#292 梯子
午前九時半、旧下水管入口付近……
「それじゃあ始めようか」
そう言ったのは有川だった。すると布田が「中に入る順番としては宮島、俺、有川さんでいいんですか?」と言ってきた。なので有川は「あぁ、宮島なら大丈夫だよな?」と宮島に聞いた
「ここへの突入は初めてではないので問題ありません」
「なら大丈夫だね。それじゃあ作戦を……、って宇土はどうした?」
有川は周りを見ながらそう聞いた
今回の『エリアA確保作戦』は宇土が担当している。なのでこの場に宇土がいなくてはならないのだが、この場に宇土はいなかった。するとそんな有川に佐瀬が「宇土司令からの伝言です。テントを張るのに手間取っているため、勝手に始めていいとのことです」と言った
「テント……作戦司令用のやつか。まったく……。それじゃあそう言ってることだし始めようか」
有川がそう言うと、土井は旧下水管へ入るためのマンホールを外した。そして旧下水管にライトを投げ込むと宮島に「オッケーです」と言った
「いくぞ」
宮島は後ろにいる部下達にそう言いながら剣を抜いた。そしてヘッドライトをつけると旧下水管へと飛び降りていった……
「大丈夫ですか?」
土井は旧下水管を覗き込みながらそう聞いた。すると少ししてから「もう来ていいぞ」と返ってきた。なので土井は後ろにいる新宮、水瀬、宗、倉科に「オーケーです」と言った
「よし! 我に任せろ!」
水瀬はそう言うと槍を持ち、旧下水管へと飛び降りていった。するとそんな様子を見た新宮は「下はクリアしてるんだから慌てなくていいでしょ」と言うと、梯子を使って降り始めた……
「始まりましたね……作戦」
宮島班を見ていた小牧は隣りにいる佐瀬にそう言った。すると佐瀬は「不安か?」と聞いてきた。なので小牧は「いえ、ただなんと言いますか……アレなだけです」と言った
「大丈夫大丈夫。そう心配するな」
そう言ってきたのは有川だった。有川は小牧の肩に手を置くと「小牧だって優秀な対策官だ。もう少し自分を信じろ」と言った
「そうそう。だいぶ強いんだから……まぁ、そう心配しなくて大丈夫だよ」
近くにいた丹波が小牧にそう言ってきた。するとそんな丹波に有川は「丹波、羽部が呼んでるぞ」と羽部がいる方向を指差しながら言った
「え?」
丹波はその方向を見ると、そこには梯子を少し降り、顔だけを地面から出している羽部がいた
「ごめんごめん。すぐに行くから」
丹波がそう言うと羽部は何も言わずに降りていった
「それでは失礼します」
丹波は有川達にそう言うと旧下水管へと降りる梯子がある場所へと向かって走っていった。なので有川は「そっちも頑張れよ」と言った。すると丹波は「ええ、それでは!」と言い、梯子を降りていった
『さて、次は俺達の番だな』
有川は心の中でそう言うと、部下達に「用意は済んだか?」と聞いた。すると四人はそれぞれ武器を出すと、佐瀬が代表で「いつでも行けます」と言った
「それじゃあ行こう」
有川はそう言うとヘッドライトをつけ、梯子を降りていった。その後は佐瀬、小牧、上間、新戸の順で旧下水管へと降りていった……
「ここが旧下水管……ですか……」
新戸は旧下水管に足をつけるとそう言った。すると有川が「上間と新戸は初めてだったな。どうだ? この場所は?」と聞いた
「どうと言われましても……」
上間が返答に困り、そう言うと有川は「まぁそうなるよな。それはそうと作戦を始めようか」と言うと少し間を開けた。そして「この班はAの4に向かう。ルートは俺が知ってるから後ろから付いてきてくれ」と言った
「了解です。因みにA4方向に亜種等はいますか?」
佐瀬がそう聞いた
「A4方向で亜種と遭遇したことはない。だが油断はするなよ。普通のゾンビはいるだろうし、もしかしたら亜種が他の所から移動している可能性もある」
有川はそう答えるとA4方向へと歩き始めた……
旧下水管のエリアAは全体的に管が広く、水が無い場所が多かった。しかし日光が差し込んでいないためとても暗く、ライトで照らしていない所には何があるのか全く分からなかった。そのため今回の作戦ではヘッドライト、懐中電灯の二つを使って行く先を照らしていた
「おっと」
有川は突然立ち止まった。なので有川の後ろを進んでいた佐瀬が「どうかしましたか?」と聞いた。すると有川は「前から音がした」と言うと懐中電灯をしまった。そして四人に「俺と佐瀬で戦う。三人は前を照らしていてくれ」と指示を出した
『ゾンビか……』
それを聞くと小牧は前から三番目にいるため、佐瀬の後ろから懐中電灯で前を照らした。しかし小牧の位置からでは前に何かがいるようには見えなかった
「それじゃあ進もう。三人共頼むよ」
有川はそう言うと大鎌を両手で持ち、慎重に前へと進んでいった……
宮島有都
特別ゾンビ対策官
武器……電撃棒
剣
緊急防御箱
拳銃




