表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕らはゾンビ対策官  作者: ソーダ
第四章 復帰
240/347

#218 監視

十二月十三日、午前九時五十分

西野原電機付近にて……


「あー、寒い」


そう言ったのは米田だった。彼の所属する対策3、宇土司令隊は西野原電機強制捜査を担当していた。そんなこともあり、米田は一人でこの場にいた


『しかしいくらなんでも一人で敵陣の監視をしろってのは酷いだろ』


米田は手をポケットに突っ込みながら心の中でそう言った


米田は宇土司令隊に所属する司令官である。けれど、今回の強制捜査では司令官としての仕事はなく、強制捜査が始まるまで西野原電機を監視するという任務を行うことになっていた


なので米田は一人で西野原電機の店の前に立っていたので。しかし西野原電機の開店時間は午前十時のため、まだ入り口にはシャッターが降りていた


『しかしいくら私服とはいえ、敵陣のすぐ目の前にいるってのもどうなのかねぇ』


米田はそう思った。しかし藍卯にこの位置で監視しろと指示されているため米田は逆らうことが出来なかった


『あの野郎、監視官ですらこれは危険っていうぞ』


米田がそう思ったときだった。突然耳につけているイヤホンから宇土の声が聞こえてきた。なので米田はイヤホンのコードについているマイクを手で掴むとこう言った


「何か言ったか?」


米田は小さい声でそう言った


米田は監視任務をするにあたって、いつでも連絡が出来るよう宇土と電話を繋いだ状態で任務を行っていた


「作戦開始まであと十分を切った。そっちの様子はどうだ?」


「別に大丈夫だよ。シャッターが閉まってること以外は……」


米田はそう報告した。すると宇土は「把握。それじゃあ時間まで監視任務を頼むよ」と言った。なので米田は「はいはい。任せな」と言い、マイクから手を話した


そして宇土と電話を繋いだまま、スマートフォンをいじり始めた。するとそんな米田に誰かが近付いてきた……



「ん?」


米田はふと顔を上げた。すると目の前には六十代ほどのおばさんが立っていた。そのおばさんは米田に向かって何かを言っていた。しかし米田はイヤホンをしており、何を言っているか聞き取れなかった。なので米田は右耳のイヤホンを外すと、そのおばさんにこう言った


「すみません。何か自分に言いました?」


米田がそう聞くと、おばさんは「あら、聞こえてなかったの。てっきり無視されてるのかと思ってたわ」と言い、勝手に笑いだした。しかし米田は訳が分からず、苦笑いをするしかなかった


「えっと?」


「あらごめんなさいね。何で貴方のような若い人がこの店に来てるのか気になっだだけよ」


おばさんは米田にそう言った。米田は今、監視任務中なのでおばさんと無理に話す必要はなかった。けれど、何となく無視するのもアレだったため適当に「そうなんですか。この店って若い人来ないのですか?」と返した。するとおばさんは左手を口に当てながらこう言った


「そうなのよ。この店の店員の態度が悪いって評判でね。だから年寄り以外は使わないのよ。この店」


「なぜお年寄りは利用するのですか?」


米田はそう質問した。するとおばさんはこう答えた


「そりゃそうよ。この辺に電気屋はここしかないんだから。一応駅まで行けばあるけど、年寄りは面倒が嫌いでね。それくらいのことなら近場を利用するだけよ」


おばさんはそう言うと、また一人で笑い始めた


「あっ、そうなんですか」


米田はそう言うと空気を読んでまた苦笑いをした。すると当然おばさんが「貴方、今の時間分かる?」と聞いてきた。なので米田はスマートフォンの画面を見るとこう言った


「九時五十八分、開店までもう少しですね」


「あら、もうそんな時間なの。時間が経つのは早いわね」


おばさんはそう言うとまた笑い始めた


『この人笑いすぎだろ』


そんなおばさんを見ると米田はそう思った。しかしもう少しで強制捜査が始まると考えると、そんなことを考えている余裕がなかった



「米田、聞こえるか?」


再びイヤホンから宇土の声が聞こえてきた。なので米田はマイクを持つとこう言った


「聞こえるよ。今度は何?」


米田がそう返答すると宇土はこう言った


「米田の近くに今誰かいるよな?」


「あぁ、いるよ。おばさんが……」


「開店したらすぐに強制捜査が始まる。そしたら店内で何が起こるか分からない。だから米田はそのおばさんを店内に入れないようにしてくれ」


宇土にそう指示されると米田はため息をついた。そして「分かったよ。安全なところに行かせるよ」と言い、マイクを下ろした



「貴方さっきから独り言が多いわね。若いのにボケちゃってるの?」


おばさんは米田にそう言った。しかし米田はそれには返答せず「壁に寄ってください」と言った。しかしこれから強制捜査があるとは知らないおばさんは不思議そうに「どうしたのよ?」と言った



おばさんがそう言ったときだった。開店時間である午前十時になったらしく、シャッターが徐々に開き始めた。米田は『このままだとまずい』と思い、おばさんの安全を確保するため、おばさんの腕を掴み壁に寄せた


「ちょっ…… 何を……」


突然腕を引っ張られたためおばさんはそう言った。なので米田はポケットから対策手帳を取り出し、それをおばさんに見せた


「自分はこういう者です」


米田が対策手帳をおばさんに見せたときだった。拳銃を持った対策官が店の中に滑り込んで行った……



米良夕奏めらゆかな


一等ゾンビ対策官(通信官)


常備武器……拳銃

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ