#134 裏切者
東京本部第一司令室……
「宇土、東京駅はどうなってる?」
突然そう聞かれると宇土は後ろを見た。そこには予想通り今井が立っていた
「いま宮島、布田部隊が到着したようなので、もう少しで終わりますよ。殺所はどうなってますか?」
「殺所には千葉支部に応援要請を送った。だから殺所の方はゾンビが残ってないか確認したら終わりだ」
今井はそう言うと宇土の横にあった椅子に座った。そして宇土にこう聞いた
「本部前のやつはもう終わるそうだ。これで三つとも作戦終了だな」
今井はそう言うと手に持っていた缶コーヒーを開けて飲み始めた。作戦が終わるのは良いことだが、今回の事について、宇土は一つ引っ掛かることがあった
「今回の件、何で一点突破しようとしなかったんですかね?奴等は……」
宇土がそう言うと今井は缶コーヒーを机に置いた。そしてその質問にこう言った
「一点突破より防衛網を広げさせた方が勝機なあったんじゃない?現に殺所には千葉支部来てるし」
「でも防衛網を広げさせてどうするつもりだったんでしょうか?」
「そりゃ本部を襲おうとしたんじゃ……」
今井がそう言おうとしたときだった。ふとこの部屋に来る前に郡山から聞いた話を思い出した。本部付近のゾンビを倒す対策官をまとめている郡山の話によると、本部付近にいるゾンビは強くはないものの、数が多いとのことだった。そして謎の連中との戦いは起きていないとのことだった。奴等が本当に本部を潰そうとしているのなら、こんな簡単に終わらせるだろうか?今井はそう考え始めた。すると二人の近くにいた米田がこう言った
「もしかして奴等の本命は蒔村なんじゃない? 彼女ゾンビに関する情報を持ったまま記憶喪失になったみたいだし……」
「それだ!直ぐに護衛についている笛中班に知らせろ!」
「了解」
宇土がそう指示すると部下の油井は慌てて無線機を取った
「まだ襲われてないと良いけど……」
「ですね。今は笛中班を信じるしかありませんから……」
宇土はそう言うと立ち上がり、今井を残して第一司令室から出ていってしまった。話し相手のいなくなった今井だが、彼は椅子に座ったまま宇土の部下達を見ていた……
都内のとある病院……
「笛中二佐、蒔村にあってもよろしいでしょうか?よく一緒に研究していたので、もしかしたら記憶も戻るかも知れませんし……」
そう言ったのは伊中だった。そして伊中には一人の女性がついてきていた
「良いよ。入りな」
笛中はそう言うと蒔村のいる病室の扉を開けた。その病室には蒔村と笛中の部下の風戸がいた。なので伊中は風戸にこう言った
「悪いけど、蒔村と話したいから少し席を外してくれないか?」
伊中がそう言うと風戸は笛中の顔を見た。すると笛中が伊中にこう言った
「ごめん。それは出来ない。もし蒔村に何かあったら俺達のせいになるから。ごめんな」
笛中がそう言った時だった。笛中班副班長の墳本が笛中に小声でこう言った
「少し話があるのでよろしいですか?」
「風戸、俺は少し離れる。蒔村を頼んだよ」
笛中はそう言うと墳本と共に病室を離れていった。すると伊中は病室の扉をあけ、本当に笛中と墳本がどこかへ行ったのを確認すると蒔村に近付いた。そして……
パシュッ!
銃声がすると蒔村の腹から真っ赤な血が垂れ、真っ白いシーツを赤くした
「何やってるの貴方!」
風戸は伊中が拳銃で蒔村を撃ったのを見ると、素早く立ち上がり伊中に拳銃を向けた。すると伊中は風戸にこう言った
「悪いな。俺はスパイなんだ」
「スパイ?どういうことなの?」
風戸は拳銃を伊中に向けたまま質問した
「俺はセブンと呼ばれている。そしてこれも仕事だ」
伊中はそう言うと拳銃を手に持っていたまま扉を開け、逃げ出した。それに気付いた風戸はすぐに拳銃を撃ったものの、伊中に弾丸は当たらなかった……
「風戸!今の銃声は何だ?」
そう言ったのは笛中だった。笛中は風戸の発砲音で慌てて病室に戻ってきたのだ。笛中はベッドの上で血塗れになった状態で倒れている蒔村を見る驚いていた。するとそんな笛中に風戸はこう言った
「伊中よ!やつはスパイ!」
「分かった。墳本は一階にいる二人に連絡してくれ!それから来て!」
「了解です」
笛中はそう指示すると、風戸と共に伊中の逃げていった方へと走っていった。墳本は無線でこの病室の一階にいる仲間に状況を連絡すると、伊中と一緒に来ていた女性にこう聞いた
「あなたの名前を教えてもらえませんか?あとで話を聞きたいので」
墳本がそう聞くと女性は墳本に対策手帳を見せた
「元町世南、対策4の製作官です」
「ありがとう。多分病院の人がくるだろうけど、それまで蒔村を頼むよ」
墳本はそう言うと走っていってしまった。病室に一人になった元町は倒れた蒔村に近付いた。そして蒔村を見るとニヤついた……
墳本連
三等ゾンビ対策佐官
武器……槍
拳銃




