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僕らはゾンビ対策官  作者: ソーダ
第三章 日々
184/347

#167 薬物

関東ゾンビ殺所場、本館四階監獄スペース……


「ここが例のスペースか……」


そう言ったのは冨沢だった。この殺所の監獄スペースは対策官でも基本入ることがない場所だった。なのでこの林班では佐伯しか入ったことのない場所だった



「この奥に取調室があるので、そこで詳しい話は聴きます」


佐伯はそう言うと林から鍵を受け取った。そして近くにあった扉の前で足を止めると、手に持っていた紙を見た。そしてこの牢獄にいるのが本部を襲撃した人物で間違いないと分かると、林達にこう言った


「扉を開けるので後は頼みます」


佐伯はそう言うと林と冨沢は拳銃を取り出した。それを見た佐伯は素早く鍵を外し扉を開けた



「なんだこれは……」


林は独房の中を見るとそう言った。佐伯は何があったのか気になり独房の中を見ると、そこでは一人の男性が口から血を吐いて倒れていた


「中鈴!職員を呼んでこい!」


「了解です」


中鈴は林からそう指示を受けると、走って監獄スペースから出ていった


「死んでるのか?」


「多分な。垂れてる血が若干黒っぽくなってるし、そこそこ時間は経っていると思う」


林は床に垂れている血を見るとそう言った。しかしこの何もない独房でどのようにして死んだのだろうか?それが謎だった


「まさか殺されたとか……」


「有り得なくはないな。殺所に奴等のスパイがいて殺したってのは考えられる」


林はそう言った。もし殺所にスパイがいるとなるとかなりめんどくさいことになる。殺所で働いている人のほとんどは見習い対策官なので、詳しいことは分かっていない。なのでスパイかどうかを調べるのは、かなり時間のかかる大変な作業になることは誰でも予想ができた



「とりあえず他の人から調べたらどうだ?襲撃した人は全員で五人でしょ?」


そう言ったのは冨沢だった。するとそれを聞いた佐伯は急いで残りの襲撃者のいる独房へと向かった。そして皆にこう言った


「サポート頼みます」


佐伯はそう言うと扉を開けた……


「林二佐、大変です!こっちも同じような状態になっています!」


独房の中を見た小牧はそう言った。それを聞いた林は一つの考えが頭に浮かんだ


今確認したのは二人。もしかしたら残りの三人もこのような状態で死んでいるのではないかと……



「林二佐!連れてきました」


そう言ったのは中鈴だった。中鈴の後ろにはサブマシンガンを持っている予備対策官三人と白衣を着ている女性がいた


「現場はここね」


白衣を着ている女性はそう言うと一番最初に扉を開けた独房に入った。そしてしゃがみ、男性が生きているかどうか確認し始めた


「冨沢と小牧、佐伯は他の独房の確認をしてくれ」


「あいよ。任せな」


冨沢はそう言うと拳銃を取り出し、他の扉を佐伯、小牧と共に開け始めた



「残念ですが、亡くなってますね」


女性はそう言うと立ち上がった。それよりこの女性は誰だろう。林はそのことがやや気になっていた。林がそんな事を思っているとその女性は林に近付きこう言った


「私は佐倉渚月さくらなつき、殺所に勤める医官です」


「医官?」


林はその言葉を聞くとついそう言ってしまった。すると佐倉はこう言った


「簡単に言えば医者です。医官は医務部に含まれる対策官です。因みに医療班、医務班というのは医官の事を指しているんですよ」


佐倉は林にそう説明した


「だいたい分かりました。それより死因は何か分かりますか?」


林はそう質問した。そもそも医官の説明などどうでも良かったのだ。いまは雑談より仕事が優先。雑談などいつでもできるのだから……


「シアン化カリウムだと思いますよ。甘酸っぱい香りがしますし……」


「シアン化カリウム?」


「青酸カリのことですよ。推理系の漫画、小説ではよく出てくると思いますけどね」


佐倉は林にそう説明した。確かに林も推理系の漫画や小説を呼んだことがあるので、青酸カリのことは知っていた。なので青酸カリについても漫画や小説に書いてあったことは多少覚えていた


「と、いっても青酸カリを飲んで即死っていうのは嘘ですから」


「え?」


「実際はドラマのように突然苦しんだりしませんよ。とりあえず、シアン化カリウムを飲むと胃の中で、混ぜるな危険の洗剤を混ぜた状態になっていると考えてください」


佐倉はそう言うともう一つの独房へと入った。そして生死を確認し始めた……


「理系じゃないから分からないな。まぁこういうのは専門職に任せるとしよう」


林はそう言うと残りの独房を確認している三人の所へと移動した。すると小牧が林にこう言った


「林二佐、残りの二人も同じ状態です。そして今から開けるのが最後です」


「そうか…… じゃあ開けてくれ」


林は拳銃を持つとそう頼んだ。しかし本部を襲撃した五人中四人がすでに死んでしまっているのだ。なのでこの一人だけが生き残っているとは考えづらかった……


「開けますよ」


佐伯はそう言うと独房の扉を開けた。そして林と冨沢は独房の中を見た。するとそこには一人の男性がこちらを見ていた


「あ?」


その男性は林達を見るとそう言った


「佐倉医官!生存者見つけました!」


林がそう言うと佐倉が走ってやって来た。そしてその男性に色々と訪ね始めた。それにしても何故この男性だけ生きているのだろうか?林はそれだけが不思議で仕方なかった


「林さんでしたか?ちょっと来てもらえますか」


「構いませんけど……」


林はそう言うと佐倉についていった。そして監獄スペースから出ると佐倉は手に持っていたものを林に見せた


「どうやら四人の死因はこれのようです」


林が佐倉の手に乗っかっているものを見ると、それは薬などの入っているカプセルに見えた


「どうやら本部を襲撃して捕まった場合は自殺しろと言われているらしいです」


佐倉は林にそう言った。しかし佐倉の手に持っているカプセルはすでに中身が無くなっていた。つまりそれはあの男性が中身を捨てたか、飲んでしまったかのどちらかを意味しているのだった


「カプセルの中身無いようですが……」


「はい、それなんですけど、あの男自分で無酸症だと言ってるんです。とても信じられることではないですけどね」


「そうですか。では取り調べを行っても大丈夫ということですか?」


林はそう聞いた。はっきりいって無酸症というのが何かは分からなかったが、聞いたところで余計に分からなくなるだろう


「はい。大丈夫ですよ。ただし何かあったら私を呼んでください」


「了解です。それでは捜査に戻りますので」


林はそう言うと小牧達の待つ監獄スペースへと入っていった……

佐倉は一人になるとボソッとこう言った


「あの男、怪しいわね。ちゃんとした所で調べてみたほうが良いんじゃないかしら……」


佐倉はそう言うと事務室に行くために階段を下り始めた……





佐倉渚月さくらなつき


医官(関東ゾンビ殺所場勤務)


武器……拳銃



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