#249 申請
午前三時半、対策2専用室……
「聞いてきたけど、この班は始発で帰っていいって」
そう言うと林は席についた。すると冨沢は壁に掛けてある時計を見た。けれどまだ時間も早く、始発までまだまだ時間があった
「これからが本番なのに帰って大丈夫何ですか?」
そう聞いたのは小牧だった。すると林はその質問に対してこう答えた
「あぁ、宇土さんいわく対策1と特殊部以外は通常任務に戻って良いって。だから帰って大丈夫!」
林はそう言うとグッドサインをした
「そういえば今日ってこの班の休みでしたね。すっかり忘れてました」
佐伯は卓上カレンダーを手に取るとそう言った
「ん?ちょっと待て!」
そう言ったのは冨沢だった。なので林は「何かあったか?」と聞いた。すると冨沢は立ち上がると林にこう聞いた
「林、休みっていつだ?」
「とりあえず明日と明後日を休みにしてもらったよ。連続の方が便利だろ?」
林がそう答えると冨沢は「おっしゃ!得した!」と言って喜んだ
「大規模作戦の参加時間が数時間。しかもこのあと帰れるとなると実質三連休ですしかなりお得ですね」
佐伯はそう言うと卓上カレンダーの今日、明日、明後日の日付に赤ペンで「休み!」と書いた
「いやー、嬉しすぎて笑いが止まらんわ」
冨沢はそう言いながら笑っていた。するとそんな冨沢の後ろに誰かがやって来た。なので冨沢が後ろを向くとそこには小橋がいた
「ちょっ!小橋かよ。驚かすなよ」
冨沢は後ろを向くとそう言った。すると小橋は「コイツ!三連休なんて羨ましい!」と言うと冨沢の頭を軽く叩いた
「良いだろ。これも日頃の行いよ」
冨沢がそう言うと林が「冨沢日頃から何かしてたっけ?」と言った。すると冨沢は「知らんけど、何かしてたんじゃね?」と答えた
「それで小橋はどうなったの?」
林がそう聞くと小橋は「あぁ、最悪だ」と答えた。なので林は「日程は?」と聞いた。すると小橋は手帳のカレンダー欄を林達に見せた
「何だ明日休みじゃん」
冨沢は小橋の手帳を見るとそう言った。すると小橋が「それ元からの休み。大規模作戦の休みを見てみ」と言った。なので冨沢はカレンダーの日付を上から順に見ていった。けれどどこにも大規模作戦の休みが入っていなかった
「どこにも書いてなくないか?」
冨沢はそう言った。すると小橋は「あぁ、休みの申請が遅かったせいで大規模作戦の休みが来月になった……」と言うと手帳をめくり、二月のページを開いた
「あーあ可哀想に。小橋は頑張って働いてね!」
冨沢がそう煽ると小橋は「うるさいわ」と言った
「一応言っとくが別に小橋の休みがなくなった訳じゃないぞ」
林は冨沢にそう言った。すると冨沢は「それは知ってる。だが心の持ちようよ!」と言った
「あー、もっと早く申請してれば良かった……」
小橋はそう言い残すと自分の班のスペースへと行ってしまった
「中鈴さん。休みの申請って何ですか?」
小橋が居なくなると、小牧が中鈴にそう聞いた。すると中鈴は「あぁ、大規模作戦後の休暇のやつだな」と言った。そして続けてこう言った
「大規模作戦後の休暇は申請して取るんだよ。そしてこの休みは早い者勝ちで、対策2だと同時に休めるのは一日に二班だけなんだよ」
中鈴はそう説明した。するとそれを聞いた小牧は「つまり林さんは早く休みの申請を出したんですね」と言った
「多分ね。大規模作戦の次の日とかは人気みたいだし」
中鈴はそう言うと小橋班専用スペースを見た。そこでは星水が小橋に「何やってんのよポンコツ!」と言っていた
「林は何でも早くやるタイプだから助かるわ。君達も班長になったら林みたいになりな!」
冨沢がそう言うと、小牧が「因みに冨沢さんは班長になったらどうするんですか?」と聞いた。すると冨沢は「そりゃ今まで通りだけど。林はちとお堅いからなぁ~」と言った
「待て、いま自分で言ったこともう忘れたのか?」
林はそう突っ込んだ。すると冨沢は「まぁ大丈夫やろ。班長になったらちゃんとするよ」と言った
「何にせよ自分が困るなら良いが、班員に迷惑はかけるなよ」
林がそう言うと隣から「林!さらっと死体蹴りすんな!」と小橋の声が聞こえてきた。なので林は立ち上がり、小橋班専用スペースに行くと、そこには星水に遊ばれている小橋がいた
「双葉、これは……」
林は小橋班副班長の双葉にそう聞いた。すると双葉は「休みの日を聞いて星水が暴れているだけです。おそらくあと十分もすれば飽きるかと……」と説明した。なので林は「そうか……」と言うと自分の席についた
そして『早く申請して良かったー!』と心の中で言った
水瀬綜司
二等ゾンビ対策佐官
武器……槍
高力銃
拳銃




