#157 案内
それから伊中は二人をいくつかの部屋に案内してから、C館へと移動した。このC館には工場の地下にあるエース達のアジトへの入り口があった。なので伊中は事務室をスルーして奥へ進んだ
「伊中、何してるの?事務室あったじゃん」
青池は伊中の後ろにつくとそう言った。さすがにこの工場の秘密を知らない青池は事務室の捜査をしないわけがなかった。なので伊中は仕方なくこう言った
「事務室にゾンビに関する証拠などない。それよりもっと良いところに連れていってやる」
「もっと良いところですか?」
戸田はそう聞いた。すると伊中は振り向くとこう言った
「C館の地下室と言えば分かるかな?」
伊中はそう言うと立ち止まった。そして壁に左手をつけた
「何してるのよ?早くいきましょうよ」
もしここで事情を説明したところで信じてくれるはずがない。伊中はそう考えたため無言で壁に手を当てていた。そして伊中が壁に手を当ててから一分がたった時だった。突然三人のいる床が下へと下り始めたのだ……
「これは?」
戸田が伊中にそう聞いてきた。なので伊中は剣を抜いてからこう言った
「さっきの俺が手をつけた壁の天井に熱感知センサーがあるんだ。そこで一分止まってるとこうなるわけ」
「じゃあなんで壁に手をつけてたのよ」
青池がそう質問した。確かに天井に熱感知センサーがあるのなら壁に手をつける必要もなかった
「それは熱感知センサーの場所が分からなくならないように、あそこの壁だけ少し膨らんでいるんだ。だから壁に手をつけたんだ」
伊中は青池の質問にそう答えた
バンッ!
そんな音がすると三人のいる床は止まった。伊中の後ろでは青池と戸田がどうしてよいのか分からず戸惑っていた。なのでそんな二人に伊中はこう言った
「この鉄の扉を開けたらいよいよ戦いだ。剣を持ちな」
伊中がそう言うと戸田と青池は剣を抜いた。伊中は二人が剣を抜いたのを見ると目の前にある鉄の扉を開けた……
扉の先はとても広い空間になっていた。そしてその巨大空間の中央には緑色の液体の入っている大きな水槽があった。戸田はゆっくりとその水槽に近付くと、中に何か入っているのに気がついた
「気をつけろよ。その液体の中にはゾンビがいるから」
伊中が戸田にそう注意した。と、いってもこの水槽はかなりの強度があるため、壊される心配はなかった。なのね近くにいても全く問題はなかった
「何でゾンビがこの中にいるのですか?ゾンビなら勝手に増えるはずなのに……」
戸田はそう質問した。なので伊中は水槽を触るとこう言った
「この水槽で通常のゾンビよりはるかに強い亜種を作っている」
「亜種?希種のこと?」
そう言ったのは青池だった。伊中はその質問を聞くと警視庁ゾンビ対策課のレベルがどれだけ低いのか分かったような気がした。ゾンビ対策官なら誰もが知っているこの二つの違いを、警察官はその言葉すら知らない。警察官がゾンビをあまり倒せない理由すらも理解できたような気がした伊中だった
「似ているが少し違う。希種は自然に増え、行動がおかしいゾンビを指す。しかし亜種は自然には増えず、道具を使ったりなど本来のゾンビとは特徴がかなり変わっているゾンビのことを指す」
伊中は呆れ顔でそう言うとスマホを取り出した。そして画面をつけると青池に見せながらこう言った
「青池さんでしたか?あなたさっきスマホを貸したとき何かしましたよね?」
伊中はそう言うと青池に近付いた。そして画面を変えると、青池に小声でこう言った
「ウイルス入れたよね?盗聴するための……」
伊中がそう聞くと青池は顔色一つ変えずにこう言った
「分かってたのね」
「いや俺は分からなかったよ。だけど、この仕事用のスマホには外部からウイルスが入ったら自動で削除するシステムを入れてるんだ。だから分かったんだよ」
伊中はそう言うと青池が耳につけていた小型の通信機を取った
「やっぱりか。それに俺と会う前にテンの攻撃をくらっていたようだけど、それあまりダメージ入ってないでしょ。現にさっきまではフラフラしてたのに、今じゃ大丈夫みたいだしね」
伊中にそう言われると青池は諦め、ため息をした。すると伊中はそんな青池にこう言った
「ゾンビ殲滅局はいつでも待ってますよ。良ければどうぞ」
伊中はそう言うとスマホを使って協力者である元町に電話をかけ始めた。青池には伊中が誰に電話をかけているのか分からなかったが、伊中のことなので何か大きな賭けをしようとしているのは予想ができた……
マル食品羽町工場正門前……
「宇土さん。開始です」
元町は電話をしながら宇土にそう言った。宇土はそれを聞くと拡声器を持って作戦司令車から飛び出した。そして作戦司令車の屋根によじ登ると拡声器を使ってこう言った
「マル食品羽町工場強制捜索開始!」
宇土がそう叫ぶと対策官達が工場の敷地内へと入っていった
「宇土!そろそろ戻ってきてくれるか?」
突然下からそんな声が聞こえた。なので下を見るとそこにはは米田がいた
「分かったよ」
宇土はそう言うと屋根から飛び降りた
「とりあえず作戦は無事始まった。俺達は対策官のサポートするぞ」
宇土はそう言うと米田を残して作戦司令車に入っていってしまった。すると米田は作戦司令車に傷がついているのに気付いた
「ホント、凄い奴だわ」
米田はボソッとそう言うと皆のいる作戦司令車に入った。この作戦司令車は長い間使われているため綺麗とは言えなかった。しかしそれでもこれからも使いたいと思う米田だった……
米田圭
(通常)司令官
武器……拳銃




