#297 合流
バッ!
新戸はゾンビの右腕を剣で斬り落とした。するとゾンビはそれに怒ったのか新戸に向かって飛びかかった
「任せてください」
それを見た小牧が素早く新戸の前へ行き、飛びかかるゾンビに槍を向けた。するとゾンビはその槍に腹から刺さってしまい、動けなくなってしまった
「ナイス! 助かったよ」
新戸はそう言うと倒れているゾンビに近寄った。そしてゾンビを倒すために剣で首を斬ろうとした……
ギャーーー!
突然ゾンビが叫びだした。なので新戸はとっさにゾンビから離れた。そして叫びが終わると「なに? 今のは」と言った
「何でしょう……。ただ逃してはいませんので、先にトドメをお願いします」
小牧はゾンビが刺さった槍を持ちながらそう言った。すると新戸は「分かった。まずはトドメね」と言い、ゾンビに近寄った。そしてゾンビの首を斬り落とした
「これで一安心ね」
新戸は斬り落としたゾンビの頭を見るとそう言った。するとそんな二人のところに有川達がやって来た。そして有川は二人に「よくやった。これでA3はクリアだ」と言った
「この後はA4へ?」
新戸がそう聞くと有川は「ああ、予定だとこの班はA4だからそこまで進む」と答えた。そして後ろにいる佐瀬と上間に「二人ももう戦えるだろ?」と聞いた
「もちろん大丈夫です」
「はい。戦えます」
二人はそう答えた。なので有川は「それじゃあA4に進もう。次で本日ラストの区画だ」と言い、A4へ繋がる配管がある場所へ移動した
「それじゃあ佐瀬、小牧、上間、新戸の順番で付いてきてくれ」
有川はそう指示を出し、配管の中にを進んでいった。なので四人もその指示通り付いて行った……
「しかし今回は運が悪いですね。エリアAにも関わらずゾンビに遭遇するなんて」
歩きながら佐瀬がそう言った。なので有川は「あぁ本当に。明らかにいつもと状況が違う気がするんだよなぁ……」と言うと足を止めた
「どうかしました?」
佐瀬が有川にそう聞いた。すると有川は「足音がしないか?」と言った。なので小牧も耳を澄ませてみると何処からか足音が聞こえた
「確かにします」
小牧はそう言った。すると一番後ろにいる新戸が「でもこの音、後ろからしませんか?」と言った
「後ろ?……確かに後ろですね」
佐瀬もそう言った。なので有川は「柵か? 念の為、後ろを照らしてくれ」と指示を出した
「了解です」
新戸はそう言うと懐中電灯で後ろを照らした。しかしそこには誰もおらず、明かりすら見えなかった
「まだ距離があるんですかね……」
後ろを確認した佐瀬はそう言った。すると突然後ろに二つの光が見えた
「光です! 有川特官」
新戸はそう言った。すると有川は「分かった。新戸、上間、小牧は構えろ。佐瀬は前を警戒」と指示を出した。そして光源に向けて「後ろにいるのは誰だ。答えろ!」と言った
「笛中です。有川さんですか?」
光源からそう返ってきた。なので有川は「そうだ」と答え、部下達に「もう大丈夫だ」と言い、武器を下ろさせた
「まだA4に辿り着いてなかったんですね」
笛中は有川班に合流するとそう言った。なので有川は「A2、A3とゾンビに遭遇したせいで時間を取られたんだ。死体を見ただろ?」と聞いた。すると笛中は「勿論。A3には沢山あったので、相当大変だったのでは?」と言った
「そりゃあ、亜種みたいなやつが出てきたからな」
有川はそう言うとA4に向けて歩き始めた
「それは大変でしたね」
笛中は実際に戦いの場に居なかったため、苦労を知らなかった。なので有川は「本当に大変だったよ。A4では遭遇しないとありがたいんだがな」と言い、A4に入った……
「照らせ」
A4に入ると有川はそう言った。なので部下達は懐中電灯でA4を照らし、ゾンビが居ないか探し始めた。そして少しすると有川が「もう大丈夫だ。ここにはいない」と言い、A4の真ん中に移動した
「笛中、柵はいつ取り付けるんだ?」
有川がそう聞くと、笛中は「柵は部下達が持ってきてるので、それが来たらすぐに設置します」と答えた。なので有川は「分かった。佐瀬と小牧はB1だから……あっちの配管を、上間と新戸はこっちの配管を柵が取り付けられるまで見張っていてくれ」と指示を出した
「了解です」
佐瀬はそう言うと小牧と共にB1へ繋がる配管がある場所へ移動した。そしてその配管からゾンビが来ないか監視し始めた
「とりあえずこれが終わればこの班の仕事は終わりだね」
佐瀬は小牧にそう言った。なので小牧は「えぇ、何とかなって良かったです」と返した……
川中一平
一等ゾンビ対策佐官
武器……斧
拳銃




