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僕らはゾンビ対策官  作者: ソーダ
第二章 弱体化
171/347

#155 裏側

東京本部、第一会議室……


「工場を調査していた潜入捜査官は無事脱出したようです」


そう言ったのは榎本だった。この会議室には仲野、郡山、藍卯、そして榎本がいた。この第一会議室では「マル食品羽町工場作戦」の情報が送られてきた。これらの情報は宇土とかが知っているようなものから、作戦の裏側での情報など様々なものが集まっていた


「これで工場内にいるのは伊中と警察官二名か。対策官はいつ突入させるんだ?」


「伊中に地下空間へ入る前に連絡するよう伝えている。だから伊中から連絡が来たら突入させる」


仲野の質問に藍卯はそう答えた


「そう言えば郡山さん。なんでうちの及川を向かえさせに行ったのですか?」


そう聞いたのは榎本だった。榎本の部下である及川は、羽町工場を下調べするために潜入捜査していた織部の脱出の手助けをしていた。この助ける役が潜入捜査官なら違和感はないが、なぜ情報管理部の人間が危険なことに手を貸さなくてはいけないのか榎本には理解できなかった


「彼女は元潜入捜査官だからだ」


「え?」


郡山がそう言うと榎本はついそう言ってしまった。しかし驚くのはまだ早かった。普段、榎本の部下として働いていた及川には隠していた秘密があったのだ


「お前たち五年前の有川班のこと調べてただろ」


「はい。確かに調べてましたけど……」


「その調査で何か違和感はなかったか?」


郡山にそう言われると榎本は有川班の調査について思い出そうとした。すると頭の中に一枚の資料が浮かんできた。その資料は元町が資料庫から引っ張り出してきたもので、五年前に行われた「上野公園新平地作戦」の殉職者についての資料だった



「山田太郎の死因が二つあったこと、それと八津畑対策官が行方不明になっている…… 見つけた違和感はこの二つです」


榎本がそう言うと郡山は立ち上がり、ホワイトボードの前に移動した。どうやら仲野と藍卯も五年前に起きた裏側の謎を知らないらしく、じっと郡山を見ていた


「その二つの真実を教えてあげるよ。山田太郎は八津畑対策官が殺した。そして八津畑対策官は現在も生きている」


「え?」


榎本はそれを聞くと頭がこんがらがってきた。そして、なぜ作戦中に八津畑対策官は山田太郎を殺害したのか理解できなかった


「何で殺害を……」


「仲野は当時聞かなかった?局にスパイがいるって」


仲野はそう言われると五年前のことを思い返した。すると「上野公園新平地作戦」の数週間前にスパイ騒動があったのを思い出した。そのときスパイだと疑われたのが殺害された山田太郎だった


「山田太郎…… 確かその人が身の回りの捜査をされてましたよね」


そう言ったのは榎本だった。榎本は対策4情報管理部に入る前までは対策2にいた。なのでそのことを知っていた


「そう。そのあとどうなったか覚えてる?」


「はい。確かスパイの可能性は低いとなり、捜査は中止になったと聞きました」


「正解。だけど実際は裏で山田太郎がスパイであると判明していたんだよ。山田のコードネームはセブン、そして山田の所属する組織についても全て調べたよ」


仲野は郡山からそれを聞くと驚いた。当時、対策3の最高司令官だった仲野ですら知らなかったことを、なぜ准高司令官だった郡山が知っているのかという疑問が浮かんできた。すると藍卯は郡山にこう質問した


「私は五年前は居なかったから知らんが、山田と伊中はどういう関係だ?」


藍卯が聞くと郡山は少し考え始めた。そして少しするとこう言った


「八津畑…… つまり及川が山田を殺して、そのセブンというポジションに伊中が入った的な関係かな?」


郡山はそう言った。そのとき榎本は何と言えば良いか分からなかった。普段から共に仕事をしてきた人がまさか元潜入捜査官のうえ、人を殺めた人間だった。なので榎本は何を信じればいいか分からなくなってしまった


「だから及川に向かえさせにいったのか……」


「そうそう。言い忘れてたけど、当時の有川班に雨ヶ崎って人いたでしょ?それ伊中の偽名だから」


郡山がそう言うと榎本は元町達と調査した紙を思い出した。確かその紙には雨ヶ崎という名前の対策官は殉職しており、遺体も見つかっていた。なので雨ヶ崎が伊中とはならないと思った


「でも遺体が見つかってますが……」


「あぁ、その遺体は俺も誰のか分からない。何しろあの作戦では身元を調べることすら辛いものだったからね。普段から体に身に付けているものだけで判断されることもあったから、多分間違いだと思うよ」


「じゃあ何で当時のメンバーである有川と佐瀬は二人に気がつかないんだ?」


仲野はそう聞いた。確かに同じ班だった有川と佐瀬が二人を見て気がつかないわけがない。すると郡山はこう言った


「まぁ気付かなくてもおかしくないかもね。二人とも性格は変わってないかも知れないけど、外見は結構変わってるしね」


郡山はそう言うとこの会議室に持ってきたファイルを開いた。そして何枚かめくると中から二枚の写真を取り出し、それを三人に見せた


「これが当時、有川班にいた時の写真だよ。といってもこの写真は誰が潜入捜査官か分かるように確認の為に撮ったものだけどね」


その写真には伊中と及川が映っていた。しかし現在のような姿ではなかった。伊中は髪がボサボサで眼鏡かけていた。逆に及川は眼鏡をかけておらず、髪も長かった


「確かに別人に見えますね」


榎本は写真を見るとそう言った。すると近くにいた藍卯は郡山にこう言った


「まだ隠し事はあるか?あるなら全て吐け」


「まだあることにはあるけど、これ以上は教えられないよ。長年積み上げてきたものだからね」


郡山はそう言うと席に座った。郡山は入局したときからこのような重要な情報を扱っていたらしい。なので今回のような裏側でひっそりと行われているようなことは、本部長の仲野ですら知らなかった……




雨ヶ崎賢太郎あまがさきけんたろう


一等ゾンビ対策官(五年前)


武器……ロングソード

拳銃

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