫だと思ったんだよ。それより本部にいる対策官を集めてくれ!人が必要なんだ!」
そう言ったのは宇土と呼ばれる司令官だった。司令官は対策官とは違い、直接ゾンビと戦うことはしなかった。その代わりに対策官をまとめ、指示することをしていた
「塚西、小橋に伝えてきてくれ」
「了解です!」
塚西は林にそう言われると、小橋班に宇土のことを伝えるために階段をかけ下りていった……
それからしばらくして、この本部の一階に対策官達が集まってきた。宇土はある程度集まったのを確認すると拡声器を持ってこういった
「こんな状況になっているときだが、大東京埋め立て場にゾンビがいるとの通報があった。なので、ここにいる班はその現場に向かってもらう!」
宇土はそう言った。すると一人の男性対策官が宇土にこう質問した
「宇土!本部には残さなくていいのか?」
斧を持っている男性対策官がそう言うと宇土は外を見てこう言った
「ここには倉科部隊を残している。だから問題ない。なお、現場の指揮は芝に任せる!解散!」
宇土はそう言うと拡声器を下ろした。すると対策官達は現場に向かうために一斉に地下駐車場へと向かい始めた。それはもちろん林班もだった……
小橋零
三等ゾンビ対策佐官
武器……刀
拳銃
短剣
※修正済み