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僕らはゾンビ対策官  作者: ソーダ
第二章 弱体化
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#158 実行

マル食品羽町工場A館二階……


「林!なんか凄いことになってるよ」


そう言ったのは冨沢だった。今回の作戦で林班はA館を捜査することになっていた。そのA館は散らかっており、所々血がついていた


「どれだ?」


林はそう言うと冨沢のいるトイレへと向かった。そしてそのトイレに入るとそこは血が大量にこぼれていた


「これはゾンビのか?それとも……」


林はそう言うとしゃがみこみ、赤色の付箋のようなものを取り出した


「付箋なんて出してどうすんの?」


冨沢はそう言った。すると林はその付箋のようなものを一枚取ると、床に垂れていた血をつけた。そして取り上げるとこう言った


「反応なし。ゾンビの血液じゃないね」


林はそう言うと立ちあがった。そしてその血のついた紙をゴミ箱に捨てた


「結局それなんなの?」


冨沢はもう一度林に聞いた。すると林はこう言った


「ゾンビ菌の有無を調べる試験紙だよ。聞いたことない?」


「聞いたことないわ。中鈴と小牧は知ってた?」


冨沢は二人にそう聞いた。しかし二人とも首を横にふった。それを見た林は仕方なくこの試験紙の説明をすることにした


「この試験紙はゾンビ菌に反応すると赤色から緑色になる性質を持ってるんだ。まぁリトマス紙のゾンビ菌バージョンだと思えばいいよ」


林はそう言うと試験紙を対策手帳の中にいれてしまった。この試験紙は林が入局したばかりのとき、同じ班の先輩からもらったものだった。なので最初は沢山あった試験紙もかなり薄くなっていた……


「ん?林二佐、あんな所に手錠が……」


小牧はそう言うと洗面台の下を指差した。林がその洗面台の下を見ると、そこには壊れた手錠が落ちていた


「なんで手錠が?」


林はそう言うとその手錠を拾った。しかしなんで手錠がこんな所に落ちているのか全く分からなかった


「この洗面台パイプ取れてるよ。これじゃあ水が漏れるのに……」


冨沢はそう言うと落ちていたパイプを拾った。そのパイプには血液がついていた……


「もしかしたらここで警察官二名は戦ったのではないですか?」


「そうなのかね?とりあえずこの事は作戦後本人に聞こう。引き続きA館を調べよう」


林はそう言うと剣を抜いた。今回の「マル食品羽町工場作戦」の目的はC館の地下にあるエース達のアジトを潰すこと。といっても林班はA館に誰かいないか確認するのが今回の作戦での役割だった。なのでC館地下へと向かった笛中、伊東班のようにゾンビと戦うような事はなさそうに思えた……




マル食品羽町工場C館地下……


「全員戦闘用意!」



そう言ったのは笛中だった。すると笛中が引き連れていた八人の対策官は武器を構えた


この地下空間での指揮は地下空間の構造を知らない宇土に代わって、現場に実際に行く笛中に任されていた。なので笛中は皆にこう言った


「この先にはゾンビがいる。みんな油断せずに行け!」


「了解」


笛中は部下からの返事を聞くと、地下空間へとつながる鉄の扉を開けた。扉を開けると最初に目に入ってきたのはゾンビの死骸だった


「全員奥まで進め!」


笛中はそう言うと血の上を走って進んだ。そのときだった。突然笛中の前にゾンビが出てきた。なので笛中は素早くナイフでゾンビの首に斬り込みを入れた


「笛中さん!向こうから沢山きます!」


そう言ったのは部下の墳本だった。笛中はそう言われると墳本の言う方向を見た。するとその方向からは沢山のゾンビがゆっくりとこちらに向かって歩いていた



「伊東班は先を急げ!俺達はここのゾンビを倒してから行く!」


笛中はそう指示するとゾンビの首をナイフで斬った


「了解です。有木さん達はどうしますか?」


伊東は有木にそう聞いた。この地下空間には笛中、伊東班と共に、警視庁ゾンビ対策課の警察官も来ていた。と、いってもこの警察官達はゾンビと戦うのは得意ではなく、この状況では全く役に立たなかった。すると有木は笛中にこう言った



「我々も進みます。二人が伊中という人に助けられたみたいですし」


「分かった。伊東班の援護を頼みますよ」


笛中はそう指示するとゾンビの大群の中に入っていった……



「行くよ!手遅れになってからでは遅い」


伊東はそう言うと走り出した。有木達も必死に伊東班のあとを追いかけた




「あとは頼んだ!」


伊東班が伊中のいる所につくと、伊中はそう言って戦いから抜けた


「中畑いくよ」


伊東はそう言うと走って伊中の戦っていたゾンビに斬りつけた。するとゾンビの腹が綺麗に斬れてしまった


「とどめ刺しますね」


中畑はそう言うと槍をゾンビの頭に突き刺した。するとゾンビは動かなくなってしまった。なので中畑は槍を抜くと伊東にこう言った


「これが強いゾンビですか?」


「多分ね。弱かったけど……」


二人がゾンビを倒して油断しているときだった。突然伊中は二人にこう言った


「まだ倒せていない!気を付けろ!」


伊中がそう言ったときだった。伊中は中畑の後ろで何かが動いているような気がした。なのでそれをよく見てみると、それは今倒したばかりのゾンビだった


「中畑、こっちにこい!」



伊東はそれに気がつくとそう言った。が、すでに遅かった。中畑はゾンビに蹴り飛ばされてしまった。しかもそのゾンビは他のゾンビと違い、力が強く戸田と青池のいる所まで飛ばされてしまった


「こいつは力が強く、斬れにくい。そのうえ頭に槍を刺したくらいじゃ死なないぞ」


伊中は伊東にそう注意した。このゾンビは頭を斬らないと倒すことができない。伊中の言っていることはそう言うことだった


「了解です」


伊東はそう言うとそのゾンビに斬りつけにかかった。そんな様子を戸田と青池は少し離れた所から見ていた


「戸田。私やるわ。あとは任せるね」


青池はそう言うと、戸田が止める間もなく剣を持って伊東班の戦っている場所まで行ってしまった。そして剣でゾンビを斬りつけた……


「ありゃとめられないな」


「そうですね。青池は一度やると決めたらとまりませんしね」


戸田の横に有木と大原が来た。しかし二人ともゾンビと戦う気は一切なく、拳銃すら持っていなかった


「いいんですか?戦わせてしまって……」


戸田はそう質問した。すると有木は呆れたような顔をしてこう言った


「あいつは言ったところで言うこと聞かないよ。そういう奴なんだから……」


有木はそう言うと青池を見た。剣を持ってゾンビと戦っている青池は、資料を扱っているときの青池より生き生きとしていた……





早坂沙奈はやさかさな


警視庁ゾンビ対策課、巡査


武器……短剣

拳銃

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