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僕らはゾンビ対策官  作者: ソーダ
第四章 復帰
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#173 被弾

「さて、無事終了したことだし帰りますか」


そう言ったのは冨沢だった。冨沢は殲滅局の車にダンボールを載せると、行きに乗ってきた車の扉を開けた。するとそんな冨沢に林はこう言った


「俺は少しここに残るから先に帰ってな」


「じゃあ車残して行く?」


冨沢はそう聞いた。林班はここに来るのに二台の車を使っていた。なので一台林のために残すことができたのだ。しかし林は首を横に振るとこう言った


「いや、小橋にでも乗せてもらうよ。小橋班はまだ残るみたいだしね」


「分かった。それじゃあ先戻ってるわ」


冨沢はそう言うと運転席に乗り込んだ


「そこの三人もはよ乗りな!」


冨沢は小牧、佐伯、中鈴に向かってそう言った。なので三人は急いで冨沢の乗っている車に乗り込んだ


「そんじゃ本部で」


冨沢は林にそう言うと本部に向かって車を走らせた


『さて、とりあえず中にいる小橋班と合流しますか』


林は心の中でそう思うと役場の中に入っていった……


役場の中には数十人の一般市民がいた。そしてこの一般市民を川中、小橋班が取り調べを行っていた。本来ならばここまで捜査することはない。しかし今回は役場が人を襲うゾンビを助けていたという事件だ。なのでこの場にいる人間が真っ白であることを証明しなくてはならなかったのだ


「小橋!あとどれくらいかかりそうだ?」


数枚の紙を持って、部下達の取り調べを見ていた小橋に林はそう話しかけた。すると小橋は紙をめくるとこう言った


「もう少しだね。川中班もやってるから思った以上に早く事は進んでるよ」


「そうか。手伝おうか?」


「いや、いいよ。これはこの班の仕事だしね。林は先に帰ってれば良いのに……」


小橋は林にそう言った。林がここに残る理由。それは自分が班長だからだった。別に班長だからといって任務の終わった作戦に残る必要はない。しかし林の場合、有川や川中と言った自分より階級が上の人達より先に戻るのが何となく申し訳なかったのだ。なので、せめて小橋班と共に戻ろう。それが一つ目の理由だった……


「班長、人数が合いません」


林と小橋が会話をしていると、横から小橋の部下が割り込んできた。人数が合わないというのは、多分取り調べを受ける人の数であろう


「受けの前後まえうしろどっち?」


「後ろです」


双葉がそう答えると小橋は林にこう言った


「林、悪いけど手伝って!取り調べを受けていない人がどこかに行ったみたい」


「分かったよ。ちょうどこっちも用意してきてあるしね」


林はそう言うと拳銃を取り出した。と、いっても今回は拳銃を使うことは出来ても当てることはできない。ゾンビは勿論、エース達に弾を当てることができるのは、ゾンビ対策法に「ゾンビ及びゾンビを助ける者はその場で殺害して良い」と明記されているからだ


このゾンビ対策法は一部改定されたとはいえ、基本は九十年前から変わっていない。しかもこの法律は外国がつくったものなので、やや過激な法律になっていた


「殺さないように気をつけて」


小橋は念のため林にそう言った。すると林は拳銃を見せながらこう言った


「大丈夫。脅しに使うだけだから」


林はそう言うと階段を上がっていった。仮にも一般市民に対して拳銃で脅すのはいかがなものか…… 小橋がそう思っていると双葉がこう言った


「班長、我々も捜しに行かないと……」


「あ、そうだったね。双葉は有川特官にこの事を伝えておいて。その他はバラバラになって捜すよ!」


「了解」


小橋がそう指示すると部下達はそう答えた


この役場の出入り口は全て神尾班が封鎖している。なので窓を使わない限り外に逃げるのは不可能。なので逃げれる場所は二階か三階しかない。そう考えた小橋は林と同じように階段を上った


そんな時だった。突然上の階から一発の銃声がした


「どこからだ?」


小橋は足を止めると、どこから銃声がしたのか知るために、微かに響いている音を聞き取ろうとした。が、上の階からしたということ以外分からなかった


「班長、今のは?」


そう言ったのは菊川だった。菊川は今の銃声を聞き拳銃を取り出した


「林が撃ったのかも知れない。行くよ」


小橋は小声でそう言うと階段を駆け上がった。そして二階についた。しかし二階にある全ての部屋を確認したものの林はいなかった


「三階には資料庫……正確には元アジトがあったみたいなので、そこからですかね?」


菊川は小橋にそう言った。するとそれを聞いた小橋はすぐに階段を駆け上がった。すると菊川の言う通り三階の資料庫から声が聞こえた


「三人とも用意は出来てる?」


小橋は資料庫の扉の前につくとそう聞いた。すると小橋の部下達は拳銃を見せ、用意が出来ていることを示した


「分かった。突入するよ」


小橋は小声でそう言うと資料庫の扉を蹴り開けた。そして資料庫に入った


「小橋良いタイミングに来たな。ちょうど見つけた所だよ」


そう言ったのは林だった。そして林の前には拳銃を持っている男性がいた


「一気に四人追加ですか。一人相手に恥ずかしくないのですかね」


その男はそう言った。しかしそんな事はどうでも良かった。今すべき事はこの男を捕まえること。しかもこの男は拳銃を持っているので、この場での取り調べでは済まないだろう


「拳銃の所持、そして発砲。近くの警察署まで来てもらおうか」


「ゾンビ対策官が警察署とは変わってますね」


「わざわざ本部まで連れていくのは骨が折れるんでね。近くの警察署を借りようかと思ってね」


林はそう言うと銃口を男に向けた


「拳銃を床に捨てろ」


林は男に向かってそう言った。小橋達も念のために林の後ろから男に向かって銃口を向けた。しかしこんな状況でも男は拳銃を捨てようとしなかった。それどころか男は林達に向かってこう言った


「お前達は先に発砲することが出来ない。いや、出来たとしても弾を当てることはできない。俺はゾンビじゃないからな」


男はそう言った。さすがにその言葉を聞いてカチンときた林は再び男にこう言った


「拳銃を捨てろ。ゾンビ対策官を舐めてかからない方が良いぞ」


「はいはい。捨てますよ……」


男はそう言ったが拳銃を捨てようとせず、逆に銃口を林達に向けた。そして発砲した


パンッ!


男の撃った弾は林の顔のすぐ横を通った。そして銃声がしてすぐに人が倒れる音がした


パンッ!


すると今度は林の後ろから銃声がした。すると男の持っていた拳銃は床に落ちた。それを見た林はすぐさま男の拳銃を蹴って遠くにやった


「とりあえず確保と…… 小橋、誰が被弾したんだ?」


林は男を捕まえると資料庫の入り口を見た。するとそこには小橋と共に来ていた男性対策官が頭から血を流して倒れていた……




小橋零こはしれい


三等ゾンビ対策佐官


武器……刀

拳銃

短剣

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