#026 実力
永山製薬会社本社二十階……
「ここだ。柚木さんが見た階は……」
そう言って二十階の床に足を踏み入れたのは倉科だった…
今回の作戦ではそれぞれの隊が重要な所に行くようになっている。なので倉科率いる第二部隊は二十階の制圧をすることが仕事だった。
ガチャッ!
倉科は柚木が囚われている人を見たという部屋のドアを躊躇なく開けた。すると、その薄暗い部屋の奥に誰かが居ることが分かった。
「もうここまで来たか……」
男性はそう言うと此方を向いた。そして刀を抜き取った……
「エースですかね?」
そう聞いたのは倉科の部下の七氏だった。するとその男はそれに答えた。
「残念だが俺はエースでは無い。あいつならとっくにここを抜けている」
「じゃあお前は?」
「俺はシンクだ!」
そう男性は言うと倉科に斬りかかってきた。
ガンッ!
シンクが斬りつける前に倉科は槍の裏刃で攻撃を防いだ…… が、裏刃にひびがはいってしまった。この時、倉科は思った。このままでは全滅する……と
「七氏と丹波、暁葉はここに残って。他は別の場所へ!」
倉科はシンクの攻撃を避けながらそう言った。すると部屋に四人残して他の仲間は出てって行った。
「四人だけか…… 五分もかからないな」
シンクはそう言うと拳銃を取り出した。そして倉科に向けて弾丸を放った…… その弾は倉科の顔のすぐ横を通って後ろの壁にぬめりこんだ。
「危なっ!」
倉科がそう言って後ろを見た時だった!突然シンクが刀を大きく振ってきた。が、倉科はそれに対応できずにその攻撃をもろにくらってしまった……
「うげっ!」
倉科はそう言うとしゃがみこんだ。
「倉科隊長!」
そう言って近付いてきたのは丹波だった……が、彼にも突然痛みがはしった……
「げっ!」
丹波はそう言うと倒れてしまった……
「丹波!」
七氏がそう言うと、それに対してシンクがこう言った。
「この二人は大丈夫だよ。裏でやったから…… 骨が折れてるかは知らないけどね!」
シンクはそう言うと刀を七氏と羽部に向けて大きく振った。すると今度は七氏が倒れこんだ……
「後は君だけだね」
シンクはそう言いながら羽部に近付いていった。そしてこう言った。
「そんなに前髪が長くて結膜炎とかならないの?何なら切ってあげようか?」
シンクはそう言うと羽部の髪を掴んだ。そして刀を羽部に近づけたときだった。突然羽部はシンクの太ももを膝蹴りした。それによってシンクが髪の毛を放した瞬間、羽部は短剣をシンクの腹に突き刺した。
「やめろっ!」
シンクはこう言ったが羽部は止まらなかった。そのまま、壁に立て掛けてある鎌を取りに行って、ゆっくりとシンクに近付いていった。
「やめろ!殺さないでくれ!」
無言の状態で近付いてくる羽部はかなり迫力があっただろう。おまけに下からだと、普段は見えない目が見えるのだから……
「逃げるが勝ちだ!」
シンクはそう言うと突然立ち上がり走り始めた。腹の痛さも忘れて…… するとそれを追うように羽部も追いかけてきて鎌を振った。
その攻撃はシンクの背中に当たったが、シンクは止まることなく逃げた。そして二十階の窓から飛び降りた。
そして下の階の窓ガラスを割ってそこから逃走した……
「……」
羽部は逃げられたかと思いながら倉科達の方に寄ってきた……が、一人で三人を見れるはずがない。なので廊下にいる仲間を呼びに行った……
羽部暁葉
ゾンビ対策士長
武器……大鎌
短剣
拳銃




