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僕らはゾンビ対策官  作者: ソーダ
第四章 復帰
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#194 報告

ゾンビ殲滅局東京本部、本部長室……


「失礼します」


榎本はそう言うと部屋の中に入った。部屋の中には仲野の他に藍卯がいた。が、二人は仕事の話をしていたのではないらしく、藍卯も近くの椅子に座っていた


「今回はどんな用事かな?」


仲野はそう聞いた。しかし部屋の中にこの話と関係のない藍卯がいたため、榎本はこう言った


「愛護団体の件でちょっと…… それと藍卯さんはちょっと……」


「分かった。榎本の用事が終わるまで外に居よう」


藍卯はそう言うと立ち上がり、部屋の外に出ていった


「愛護団体の資料についてか?」


藍卯がいなくなると仲野はそう聞いた。どうやら資料の紛失については仲野も知っているらしい。なので榎本は資料紛失までの経緯は説明しないことにした


「そうです。しかし捜査を行っているのはF班と我々情報管理課だけで、人が足りません。なので白だと分かっている潜入捜査官を捜査に加えて頂けないでしょうか?」


榎本はそう言った。しかし潜入捜査官をまとめているのは仲野ではなく、副本部長の郡山だった。なので仲野はこの場で許可は与えず、こう言った


「分かった。郡山に聞いてみる」


仲野がそう言ったときだった。突然扉が開くと、扉との隙間から藍卯は顔を出した


「その話、私が伝えてくるか?」


「あぁ、頼むよ」


仲野がそう頼むと藍卯は部屋の扉を閉めた。結局いま話したことは全て藍卯に聞かれていたようだ


「藍卯さんに聞かれて大丈夫ですかね」


「大丈夫。藍卯は口が固いからね。それに資料紛失じたいは皆知ってるよ」


仲野はそう言うと机の上に置いてあったお茶を飲んだ。この資料紛失については対策部の班長、隊長には朝の会議で伝えていた。なのでそこまでは知られても大丈夫だった


しかし潜入捜査官が今回の捜査に加わるというのはあまり知られたくなかった。何故なら潜入捜査官が捜査しているとバレると、スパイが特定しにくる可能性が高い。なので身バレ防止のためにも、この事を広めてほしくなかった


「そんなに藍卯怪しい?」


色々と不安になっている榎本に仲野はそう聞いた


「いえ、そういうわけでは……」


「藍卯は口は悪いけど情報を漏らしたりはしないよ。その証拠に榎本がくる前から藍卯はいただろ?」


今の発言からして、藍卯は仲野と何か大切な話をしていたのだろうか。しかし榎本が部屋に入ったときには、大切な話をしているときにある独特の雰囲気が感じられなかった


「けれど、何の話を……」


「話?ただの雑談だよ」


仲野と雑談…… 藍卯は仲野と何か特別な関係があっただろうか。榎本はそれについて何か書いていないか、手帳を開いた。しかしこの手帳はあくまで仕事の為に使っているものであり、対策官に関することは書かれていなかった。なので榎本は手帳を閉じた。すると仲野はこう言った


「藍卯については六年前の資料を漁ってみると良いよ。そうすれば分かるはずだ」


仲野はそう言うと作業をし始めた。今から六年前はまだ榎本が対策官として働いていたころの時だ。そのとき何かあったか思い出そうとしたものの、当時は藍卯の事を知らなかったため、何も出てこなかった



バンッ!


「戻った。数人借りれるらしいぞ」


藍卯はそう言いながら部屋の中に入ってきた


「それは良かった。少しは捜査が早くなるだろう」


仲野がそう言うと、藍卯は「けど……」と言いかけた


「何かあったの?」


なので榎本はそう聞いた。すると藍卯は先程座っていた椅子に座り、足を組むとこう言った


「潜入捜査官は別行動確定なんで、実質借りられなかったも同然」


「そうですか。では仕事に戻りますのでこの辺で失礼します」


榎本はそう言うと本部長室を出た。そして部下達の待つ情報管理課の部屋へと向かって歩き出した……




「そんじゃあ話の続きするか」


榎本が部屋を出てからしばらくすると、藍卯はそう言った。すると仲野は今している作業を中断しこう言った


「良いよ。出て来て……」


仲野がそう言うと部屋のすみにあるロッカーが開いた。そしてそのロッカーから一人の男性が出てきた


「三ツ木、続きを話せ」


藍卯がそう言うと三ツ木は部屋の中にあるソファーに座った。そしてこう言った


「本部の強制捜査によりゾンビ愛護団体は実質解体されたが、一部の狂信者は武装しテロを計画している……との報告があった」


三ツ木がそう言うと藍卯はこう質問した


「一部の狂信者ってのは東京のか?それとも全国か?」


藍卯は真剣な表情をしてそう聞いた。すると三ツ木は手帳を取り出し、その手帳に挟まっている小さな紙を机の上に置いた


「なんだそれは?」


藍卯はそう言うとその紙を見るために机に近寄った。そしてその紙を見るとそこには『東京、千葉、神奈川、大阪、福岡』と書かれていた


「この五つが危険です。報告によるとすでに準備は出来ており、あとはその時がくるのを待つだけだそうです」


「そうか。ならこちらも作戦を練らないといけないな……」


仲野はボソッとそう言った。けれどこの部屋は三人しか居らず、静かだったため藍卯と三ツ木にも聞こえていた


「なら話は早い。宇土と榎本を呼ぶぞ」


藍卯はそう言うと部屋から出ようとした。するとそんな藍卯に仲野はこう言った


「警備課の柏木、特殊課の園部、テロ対策課の秋好も呼んできてくれないか?」


仲野がそう言うと藍卯は扉を開けた。そして「分かったよ」と言うと扉を強く閉めた


「奴等がいつ動いてもおかしくない。それまでに対策をしないとな……」


三ツ木は仲野を見るとそう言った。仲野はそれに対して何も答えなかったが、誰よりもこの事について考えているということは見て分かった……



藍卯丙あいうへい


作戦立案官


武器……短剣

拳銃

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