#014 新平地
「まぁ始めようか」
仲野がそう言うとその部屋にいた対策官達の緊張が解れた。そして仲野はこう言い始めた。
「明日の午後10時より代々木公園 新平地作戦を行う」
新平地とはその土地にはゾンビが居ない安全地帯の事で、その土地はほとんどなかった。なぜならその新平地をつくるにあたって、その土地の周りを簡易壁によって出入口の数を制限してから中のゾンビを倒さなくてはならないため、金と時間の問題であまりされていなかったのだ。
「因みにこの事は今日の2時にある班長、隊長会議で発表する予定だ」
仲野がそう言うとそこに有川が質問した。
「作戦の細かい所はもう決まっているのですか?」
…と有川が聞くとそれに宇土が答えた。
「作戦については参謀(作戦立案官)の羽生さんと話し合って決まってします… 」
と言うと宇土は細かい内容を話始めた。その内容とはこうだ。
公園にある出入口(門)の防衛、簡易壁の設置は対策1の班に任せ、公園内のゾンビ殲滅は対策2が担当するというものであった。そしてゾンビ殲滅局No.1の宮島は公園内の地下を布田の隊と一緒に、倉科の部隊は渋谷門から、宗の部隊は西門から… そして最後には中央広場で集まるという作戦だった。
それから暫くすると話し合いは終わり隊員達は本部長室から出てきた。そして自分の部下の待つ部屋を目指して歩き始めた…
午後3時… 班長達を集めた会議が終わり林は講堂からいち早く飛び出してきた。そして対策1の扉を強く開けた。
「大変だ!明日の夜に大規模作戦作戦があるぞ!」
対策1にいた人達はそれを聞くと各自がそれぞれの事を始めた。何でだよと怒るもの… 自分はもう死ぬのか などといって泣きそうなもの… そしてゾンビを沢山殺して早く偉くなるぞ!と自信満々にいうものなど、沢山いた。
代々木公園原宿門…
「やっと着きましたね。有川特官」
佐瀬はそう言うと大東京埋めた場作戦後に出来たばかりの武器を地面に置いた。すると有川が佐瀬にこう言った。
「チェーンソーじゃちょっと大きすぎないか?」
「そうですか?まだ使ったことないので何とも言えませんが…」
その会話を見ていた上丘はいかにも重くて五月蝿そうだな~と思ってそのチェーンソーを見ていた。
「来なさい!ゾンビどもよ!返り討ちにしてやろう!」
上丘の隣からそんな声が聞こえた。すぐに横を向くとそこには水瀬がいた。するとそれに有川がこう言った。
「調子に乗っている死ぬぞ」
…と有川が言ったものの水瀬は
「この世界に俺を倒せるものなど居ない!」
…と言って公園内に入っていった。有川は水瀬はよく人目を気にせずにあんなこと出来るな~と思いつつも有川も公園内に入った。
有川、水瀬班が代々木公園内に来ている理由… それは一種の下見みたいなものだ。夜になると何処に何があるのかなどが分かりづらいためこの時間に見に来ていたのだ。…がゾンビ対策官の持つ武器は大きいものだと列車やバス等の公共交通機関に乗れない為、皆歩いてここまで来た為かなり疲れていたが、この作戦で上にいけると考えると疲れなど気にするほどでもなかった…
次の日、午後7時…
代々木公園付近の道路を通行止めにして民間人が入ることが出来ないようにし始めた。その時、宇土のいる作戦指令車Aは原宿門の前に止まっていた。そして時間が経つにつれて隊員を乗せてきているバスが続々と来ていた。
午後9時…
作戦に参加する全班が代々木公園に入る門の前に到着した。その時、宇土はスマホを取り出して本部にいる仲野に用意が出来たことを伝え始めた。
午後10時…
宇土の合図と共に全班が走り始めた。小牧のいる林班は渋谷門から原宿門の間を簡易壁で塞ぐ作業に取り掛かった。
「小牧!どんどん持ってこい!」
林はそう言った。簡易壁… それは新平地をつくる時に使うもので作戦が終了してからはちゃんとしたフェンスがつけられるまでの仮の壁である。なのでそこまで頑丈ではないため少し不安な面もあった。
「ここに置いておきます!」
小牧はそう言うと簡易壁を地面に置いた。そして再び簡易壁をとりに走って行った。
第二部隊(倉科部隊)
「よいしょっと!」
そんな風にいってゾンビを倒したのは丹波だった。そして倒し終わるとすぐに槍を抜き取った。すると鳩浜が突然大声をだした!
「左後方よりゾンビ接近!」
鳩浜はそう言うと手に持っているライトでその方向を照らした。するとそこには一体のゾンビがゆっくりと歩いて此方に来ていた。
「丹波、生田!go!」
倉科はそう言うとそのゾンビに向かって走り出した。そして槍を腹辺りに刺そうとした時だった。そのゾンビが突然暴れだしたのだ。そしてそのゾンビは倉科の顔面を拳で殴った。それを見事に当たってしまった倉科はその力によって地面に倒されてしまった。
「隊長!」
鳩浜はそう言いながら倉科に近付いていった。そして鳩浜は倉科の槍を拾い上げた。
「隊長、槍が…」
鳩浜は倉科に槍を見せながらそう言った。倉科は仕方ないと思いその槍を受けとった。その槍は先に付いている刃は折れてしまっているがまだ裏刃は大丈夫だった。すると倉科は突然こう叫んだ!
「遠距離作戦2に移る!」
そう倉科が言うとさっきまでゾンビの近くにいた部下が少しずつゾンビとの距離をとり始めたのだった…




