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僕らはゾンビ対策官  作者: ソーダ
第二章 弱体化
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#131 肉片

ゾンビ殲滅局東京本部前……


「まさに地獄絵図だね」


そう言ったのは冨沢だった。本部の前の道路には対策官によって倒されたゾンビがあちこちに転がっていた。なのにそれでもゾンビはまだ沢山いた


「どうしますか?最低限のゾンビを倒して東京駅に行きますか?」


中鈴がそう言うと林はすぐにこう言った


「それは無理だ。四人で東京駅に向かうのは無謀すぎる……」


「なら人数が多ければ良いってことか?第一、第四部隊はこれから東京駅に向かうが、ついてこないか?」


林は突然そう話しかけられた。なので声のした横を見ると、そこには布田がいた。布田に話を聞いてみるとどうやら布田の部隊は東京駅に向かうらしく、できるだけ多くの対策官を必要としていたのだ


「別に構いませんが、司令の方は……」


「問題ない。宇土から許可は取っている」


そう言ったのは宮島だった。宮島は今日に限ってはいつもの剣や電撃棒ではなく、電撃銃を持っていた


「でもどうやって東京駅まで……」


「東京駅までは二人一組になって走っていく。基本ゾンビは無視して行けばすぐに着くはず。例の車があれば簡単に行けたんだけどね」


ゾンビ殲滅局はゾンビにぶつかっても大丈夫な改造車を保有していた。しかしこの改造車はゾンビを殺すために刃物がついていたりと危険なうえ、作るのに金がかかるという欠点があり、この改造車は東京では関東ゾンビ殺所場にしか置かれていなかった


「俺の部隊は先に行くよ」


布田はそう言うと、部下と共に東京駅へと走って行ってしまった


「小牧、行くよ。冨沢と中鈴は左側から行け!」


林はそう言うと小牧を連れて走り出した。林と小牧の進む道は布田部隊が邪魔なゾンビの足を斬っていたため、ゾンビと戦うことはなかった。しかし道路はゾンビの血で汚れていて、足場が悪かった……




関東ゾンビ殺所場第一監獄棟……


「これでどうよ!」


加宮はそう言うと刀を振った。するとゾンビの左足がぶっ飛んでしまった


「これでどうだ?」


三間はそう言いながら少し離れたところで亜種を見ていた。しかしそのゾンビは三間の期待とは裏腹に、加宮の斬った左足が徐々に再生していっていた


「まだ油断するな!切り刻め!」


北音寺がそう言うと三間と加宮は亜種の手足、体を斬り始めた。そして完全に肉片となり、原型がなくなったところで斬るのをやめた


「これだけ斬れば死ぬっしょ」


加宮はそう言いながらも刀をゾンビの肉片に向けていた。するとそんな加宮に北音寺はこう言った


「この肉片を少しでも遠くにやれ!」


「え?」


「はやく!」


加宮はそう指示されると、何故なのか理由は分からなかったが、刀を使ってゾンビの肉片を一つづつ離した


「これだけ離れたら再生は不可能だろ」


北音寺はそう言うとバラバラになったゾンビを見た。しかしそのゾンビはバラバラにしてしまったため、落ちている肉がどの部分にあったのかも分からなかった


「この肉片どうしますか?焼却棟に運びますか?」


「いや、焼いている途中で復活されたら面倒だ。とりあえず作戦が終わるまで、壊れていない独房に入れておこう」


北音寺はそう言うと近くにあった倉庫からポリバケツとゴミ拾い用のトングを取り出した。そしてそのトングを使ってゾンビの肉片を集め始めた。しかし一つのバケツに全ての肉片を入れると、このゾンビが復活する可能性があったので、北音寺達は五つのバケツに分けて入れることにした……




東京本部第一司令室……


「宇土!松永ゾンビの相手をしている水瀬班もそろそろヤバイらしいよ!どうする?」


そう言ったのは米田だった。しかし宇土には良い案が出てこなかった。なぜなら東京駅には今、五年前の「上野公園新平地作戦」を生き残った対策官が水瀬と桜庭しかおらず、その他の対策官は五年前は支部にいたか、まだ対策官になっていなかったかのどちらかだった


「宇土司令!殺所にて亜種を倒したそうです。しかし本部周辺にゾンビが沢山いるため、車が出せず行けないそうです」


そう言ったのは屋島だった。しかし宇土は二つの作戦で同時に問題が起きてしまったため、どうすれば良いか分からなくなってしまった。そんな宇土のいる第一司令室に一人の男性が扉を開けた……


「宇土、殺所の方は俺の所に任せてくれないか?」


宇土はそれを聞くと後ろを見た。そこには眼鏡をかけている男性がいた……


彼の名は今井竹元、現在東京本部で一人しかいない最高司令官という司令官のなかで一番階級の高い位置にいる人間だった。そんな今井司令隊は元々「高木喜一元最高司令官」が司令長だった為、隊の皆が作戦の進め方をよく理解しており安定性があった


「これが殺所にいる対策官との通信記録です。詳しいことはこの紙に書いてあるのでお願いします」


今井はそう言われると宇土から資料を受け取った。そして部屋を出ると第三司令室に入っていった……


東京本部には司令官は十五名しかいなかった。なぜなら司令官を必要とする作戦はあまりなく、この十五人で作戦の指揮をとれてきていたからだ。なので逆に、この十五名の司令官が作戦中に死んでしまうと東京本部の対策官は指揮をとれず無茶苦茶になってしまう。それが東京本部の弱点だった……






今井竹元いまいたけもと


最高司令官


武器……拳銃

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