#207 紙
次の日、午前八時
東京本部一階……
東京本部に勤める人のほとんどは午前七時から午前九時の間にくる。なのでこの時間帯はかなり混んでいた。そしてそんな人混みの中に小牧はいた……
「と、いうわけで一万引いてもゴミしかでなくてさぁ」
そう言ったのは冨沢だった。冨沢は朝から自分のやっているゲームの話をしていた。そしてそんな話を小牧は聞いていた。しかし小牧は冨沢の言っているゲームをやっていないので、何を言っているのかよく分かっていなかった。なので適当に相槌を打っていた
「酷いと思わない?お陰で今月ゲームに使える金が三百え……」
冨沢がそう言ったときだった。突然ゲームのことでぐちぐち言っている冨沢に誰かが話し掛けた
「冨沢!」
そう呼ばれたため、声のした方向を見るとそこには小橋がいた
「ん?なんかあった?」
冨沢は小橋にそう聞いた。すると小橋はこう言った
「昨日の全体会議の内容が貼り出しされてるよ」
小橋がそう言うと冨沢は確認のために「まじ?」と聞いた。すると小橋は「まじ!いつもの所に出てるよ」と言った
「じゃあ見てくるわ!小牧はどうする?」
冨沢は隣にいる小牧にそう聞いた
「すみませんが、貼り出しというのはどういうことで……」
小牧は戸惑いながらそう言った。すると冨沢がこう聞いた
「貼り出しって知らないの?会議の内容を向こうの壁にまとめて貼ってあるんだよ」
冨沢はそう言いながら指を指した。なので小牧がその方向を見ると、そこにはどこにでもあるような通路があった
「えっと、どこに?」
小牧はそう聞いた。すると冨沢は小橋に「林には遅れるかもって言っといてもらえる?」と言った。すると小橋は「あぁ、分かったよ」と答えた
すると冨沢は小牧に「教えてあげるから来な!」と言うと、先程指を指していた通路へと向かって歩き出した……
「ここだよ」
冨沢は通路を進むとそう言った。なので、壁を見てみるとそこには三枚の紙が画鋲で貼られていた
「これは……」
小橋はそう言うと紙が貼られている壁に近寄った。そしてその紙を見てみると、そこにはこれから行われる強制捜査について書かれていた
「一週間後に対策部が担当の強制捜査がありますね」
小牧は紙を見るとそう言った
「ちょっといい?」
冨沢はそう言うと小牧の横に移動した。そして三枚の紙を読み始めた
冨沢が紙を読んでいる間、小牧は周りを見た。しかしこの場には自分達しかいなかった
「冨沢さん」
「ん?」
小牧が呼ぶと、冨沢は紙を読みながらそう言った
「ここ、何で人がいないのですか?」
小牧はそう質問した。すると冨沢は紙を読みながらこう言った
「そりゃあこの通路は倉庫用だからね。それにこの紙のことも知らない人多いだろうし」
「えっ……知らない人多いんですか?」
小牧は冨沢に確認のためにそう聞いた。すると冨沢はこちらを向いてこう言った
「あぁ、この張り紙のことはあまり広まってないみたいだからな。俺も林から教えてもらうまで知らなかったし」
冨沢はそう言うと歩き出した。なので小牧も冨沢の後ろをついて歩き出した
「と、ここで話変わるんだけど……」
「はい。何でしょうか?」
冨沢にそう言われると小牧はそう返した
「一週間後に行う強制捜査先って知ってる?」
冨沢はそう聞いてきた。しかし先程見た紙に強制捜査を行う場所は書かれていた。なので小牧は「西野原電ですよね?強制捜査先って……」と答えた
すると冨沢は首を横に振るとこう言った
「それは知ってる。俺が言ってるのは西野原電機について知ってるか?って意味」
冨沢に聞かれたため、小牧は『西野原電機』について何か知っていないか思い出そうとした。しかし『西野原電機』という言葉を聞くのが初めてだったため、特に思い出すものはなかった
「いえ、西野原電機なんて初めて聞いたもので……」
小牧がそう答えると冨沢も「だよな。少なくとも大企業とかじゃないみたいだし……」と言った
「いま調べてみましょうか?」
小牧はスマートフォンを取り出すとそう聞いた。しかし冨沢は「いいよ。林が知ってるだろうし…… とりあえず部屋に行こうぜ」と言うと、エレベーターのボタンを押した
「了解です」
小牧はそう言うとスマートフォンをしまった。そしていま来たばかりのエレベーターに乗り込んだ
張り出されていた紙には『西野原電機強制捜査……十二月十三日実行。担当対策部』としか書かれておらず、担当する班などは分からなかった。なので冨沢は「出来ればこの作戦の担当になりませんように」と祈りながら対策2専用室に向かっていた……
双葉音生
准ゾンビ対策官
武器……狙撃銃
短剣
拳銃




