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僕らはゾンビ対策官  作者: ソーダ
第四章 復帰
234/347

#212 関与

午前十一時

東京本部、対策4情報管理課専用室……


「あー、終わらん」


そう言ったのは榎本だった


榎本がリーダーの対策4情報管理課はテロ予告のあった日から仕事の量が倍近く増えていた。なので榎本の机の上には大量の資料が積まれていた。すると仕事に追われている榎本の所に元町がやって来た


「榎本さん。このあと情報交換があるのですが……」


元町はそう言った


情報管理課は『ゾンビ愛護団体総本部強制捜査』より前からテロ対策部、監視部と合同捜査をしていた。なので三日に一回、情報交換の場を設けていた


そして普段は情報管理課からの代表として榎本と及川が情報交換の場に出ていた。しかし今の情報管理課は慌ただしく、及川は別件で席を外していた


「及川がいないからなぁ……誰か出れる人はいないか?」


榎本は立ち上がると皆にそう聞いた。しかし他の人達も今やっている仕事で精一杯のため、情報交換の場に出る余裕がなかった。なので誰も「出れます」と言わなかった


「元町はダメか?」


なので榎本は川瀬にそう聞いた。しかし元町は「私も別件があるのでちょっと……」と断った


「じゃあ仕方ないな。一人で行くか」


榎本はそう言うと伸びをした。そして上着のポケットに手帳が入っているか確認すると立ち上がった



ガチャッ!


榎本が部屋から出ようとしたときだった。突然部屋の中に資料管理課の柏木が入ってきた。柏木は手に茶封筒を持っており、榎本を見るとこう言った


「榎本、この資料読んだか?」


柏木はそう言うと茶封筒を榎本に渡した。なので榎本はその茶封筒を受け取り、中身を取り出すと中には『西野原電機について』と書かれている資料が入っていた


「何ですか?これ」


榎本はその資料を見るとそう言った。すると柏木は「警察からの情報だ」と言い、近くの椅子に座った


「警察?公安が?」


榎本はそう言った


ゾンビ殲滅局は仕事の都合上、公安警察から情報提供してもらうことがあった。なので榎本は今回の情報も公安警察からだと思っていた。しかし柏木は首を横に振るとこう言った


「いや、今回は警視庁ゾンビ対策課だ」


警視庁には技術保持のため、ゾンビと戦う『ゾンビ対策課』があった。しかしゾンビ対策課はゾンビ殲滅局と違い、人が極端に少なく、情報収集能力もゼロに等しかった。なので榎本達は『ゾンビ対策課』からの情報提供には期待していなかった


「ゾンビ対策課からですか」


「あぁ。いつもはダメダメだが、今回だけは有益な情報が載ってるぞ。見てみな」


榎本はそう言われると、柏木が持ってきた資料を読み始めた


ゾンビ対策課が作った資料には『西野原電機』の裏事情。つまりはゾンビ愛護団体と西野原電機に関わっている人の名前が書かれていた。そして茶封筒の中にはその証拠となる写真も数枚入っていた


なので榎本は写真を取り出そうと茶封筒を机の上でひっくり返した。しかし中に入っていた写真のうち、一枚が机の上から滑り落ちてしまった。なので榎本はその写真を取ろうとしゃがんだ……


「柏木さん。この写真……」


榎本は床に落ちた写真を拾うとそう言った。すると柏木は「あぁ、それが有益な情報だ」と言った……



東京本部、対策2専用室……


「え?まじ?」


突然資料を読んでる林がそう言った。なので冨沢は林に「どうしたの?」と言い、林が見ている画面を見た


「どれ?」


冨沢は画面を見るとそう言った。林の見ている資料は写真や図などが一切なく、上から下まで全て文字で埋め尽くされていた。なので冨沢は林がどこを見てそう言ったのか分からなかった


「ここの文章読んでみな」


林はそう言うとカーソルで文章を指した。なので冨沢はその文章を読むと「あらら、こりゃあ林も驚くわな」と言った


「冨沢さん。何が書いてあったんですか?」


小牧は椅子に座りながら冨沢にそう聞いた。すると冨沢はこう言った


「浜地信明っていう俳優知ってるか?」


「詳しくは知りませんが、名前だけなら……」


小牧がそう言うと、冨沢は「コイツの悪行が見事に載っちゃってんのよ」と言った。すると今度は中鈴がこう言った


「まぁいつかはここで名前を聞くと思ってましたよ」


「え?何で?」


冨沢は中鈴にそう聞いた。すると中鈴は作業を中断するとこう言った


「浜地って人、裏で色々と良からぬことをしてるみたいですし」


「そうなんですか。私のイメージだと警備会社の社長というイメージしかありませんでした」


そう言ったのは佐伯だった。すると冨沢は「警備会社の社長?」と言った


「知らないんですか?この人、ちょっと前に警備会社を作ったんですよ。まぁ滑って大損してるみたいですけどね」


佐伯は冨沢にそう説明した。するとそれを聞いた冨沢は突然スマートフォンを取り出し、操作し始めた。そしてしばらくすると林にこう言った


「林、確かにこの人警備会社もやってるわ。公式ホームページも出てきたし」


冨沢はそう言うとスマートフォンの画面を林に見せた


「しかし俳優が愛護団体と関わっていたとなると、色々と大変なことになるぞ」


林はそう言うとノートパソコンを閉じた。そして立ち上がると後ろにある棚を漁り始めた……



京谷信助きょうやしんすけ


准ゾンビ対策官


常備武器……拳銃

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