#211 起動
「再び失礼、貴女が佐伯さんよね?」
星水は佐伯を見ながらそう言った。すると佐伯は「そうですが、何か?」と答えた。すると星水は突然小橋班専用スペースに向かって「ちょっと来て!」と言った。なので小牧達が小橋班専用スペースを見ると、そこから女性対策官がやって来た。そして星水の隣に立つと、星水はこう言った
「小橋班の新しいメンバー、青池二等だよ。佐伯は知ってるよね?」
星水は隣に立っている青池の背中を軽く叩くとそう言った。すると冨沢は佐伯に「知ってるの?」と聞いた。するとそんな冨沢に中鈴はこう言った
「殺所で出会ったんじゃないんですか?佐伯の予備対策官時代は殺所ですし」
「佐伯が殺所にいたのは分かる。だけど何でこの人が殺所にいたなんて分かるの?」
冨沢は青池をチラッと見るとそう言った。すると林が青池にこう質問した
「青池対策官。貴女って元警察官だったりしますか?」
林がそう聞くと青池は頷き、こう言った
「はい。元警視庁ゾンビ対策課の警察官です」
青池がそう言うと、林は「やっぱり」と小声で言った。そして林は皆にこう聞いた
「マル食品羽町工場作戦って覚えてるか?」
「あぁ、確か警察官がゾンビに噛まれたやつだろ?」
冨沢はそう言った
ゾンビ対策官は予備対策官時代にきっちりとゾンビの対処法を学んでいるため、ほとんどゾンビに噛まれるという事は起きなかった。なのでそんな珍しい事件のため、冨沢も覚えていた
「その警察官が青池さん……ですよ」
佐伯は冨沢にそう言うと青池を見た。そして青池に「対策官になれて良かったじゃん」と言った。すると青池は佐伯に「貴女のお陰よ。あの時はありがとうね」と言った
「あの時?」
冨沢は佐伯にそう聞いた。すると佐伯は冨沢を見ながらこう説明した
「えぇ。殺所にいたときのことです」
佐伯がそう言うと青池は冨沢にこう言った
「あの時は死んだと思ってましたよ。何しろ鉄格子の向こうに銃を持っている佐伯が居たんですから」
彼女の名前は青池穂色、元警視庁ゾンビ対策課の警察官である。けれど青池は『マル食品羽町工場作戦』でゾンビに噛まれてしまい、現場にいた対策官によって気絶させられ、関東ゾンビ殺所場に運ばれてしまった
しかし彼女は運が良く、ゾンビに噛まれたにも関わらず時間内にゾンビになることはなかった。けれど安全のために警察官を辞め、いつゾンビになっても対処できるようゾンビ対策官になったのだ
「へぇー、ゾンビに噛まれたことあるんだ。なら小牧と同じじゃん」
冨沢は小牧を見るとそう言った。すると小牧は「かなり前のことですけどね」と言った。するとそんな小牧に青池はこう言った
「ゾンビに噛まれた者同士宜しくね」
青池はそう言うと握手を求めてきた。なので小牧仕方なく握手した
「林!青池から話は聞いた?」
小牧が青池との握手を終えると、突然そんな声が聞こえてきた。なので声のする方向を見ると、そこには小橋がいた
「話?自己紹介のことか?」
「いや、そっちじゃなくて情報の方」
小橋はそう言った。が、林は青池からはまだ自己紹介しかされておらず、その他の話はまだされていなかった
「小橋さん。その話、まだしていないもので……」
青池は小橋にそう言った。すると小橋は「そうか。じゃあまだでいいか」と言うと、小橋班専用スペースに行ってしまった
「話とは?」
小橋がここからいなくなると、林は青池にそう聞いた。すると青池は林にこう説明した
「西野原電機のことです。あの店、かなり前から目をつけていたのである程度の情報を持ってるんですよ」
青池はそう言うとUSBメモリをポケットから取り出し、林に見せた
「それは?」
「これは私の仲間に頼んで送ってもらった資料です。もちろん中身は西野原電機についてです」
青池はそう言うとUSBメモリを林に渡した
「これ、中身見ていいのか?」
林は青池から受け取るとそう言った。すると青池は頷くと「はい。明日の作戦会議で使うらしいので、その時になったら持ってきてくださいね」と言うと、青池は小橋班専用スペースに戻っていった
『明日の会議で返却……把握』
林は心の中でそう言うとUSBメモリをポケットにしまった。そして小牧達にこう言った
「念のために言っておくけど、明日の午前十時から作戦会議がある。第二会議室集合だから忘れないように」
林はそう言うと自分の席に座った。そして青池から借りたUSBメモリの中身を見るために、パソコンを起動し始めた……
青池穂色
二等ゾンビ対策官
武器……剣
拳銃




