#142 激減
それから一週間。小牧の所属する林班はゾンビと戦うことがなかった。何故なら布地飛行場を強制捜査した日からゾンビに関する通報が一件もなかったのだ。そして東京を巡回する対策官もゾンビを見なかった。この謎の現象に誰もがおかしいと思った。なので対策4と対策5が共同で捜査しようとしたものの、過去にこのような例がなかったため調べようがなかった……
ゾンビ殲滅局東京本部、対策2専用室……
「一体東京で何があったんでしょうね?」
そう言ったのは小牧だった。この林班はこの一週間ずっと本部で書類をつくっていた。なのでたまにはゾンビと戦いたいと思っていた
「分からない。冨沢は埼玉支部の人から何か聞いてないの?」
「いや、特にゾンビが出なくなったとかは聞いてないよ。ただ埼玉の南側ではゾンビに関する通報がかなり減ったって驚いてたよ」
冨沢はそう言うとアイスを食べた。冨沢の話によると埼玉県の南側。ようするに東京都に近いところではゾンビの目撃情報が減ったらしい。もともと埼玉県の南側はゾンビが沢山いる地域で、埼玉支部にくる通報の半分以上が南側でのことだった。なのでこの状況になり、埼玉支部の対策官もかなり驚いていた
「このことについて本部長は何もいってないのですか?」
そう聞いたのは小牧だった。すると林はこう言った
「今日の二時からの上層会議で話すんじゃないかな?詳しくは分からないけど……」
ガチャッ!
林がそう言ったときだった。突然対策2専用室の扉が開いた。そして中に一人の男性が入ってきた。その人は部屋にはいると一直線で林班の席の所にやってきた
「林、中宮マンションについての情報まとめておいたよ」
その男性はそう言うと林に紙束を渡した
「榎本か。ありがとな」
林はそう言うと榎本という男性から紙束を受け取った。そしてその紙束をパラパラと見るとこう言った
「榎本ってさ対策4の情報管理課だったよな?」
「そうだよ。今さら何言ってるの」
榎本はそう言うと笑った。しかし林がこう言うと一気に真顔になった
「じゃあ今東京で起きている現象、知ってる?」
林がそう聞くと榎本は黙ってしまった。するとそんな榎本を近くから見ていた小牧は冨沢にこう聞いた
「あの人誰ですか?」
小牧は冨沢の耳元でそう言った
「この人は榎本伊織。対策4の情報管理課所属の製作官だよ。林とは中学生の時からの仲って事しか知らない」
冨沢はそう言うと榎本を見た。しかし榎本はまだ黙っていた。すると林はこう言った
「この話は止めておこう。お前のことだ。どうせ捜査に関わってるんだろ」
林はそう言うと立ち上がった。そして小牧の所に移動するとこう言った
「こいつが前話した小牧だ」
林は小牧の肩に手を置くとそう言った。すると榎本はようやく緊張がとけたらしくこう言った
「君が小牧君か。林より強そうだね」
「まぁ実力林より林と同じくらいだよ」
そう言ったのは冨沢だった。するとそう言った冨沢に林は軽く頭を叩いた
「じゃあ自分はそろそろ戻るよ。他に仕事あるしね」
榎本はそう言うと対策2専用室から出ていってしまった。林は榎本が部屋から出ていくと、自分の席に戻った。そしてさっき貰った紙束を見た。するとその紙束の一番下に、林が頼んでおいたものとは全く関係のない資料があることに気がついた
「なんだこれは?」
林はそう言うとその紙を見た
「なんでアイツが持ってんだよ」
林はそう言うとその紙を丸めてゴミ箱に捨てた。そして上層会議に出席するために部屋から出ていってしまった。すると冨沢は小牧にこう言った
「小牧、調査してみたくないか?」
「何をですか?」
小牧がそう言うと冨沢はゴミ箱を指差してこう言った
「林が捨てた紙をだよ」
冨沢はそう言うとゴミ箱にためらいもなく手を突っ込んだ。そして林が今さっき捨てたばかりの紙を拾った。そしてその紙を綺麗に広げた。するとその紙には小牧達が知ってはいけないことが書かれていた……
「マル食品羽町工場作戦ですか?」
そう言ったのは小牧だった。小牧は冨沢の後ろから紙を見ていた。しかしこの紙に書かれている「マル食品羽町工場作戦」というのが分からなかった。なのでこの作戦は自分が入局する前に行われた作戦だと考えたが、どうやら違うようだ
「こんな作戦あったか?」
「いえ。少なくとも自分は知りませんね」
中鈴は冨沢の質問に対してそう言ったのは答えた。この言葉で小牧は確信した。この作戦は過去のものではなく、これから行われる大規模作戦だと…… しかし不思議なことがあった。それは日付だった。すでに発表されている大規模作戦の実施予定日は十一月五日だった。しかしこの紙には十一月四日と書かれていた。そしてその紙には、有川班、林班、笛中班と書かれていた。小牧にはこの紙に書かれていることが、何を指しているのか分からなかったが、重要な書類ということには変わりなかった……
榎本伊織
准高製作官
武器……拳銃




