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僕らはゾンビ対策官  作者: ソーダ
第五章 調査
280/347

#254 主張

午前十時、とある橋にて……


「それじゃあ時間になったし始めよう」


林がそう言うと小橋は「それじゃあ作戦通り向こうで合流な」と言い、河川敷へと下りていった


「それではまた後で」


倉科もそう言うと小橋班のあとに続くように土手を下りていった



「よっしゃ!やるぞ!」


冨沢はそう言うと刀を抜いた。するとそんな冨沢に林が「冨沢、悪いが俺達は下には下りないぞ」と言った


「え?なんで?」


林に言われると冨沢はすぐにそう聞いた


「この班の担当は堤防の上からゾンビを見つけることだ。因みに見つけたら言ってくれ。無線で小橋と倉科に伝えるから」


林がそう言うと冨沢は「うわー萎えるわ。今すぐ帰りたい」と言い、刀を鞘にしまった


「でもここからゾンビを見つけられますかね?下は草が生い茂ってますけど」


佐伯がそう言うと林は「別に見つけられなくてもいいよ。ただこれは見つけられたらいいなーレベルのものだし」と言うと堤防をゆっくりと歩き始めた。そして時々双眼鏡を使って小橋班、倉科部隊の場所を確認していた


「何というか地味ですね。今回は」


小牧がそう言うと冨沢が「ほんと、せっかくのやる気がもったいないわ」と言った。するとそれを聞いた中鈴が「やる気はいつも出してください」と言った


「気が向いたらね」


冨沢はそう言うと林に頼んで双眼鏡を借りた。そしてその双眼鏡で河川敷を見た


「うん。ゾンビどころか小橋達すら見えん」


冨沢がそう言うと林が「まぁここら辺は草がすごいからな。ただ向こうに行けば見やすくなるよ」と言った。なので冨沢は双眼鏡を下ろし、林の言う方向を見た。その方向は開けており、公園みたいになっていた


「あー、よくあるよね。こういうやつ」


冨沢はそう言うとその方向を双眼鏡で見た


「ほぇー、サッカーのゴールとかあるじゃん」


「まぁあそこは公園みたいになってるかるな。もう少し先にいくと広場みたいなところに出るはずだよ」


林がそう言うと、冨沢は双眼鏡でサッカーゴールの奥を見た


「何もないな。あそこらは」


「目撃情報はここら辺らしいからちゃんと見といてよ。双眼鏡奪ったんだから……」


「はいはい任せなさいな」


冨沢はそう言うと双眼鏡でゾンビがいないか探し始めた。けれど冨沢から見える範囲にゾンビはいなかった……



東京本部、本部長室……


この部屋には仲野、郡山、藍卯、三ツ木、榎本がいた。普段であればこのメンバーでギクシャクしたことにならないのだが、今回は調査部にスパイがいた件もあり、部屋には異様な空気が流れていた


「それで何故呼んだ」


藍卯は壁に寄っ掛かりながらそう聞いた。すると仲野は「調査部の件でちょっとね」と言った


『調査部の件……ってことはスパイのことか』


榎本は心の中でそう思った


「今回皆を呼んだのは調査1にスパイが……の事についてだ」


仲野がそう言うと藍卯が「その件なら私がぶっ殺したはずだが、まだ何か話すのか?」と聞いた。すると仲野は「確かに今回は藍卯が対処してくれた。けど、本来スパイの対処は藍卯の仕事じゃない……」と言った


「すまん。こちらの対応が遅れたせいだ」


三ツ木がそう謝った。すると仲野は「いや、別に謝ってほしいわけじゃないんだ。ただ何でその対応が遅れたのかな……って思って調べてもらったんだ」と言うと机の中から一枚の紙を取り出した


そしてその紙を見ながらこう言った


「これにスパイ対処のための会議での発言がまとめてある」


「まて、それは誰がつくった。調査部の会議は極秘のはずだぞ」


郡山がそう言うと仲野は「あぁこれ?現状の調査部に不満を持っているであろう人に頼んだらつくってくれたよ。どうやら自分達の手で不満を潰そうとしてたみたいだけど、それはやめるよう言っといたよ」と言った


『不満を持ってる人……藤田さんかな?』


榎本はスパイ対処の会議を思い出しながら、心の中でそう言った。すると郡山は「月野木、藤田のどっちかか」と言った。けれど仲野は「プライバシーの都合上答え合わせはしないよ」と言った


「それで何だ。その会議で何があった?」


藍卯はその会議には参加していなかったため、内容が分からずそう聞いた。すると仲野は「この紙を見た限り、ちょっと邪魔な人がいるような気がしてね。藍卯も見てみる?」と言うと藍卯に紙を渡した


藍卯は紙を受け取ると、全文をサッと見た。そして仲野に「郡山、お前余計だろ」と言った。すると郡山は「余計とは失礼だな。俺の仕事には調査部の管理もあるんだよ」と言った


「いや、これはどう見ても邪魔だ。さっきから黙ってる榎本はどう思う?」


藍卯は突然榎本に話をふった。なので榎本は「え?あ、確かにちょっと流れが悪いというか何というか……」と適当に言って誤魔化した


「まぁそういうわけだ。だから今日から副本部長の仕事から調査部の管理を外す」


仲野がそう言うと郡山が「まて、何を言ってるんだ」と聞いた


「だから今日から調査部の全権利は三ツ木に持たせる」


仲野がそう言うと三ツ木が「それはつまり圧力をかける人はいないってことか?」と聞いた。すると仲野は「あぁ、調査部は三ツ木がまとめあげろ。ただ責任とかもあるからその点はね」と言った


「了解。任せてくれ」


三ツ木はそう言った


『三ツ木さんも圧力って言ってたし、郡山さんのこと邪魔だったんだな』


榎本がそう思ったときだった。仲野がここにいる全員に「以上。解散でいいよ」と言った


仲野がそう言ったため、榎本達は部屋から出ようとした。けれど郡山が「まて!」と言ったため皆その場で立ち止まった


「納得いかん。何故こうした」


郡山が仲野にそう聞いた。すると仲野は紙を見せながら「ただこれを見て調査部を妨害していると判断した。それだけだ」と言った


「だが……」


「郡山、諦めろ。確かにお前は色々なことに首を突っ込んでて邪魔だ」


藍卯は郡山にそう言うと、今度は仲野を見て「仲野、できたらコイツを上層会議から外してくれ。不快だ」と言い、部屋から出ていった


するとそれを聞いた郡山は「やっぱり何でもない。失礼した」と言い、部屋から出ていった


「それでは自分も……」


榎本はそう言うと三ツ木と共に部屋から出た



「あの部屋空気悪いな」


三ツ木がそう言うと榎本は「えぇ、いつもと違って最悪でした」と言った


「しかしあんな調子で大丈夫かな?」


「そうですね。あの様子を見る限り、仲野さんと郡山さんとでだいぶ仲が悪くなってますし、業務に支障がでなければいいのですが……」


榎本と三ツ木はそんな会話をしながらエレベーターホールへと向かった


仲野が本部長になってから五年。ここまで主張のぶつかり合いが起きたのは初めてだったため、今後どうなるか二人にも分からなかった……



冨沢学とみざわまなぶ


三等ゾンビ対策佐官


武器……刀

拳銃

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