#269 確定
六王子大学二十四号館、六階……
「しかしこいつどうする?」
そう言ったのは白井だった。白井はトレイの腕を強く掴んで動けないようにしていた。すると高本が「誰か呼んでこよっか?」と言ってきた
なので白井は「頼む。俺達は早くここから出ないとマズイからな」と言った
「オーケー」
高本はそう言うと部屋から出ていった。すると捕まえてからずっと静かだったトレイが突然暴れ始めた
「暴れるな。てかこの状況で逃げれるわけないだろ」
白井はトレイを床に伏せ倒すとそう言った。するとそんな所に三ツ木がやって来た
「こっちの用は済んだから変わるよ」
三ツ木はそう言うと白井に変わってトレイを押さえつけた。なので白井は「助かる」と言い、立ち上がった。すると三ツ木が「正面は調査5がいる。逃走は裏から行け」と言った
「了解。それじゃあ色々と頼むよ」
白井はそう言うと高本を見た。そして二人は仮面をして部屋から出ていった……
「おっと!」
二人と入れ替わりで織部と女性調査官が入ってきた。織部は三ツ木が取り押さえているのを見ると、駆け寄り「自分がやります」と言った。なので三ツ木は「頼む」と言い、織部と交代した
「三ツ木さん。瀬戸から報告がありましたが、シンクとサイスはダメとの事です」
女性調査官がそう報告すると三ツ木は「分かった。瀬戸にここへ来るよう伝えてくれ。瀬戸が来たらコイツを移動させる」と言った
「了解です。因みに移動先は殺所で?」
「あぁ、殺所の取調室やらがあるところに連れていく」
三ツ木がそう言うと女性調査官は「では殺所にも一報入れておきます」と言った
「頼んだ」
三ツ木がそう言うと女性調査官は仲間の調査官に連絡を入れ始めた……
六王子大学東門付近、作戦司令車……
「宇土司令、全班に予定の作戦へ戻るよう指示しました」
そう言ったのは堤だった。すると宇土は「把握」と答えた
「しっかしさっきのは何だったんだろうね」
そう言ったのは米田だった
今から十分ほど前の事、突然調査4の人から「エースを捕まえてくれ」と頼まれた。なので宇土は疑問がありつつも全班にエース確保の指示を出したのだった……
「とりあえず調査部の要望通り全班送ったけど、あそこの部が何してるのか全く分からん」
宇土がそう言うと米田が「まぁそれが調査部だもんな」と言い、フッっと笑った
「まぁ今ある情報から考えると、エース関係で何かやったんだろうね」
宇土がそう言うと米田が「だろうな。狙撃された云々の会話あったしな」と言った
「え?なにその話」
初耳だったため米田にそう聞いた。すると米田は「周波数いじったらたまたま聞こえたのよ。まぁすぐに戻したから詳しいことは分からないけどね」と言った
「ふ~ん。狙撃ねぇ……」
宇土がそう言った時だった。突然ピピピッ!と鳴った。なので宇土は「取るよ」と言い、無線に応答した
「こちら作戦司令、どうぞ」
宇土がそう言うと相手から「こちら染井班、四号館付近でゾンビらしき者を発見。これより確認します」と報告が来た。なので宇土は手元にあるモニターに『四号館、ゾンビ?確認』と書きながら「了解です。確認後報告願います」と言った
「確認後報告、了解です」
そう返ってくると無線は切れてしまった
「いや~、やっぱりゾンビいるのか」
無線が切れると米田がそう言ってきた。なので宇土はヘッドフォンを外し「まぁ怪しいから掃討作戦してるんだけどね」と言った
「でもここ雰囲気的に居なそうじゃん」
「まぁ今までの所とちょいちょいと条件は違うけど……」
宇土がふと手元にあるモニターを見ると、赤文字で『八号館付近敷地外、ゾンビ確定』と書かれているのに気が付いた
するとそれと同時に米田が「宇土、ゾンビいるみたいじゃん」と言ってきた。なので宇土は「分かってる。それでどんな指示を……」と言うとモニターをじっくりと見た
すると『桜庭対応』という文字が追加された。なので宇土は大きな音が鳴るよう手を叩いた。そして「この件は誰だ」と聞いた
すると屋島が「自分です」と言い右手を挙げた。なので宇土は「規模は?」と聞いた
「全ては把握できていませんが、最低五体だそうです」
屋島はそう言った。なので宇土は「分かった。それは桜庭班に任せて、他は続行。これ以降、異常発生したら口頭で伝えろ」と皆に言った
ピピピッ!
宇土は無線が鳴るとすぐにヘッドフォンを付け「こちら作戦司令、どうぞ」と言った。すると相手から「確認後報告、ゾンビではありませんでした」と報告がきた
なので宇土は「了解。作戦に戻って下さい」と指示を出し、同時に『四号館、ゾンビ?確認』という文字の上にバツをつけた
「了解です」
相手からそう言われると無線は切れた
『こっちは大丈夫だったが、八号館の方は大丈夫か?』
宇土はモニターに書かれている『八号館付近敷地外、ゾンビ確定』という文字を見ながらそう思った……
白井政晴
潜入捜査官
武器……拳銃




