#305 作戦
二月二十八日、午後三時
東京本部第一会議室……
東京本部第一会議室は明日行われる『旧下水管制圧作戦』に向けて、専用の対策室になっていた。そして今、これから作戦会議が始まろうとしていた
バンッ!
「全員いるか?」
扉を乱暴に開け、部屋に入ってきたのは藍卯だった。藍卯は部屋の中にいる対策官達を見ると「それじゃあ始める」と言い、皆の前に立った
「今回の作戦では旧下水管内に敵の拠点がないか調べるために全域を制圧してもらう。またそれに当たって調査部と通信部にも協力してもらうことになった」
藍卯はそう言うと三ツ木と夏川を見て、皆に自己紹介するよう目で指示を出した。なので二人は立ち上がり、藍卯の横に移動した。そして三ツ木からこう言った
「調査4の三ツ木です。今回の作戦では敵拠点の捜査を担当します。どうぞ宜しく」
「三ツ木の話によると旧下水管内に調査官が入るそうだ。だからこいつらを守ってやれ」
藍卯がそう言った
「一応旧下水管に送る人は対ゾンビに長けている現役調査官や元調査官です。なのである程度であれば大丈夫ですが、何かあった際はお願いします」
三ツ木はそう言うとマイクを隣に立っている夏川に渡した。すると夏川はマイクを受け取り、こう話した
「通信部の夏川です。私達通信部は旧下水管内での情報伝達を行います。なので何かあれば通信官に話しかけて下さい」
「そういうことだ。二人は戻れ」
藍卯がそう言うと二人は素早く席に戻った。そして着席したのを確認すると藍卯は「それじゃあ肝心の作戦についてだ」と言い、部屋の隅にいる宇土を見た
「これで大丈夫?」
部屋の電気を消し、ホワイトボードに旧下水管の見取り図を映し出すとそう聞いた。しかし藍卯は宇土には何も言わず、作戦について話し始めた
「作戦開始は明日の午前十時。開始と共に旧下水管の奥へと向かってゾンビを倒しながら進め。どの班、部隊がどの方向へ進むかは事前に配った資料を見ろ。私からは以上だ」
藍卯はそう言うとマイクを置き、部屋から出ていった。それを見た宇土は「次は旧下水管での注意事項について説明します」と言い、ホワイトボードに注意事項をまとめたスライドを映した
そこには『銃の使用禁止』や『旧下水管でやってはいけない事』といった基本的なものから、『旧下水管の中でも特に危険な場所』といったものまで載っていた
「そういう事なので、旧下水管では今まで以上に連携が求められます。なので注意して下さい」
宇土はそう言うと電気をつけた。そして「作戦の説明については以上です。何か質問はありますか?」と聞いた。しかし誰からも質問が無かったため、宇土は「それでは作戦会議を終わりにします」と言い、解散させた
「今回の作戦大丈夫ですかね」
作戦会議が終わり、宇土が椅子に座ると屋島がそう聞いてきた。なので宇土は「どうだろうね。旧下水管みたいな環境で作戦したこと無いから俺からは何とも……」と答えた
「何とかならないと此方としては困るんだが、大丈夫か?」
二人が話していると三ツ木がそう言って話に入ってきた。なので宇土は「そういったのは主司令の藍卯にお願いします。今回は副司令ですので」と言った
「確かにそれもそうだな。あとで言っとくよ」
宇土に対して三ツ木はそう言った
「そういえば三ツ木さん。旧下水管に入る調査官って大丈夫なんですか? あそこは対策官でも余裕が無く、危険ですが……」
宇土は三ツ木にそう聞いた。すると三ツ木は「それなら大丈夫。適した人を選んだから」と言うと、近くにいる調査官達を呼んだ
「この四人に入ってもらう予定だが、宇土から見ても大丈夫だと思うだろ?」
三ツ木の呼んだ四人は元調査官で現対策2の柚木、対策5の右京、現役調査官の和倉と坂本だった
「対策部の二人は大丈夫だと分かりますが、残りの二人は実力が分からないので……」
宇土がそう言うと三ツ木は「それなら大丈夫。二人ともゾンビとの戦いを経験してるから」と言った。すると和倉と坂本は
「敵の罠に引っかかっただけですけどね」
「私も似たような感じです」
と言った。なので宇土は「何があったんですか?」と聞いた。しかし三ツ木は「極秘じゃないけど、あまり広めてほしくないから話さなくてもいいよね?」と言った
「ええ、別に無理して話す必要はありませんので」
宇土がそう言うと、調査4の織部が「三ツ木さん! ちょっといいですか?」と少し離れた所から呼んだ。なので三ツ木は「悪い。呼び出されたから行くよ」と言った
「はい。それでは明日、作戦現場で」
宇土はそう言うと三ツ木と別れた
旧下水管制圧作戦は明日の午前十時開始。なので宇土はそれまでの間に準備を済ませるべく、屋島と共に用意をし始めた……
和倉伊吹
准ゾンビ対策官
常備武器……拳銃




