#268 担当
「エース!これが最後のチャンスだ。武器を捨てろ!」
男性調査官はサブマシンガンをエースに向けそう言った。けれどエースはその警告を無視し、冨沢と戦っていた
「それが答えだな」
男性捜査官はそう言うと銃を撃とうとした。けれどエースは冨沢と戦っているため、林は「待て!対策官に当たるから!」と言い止めようとした
けれど男性調査官は「まぁ任せろって」と言い発砲した
パパパパッ!
調査官の撃った銃にはサプレッサーがついており、発砲音はかなり静かだった。けれど弾丸はしっかりとエースに命中したため、エースは膝から崩れ落ちてしまった
「危ね!死ぬかと思ったわ!」
エースが倒れると冨沢は飛び上がりそう言った。すると男性調査官はエースに近付き、後ろにいる部下に「報告頼む」と指示を出した
「了解です」
部下の調査官はそう言うと無線機を使い、報告し始めた
「さて、これは良いとして……」
男性調査官はそう言うと林を見て「久し振り、林」と言った。するとそれを聞いた冨沢は林に「林!コイツ知り合いなのか?なら注意してくれ!危なすぎるわ!」と言い寄った
「宮林、助けてくれたのは感謝するがやり方が粗すぎる」
「まぁ心配すんなって、これでも銃の腕は良い方なんだ」
宮林は持っている銃を林に見せながらそう言った。すると林は倒れているエースに近付いた。そして「殺ったか?」と聞いた
「いや、エースは死なないように撃ったよ。既にコイツの仲間を撃ち殺してるしね」
「仲間を?誰をだ?」
それを聞くと林はそう聞いた。すると宮林は「本館屋上で狙撃してるやつを後ろからババッっと。確かサイスだっけ?」と答えた
「まて林!コイツは誰だ!知り合いか?」
冨沢は林の肩を掴んで揺らしながらそう聞いた。すると林は「大学で一緒だっただけだよ」と答えた
「調査5の宮林、宜しく」
宮林は軽く自己紹介をした。すると冨沢は「対策2の冨沢……ってそんなのはどうでもいいんよ。さっきは俺を殺す気だったろ!」と言った
「まぁ当たったら仕方ないくらいにはね」
宮林は適当にそう答えた。すると冨沢は「林!コイツ反省してねぇぞ」と言い、再び林を揺らした
「まぁ落ち着け。宮林は昔からチャラいやつなんだ」
林がそう言うと宮林は「まぁこれでも経験はバッチリよ」と言った
「な~にがバッチリよ。調査部なんだからどうせ大したもんないだろ」
冨沢はそう言うとこの場を離れようとした。するとそんな冨沢に林が「それは違う」と言った。なので冨沢は立ち止まり「じゃあ何かあるの?」と聞いた
「あぁ、宮林は対策官として上野公園新平地作戦に参加してる」
林がそう言うと冨沢は「マ?」と聞いた。なので林は「ホント」と答えた
「それはマジよ。てか林の班と違って公園内担当だったしね」
冨沢はそれを聞くと『公園内担当って……』と思った
上野公園新平地作戦では担当が大きく二つに分かれていた。一つは林が参加した公園を囲む担当。そしてもう一つは公園内のゾンビを倒す担当だった
「あれってつまりどういうこと?」
五年前の事情にあまり詳しくない佐伯は小牧にそう聞いた。なので小牧は雑談の時に聞かされた事を思い出しながらこう言った
「上野公園新平地作戦で本部の対策官が大勢亡くなったのは知ってるよね?」
「それは知ってる。聞かされたから」
「その作戦での遺体はほとんど公園内にあった……って聞いたからその事じゃないかな」
小牧はそう答えた。するとそれに付け足すように中鈴が「それもあるが、この流れ的に公園内担当の死者数の方だと思うよ」と言った
「えっとそれは?」
「例の作戦の死者数はほとんどが公園内担当で、林二佐の担当した外周はそこまで被害が出てなかったんだ。だからその公園内担当だったにも関わらず生き残ってるからこうなってるんだと思う」
中鈴がそう言うと宮林が「君詳しいね。君も参加者?」と聞いてきた。なので中鈴は「いえ、全て聞いた話です」と答えた
「なんだ。やっぱり当時の人はあまりいないんだな~」
それを聞くと宮林はそう言った
『ここにいないだけで対策部にはかなりいるけどね』
林がそう思った時だった。突然笛中が「医官を連れてきたから退いてくれ!」と言ってきた。なので林と宮林はエースから離れた
「さて、じゃあ後は任せるよ。そんじゃあ」
宮林はそう言うと部下と共にこの場を離れていった
「また今度」
林は宮林にそう言った。すると宮林はそれに答えるように右手を小さく挙げた
「まぁ……うん。そんでどうする?」
冨沢がそう聞いた。なので林は笛中に「笛中さん。何か手伝えることありますか?」と聞いた。すると笛中に「こっちは大丈夫。宇土に聞いてくれ」と言われた
なので林は無線を使い、宇土司令部隊と通信し始めた……
宮林凜介
准ゾンビ対策官
常備武器……拳銃




