#031 屍食鬼
宇土の予想した通りに奴等はやって来た。その中でも一番最初にゾンビを発見したのは林班だった……
「林!八体だ!」
冨沢はいつもとは違って真面目な顔をして言った。林はそれを聞くと班員にこう言った。
「こいつらはここで殺す!油断するなよ!」
「了解です!」
そう言うと中鈴は一番近くにいたゾンビの胸に槍を突き刺した。すると、ゾンビは槍に突き刺さったまま動けなくなってしまった。
ビシャッ!
突然ゾンビの首から血が飛び散った。
「急げ!とっとと倒すぞ!」
そのゾンビのとどめを刺したのは冨沢だった。林も冨沢に遅れを取らないように走り始めた……
「小牧!左のを!」
冨沢は二体目のゾンビを斬りつけながらそう言った。小牧はそれを聞くとその方向にいるゾンビへと近付いた。そしてゾンビの足に突き刺した。
そしてゾンビが倒れたら、その突き刺さっている槍を引き抜きゾンビの頭に突き刺してとどめを刺した…… が、今は一体倒しただけでは終わらない。何しろ沢山いるのだから……
「小牧!頭を下げろ!」
突然の冨沢の声に思わず小牧は頭を下げた。すると、スレスレの所を冨沢の刀が通った。そして小牧の足下に血が垂れた……
「冨沢准官?」
小牧はそう言うと後ろを向いた。するとそこには首のないゾンビが倒れていた。しかし、冨沢がこのゾンビが近づいていることに気が付いていなかったら小牧は死んでいたかもしれない…… そう思えば思うほど怖くなるものだ……
「血液の量ヤバイな」
冨沢はそう言うと刀を手元で小刻みに振った。すると、刀からはゾンビの血が地面に垂れた……
「雑魚処理完了だな」
林がそう言った時だった。少し離れている所から一体のゾンビがゆっくりと歩いてきているではないか!
「林三佐!ゾンビがいます!」
最初にそのゾンビを見つけた小牧はそう言った。すると塚西がクロスボウの矢を放った。その矢は誰もがそのゾンビに当たったと思っていたが、そのゾンビは突然ジャンプしてその矢を避けた……
「あいつ希種じゃねーか!」
塚西がそう言うとまた矢を放つ為に矢を取り付けた。
「塚西は援護、他は直接攻撃しろ!」
班長である林がそう言った。すると、最初に飛び出したのは冨沢だった。冨沢はそのゾンビに向かって一直線で走ると刀を振った。
ビュッ!
刀が風を切る音がした。残念ながら冨沢の攻撃は避けられたらしい…… すると、そのゾンビは小牧の方に近付いてきた。当然の事ながら小牧はまだ新人だ。希種との戦い方など知るはずがない……
小牧の頭が真っ白になっているときにゾンビは襲いかかってきた。そしてそのまま小牧の腕に噛み付いた……
「やめろーーー!」
小牧はようやくゾンビの事に気が付いた。すると、突然ゾンビの首から血が出てきた。そして、その希種は倒れてしまった……
「クソ!間に合わなかったか……」
林はそう悔しがると無線機を取り出した……
作戦司令車……
「郡山副本部長!大変です!」
宇土がそう言うと郡山が慌ててやって来た。
「どうした?何かあったのか?」
郡山がそう聞くと、宇土は少し間を開けてからこう言った。
「林班の一人がゾンビに噛まれました……」
「え?」
人間がゾンビに噛まれると数時間後にはゾンビになってしまう。そう考えた郡山は林班の撤退を決めたのであった……
塚西唯男
一等ゾンビ対策官
武器……クロスボウ
拳銃




