#136 信用
次の日、午前九時
東京本部、本部長室……
その部屋には本部長の仲野と笛中がいた。どうやら二人は今後の流れについて話しているようだった。そんな本部長室に一人の女性が入った
ガチャッ!
「失礼します。築井中広のスマートフォンの調査終了しましたので、その報告に来ました」
そう言ったのは対策4の情報管理部所属の元町世南だった。彼女は対策4の中で一番若いものの、電子機器などの操作は一番上手くでき、ハッキング出来るほどの実力があった。そんな彼女は布田が「ZN建築株式会社掃討作戦」で見つけた築井のスマートフォンのデータを調べていたのだ
「何か有力な情報はあったか?」
仲野は笛中との会話を中断するとそう聞いた。すると元町は仲野の机に数枚の紙を置くとこう言った
「かなり有力な情報ありましたよ。その部分はこの紙に載せておきました」
元町がそう言うと仲野は机に置かれた紙を手に取った。そしてその紙を見ると、そこには何かの見取り図が書かれていた。しかしその紙にはどこの見取り図なのか書かれていなかった……
「これは東京都羽町市にあるマル食品工場の工場です。築井の残したデータには、その工場の地下に拠点があると書かれていました」
「分かった。笛中は藍卯と今井を呼んできてくれ。すぐに作戦を立てる」
「了解」
笛中はそう言うと部屋から出ていった。仲野は元町と二人っきりになると、元町にこう質問した
「元町製作官、貴方はどこまで知っているんだ?」
仲野はいつになく真面目な顔をしてそう聞いた。すると元町は仲野にこう言った
「私は伊中の情報面でのサポートをしてましてね。蒔村研究官がどうなったかも知ってます」
仲野はそれを聞くとため息をついた。そしてお茶を手に取るとこう言った
「この事は誰にも言うな。そして蒔村は死んだ……」
仲野はそう言うとお茶を飲んだ。しかし元町はその情報も知っていたらしく、全く驚いていなかった
それから一時間後……
対策2専用室に対策3の今井が入った。今井は入るとすぐにこう言った
「十一月五日に大規模作戦を行う。なお、今回の作戦内容は前日に伝える」
今井はそう言うと壁に紙を張り付けると行ってしまった。冨沢がその紙を見ると、そこには今井の言っていたことが書かれていた。しかしその紙をじっくりみても、作戦の曜日しか載っておらず、場所は書かれていなかった
「冨沢三佐、これはどういうことですか?」
そう聞いたのは小牧だった。しかし冨沢にもどういうことなのか分からず、困ってしまった。そんな二人に近くにいた伊東はこう言った
「次の作戦はかなり凄いことになると思うよ」
伊東は二人にそう言った。しかし冨沢と小牧はどういう事なのか全く分からなかった。すると伊東は続けてこう言った
「今この部屋には一部の対策官だけいない…… この部屋にいない対策官の共通点。小牧は分かる?」
小牧はそう言われると考え始めた。今この部屋にいない対策官は、林や小橋、有川、佐瀬などベテラン対策官だった。なので小牧は実力のある対策官がここに居ないと考えた
「ベテラン対策官がいないというわけですか?」
「残念。ベテラン対策官のみが居ないとなれば、北音寺二佐や川中一佐だっていないはず。冨沢三佐は分かりますか?」
冨沢はそう聞かれたものの全く分からなかった。すると伊東は二人にこう言った
「あくまで予想だけど、ここにいない人の共通点は上野公園新平地作戦に参加してるかしてないかだと思う」
「そういえばそんな作戦林から聞いたな。その時俺はまだ埼玉支部にいたから参加してないけど」
冨沢は五年前はまだ埼玉支部にいた。そして冨沢が東京本部に来た理由。それは「上野公園新平地作戦」で減った対策官の数を補うために来たのだった。当時の東京本部はこの作戦でほとんどの対策官、司令官を失った。なので東京防衛のために全国から対策官を集めていたのだ
「それなら当時、茨城支部にいた北音寺二佐や栃木支部にいた川中一佐が、先程の条件だとベテランなのに、ここにいることになりませんか?」
「ですが、なぜ上野公園作戦に参加した対策官だけいないのですか?」
小牧は伊東にそう聞いた。すると伊東は少し考えるとこう言った
「多分信用性だと思う」
「信用性ですか?」
「新庄さんから聞いた話だと、仲野本部長はその作戦に参加した対策官の事をものすごく信用しているらしい。だから次の大規模作戦は今まで以上に重要な作戦なんじゃない?」
小牧はそれを聞くと全てが繋がったような気がした
上層会議のメンバーであるはずなのに会話から追い出された新宮。なぜかこのタイミングで正体を表した伊中。そして大規模作戦を行うと発表されたにも関わらず、場所が出されていない謎の作戦。しまいには本部長である仲野が最も信用する「上野公園新平地作戦」を生き残った対策官だけで行われている会議
これらを考えると小牧は一つの答えにたどり着いた
「伊中さんは味方かも知れない……」
と、小牧は言った……
伊東仁
准ゾンビ対策官
武器……剣
爆式銃
拳銃




