#202 解除
「しっかし面倒な事になったね」
そう言ったのは冨沢だった。今回の『スーパーマーケットLIV強制捜査』は爆弾が見つかったため、急遽安全な場所まで撤退することになった
「けれど、これで潰せるんじゃないですか?既に沢山の証拠も出てきてますし」
そう言ったのは小牧だった
対策官側は爆弾が見つかるまでの間に四つの証拠を見つけていた。と、いってもその内の一つは潜入捜査官によるものだったので、正確には三つだが……
「うん。確実に潰せると思うよ」
突然林の後ろからそんな声がした。なので林が後ろを見ると、そこには女性対策官がいた
「林、ちょっといい?」
冨沢は林に小声でそう呼ぶと、女性対策官から少し離れたところまで移動した。そして林にこう質問した
「あの人誰?」
冨沢がそう聞くと女性対策官はこう言った
「私はQ班、班長の沢本です。林君は知ってるよね?」
「もちろんです」
沢本の問いに林はそう答えた
林は過去に沢本班と共に捜査したことがあった。と、いってもそれは林が入局一年目のときの話だが…… なので林も知っているという程度で、長いこと会話はしていなかった
「階級は一佐。もちろん五年前の作戦にも参加してたよ」
『この人、一佐だったのか』
冨沢は心の中でそう思った
これは冨沢の感覚だが、東京本部の一等ゾンビ対策佐官は会話しづらいというイメージがあった。おそらく川中や神尾といった馴れ合いをよく思わない人達が一等ゾンビ対策佐官なので、そういうイメージがついてしまったのだろう
しかし沢本はその人達とは違い、とても会話しやすかった
「そういえば、爆弾を見つけたのが沢本班だと聞きましたが……」
林は沢本にそう言った。すると沢本は見つけた爆弾についてこう言った
「あいにく爆弾には詳しくないから、ちゃんとは分からないんだけど、私の部下がC4とか言ってたね」
「C4?」
冨沢は意味が分からずそう言った
「冨沢さん。C4はプラスチック爆薬のことですよ」
小牧は冨沢にそう言った。しかし冨沢はそう言われても理解できず、訳の分からないものを想像していた
「ですから……」
小牧は何とかして冨沢に説明しようとした。しかしそんな様子を見ていた中鈴が小牧の肩を掴みながらこう言った
「小牧、この人に説明しても無駄だ。冨沢准官にはそれを理解できるだけの能がない」
「あ、そうですか……」
中鈴に止められると小牧は冨沢に説明するのをやめた。するとそんな話を聞いていた冨沢がこう言った
「ちゃっかりディスるんじゃないよ」
冨沢は小牧と中鈴を見るとそう言った。しかし中鈴は、これくらいの事なら毎日言われているので無視していた……
作戦司令車……
「警察と無線繋げました」
そう言ったのは堤だった。すると宇土は「ありがとう」といい、机の上にある画面を操作して無線を使い始めた
「米田!悪いけど殺所に連絡できるか?」
そう言ったのは堤だった。すると米田はスマートフォンを出して「できるよ」と言った。すると堤はこう言った
「証拠は出た。逮捕せよ。と、伝えておいて」
「あ、うん」
米田はそう言うと関東ゾンビ殺所場に電話をかけ始めた……
「堤准高、殺所に何を伝えているのですか?」
そう聞いたのは屋島だった。するとその話に油井も興味があるらしく、話に入ってきた
「確かに今のは何の意味が?」
油井がそう言うと堤はこう説明した
今回の強制捜査を行う数日前、スーパーマーケットLIVのお偉いさんは証拠隠滅を防ぐためにテロ対策部が軽犯罪等で現行犯逮捕していた
なので米田にさせた電話はゾンビ対策法違反で逮捕しろ、という意味だった
「今回の捜査ってテロ対策部も動いてたんですね。てっきり対策部だけかと思ってました」
そう言ったのは屋島だった
この情報はゾンビ殲滅局のイメージを悪くする恐れがあるということで、マスコミには伏せられていた。しかも内部の人間にも極力伝えない方向で話が進んでいたため、宇土司令部隊の人間でも屋島、油井、米田は知らなかった
「まさか裏でそんな事があったんですねぇ」
そう言ったのは米田だった。米田はスマートフォンをしまうと脚を組んだ
「まぁ俺達はあくまで表の人間だからな。裏ならもっとヤバイぞ」
堤は三人にそう言った。しかし堤もゾンビ殲滅局の裏についてはあまり知らなかった。けれど、噂でなら色々と聞くためそう言った
「まぁ、それにしても軽犯罪で現行犯とはようやりますわ。どうせスピード違反とかでしょ?」
米田は堤にそう聞いた。しかし堤もそこまでは聞いていなかったため、分からなかった。すると宇土がその質問に答えた
「いや、唾吐きとか立ちションらしいよ」
「逮捕理由くだらな!」
逮捕された理由を宇土から聞くと、米田はそう言ってしまった。するとそんな宇土に堤はこう聞いた
「宇土司令、この後は?」
「とりあえず警察と話したけど、解除するまで待てだとよ。だからそれまで自由にしてて良いよ」
宇土はそう言うと作戦司令車から出た。作戦司令車は中に色々なものが積み込まれているため、狭く長時間いるには向いていなかった
「どのくらいに終わるかねぇ~」
宇土はそう言うと伸びをした。そして空を見上げると、真っ黒い煙が見えた……
沢本葵
一等ゾンビ対策佐官
武器……大鎌
剣
拳銃




