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僕らはゾンビ対策官  作者: ソーダ
第二章 弱体化
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#121 特定

午後二時、東京本部第五会議室……


「埼玉支部作戦の内容ならもう決めています」


そう言ったのは藍卯だった。彼女はすでに仲野に呼ばれる前からどのように作戦を進めるか決めていたのだ


「まず、参加する班を有川、林だけでは少なすぎます。なので、参加する対策官を増やします」


「じゃあ東京の防衛はどうなるんだ?」


藍卯の作戦にすぐに仲野が質問した。埼玉支部は当然のことながら東京にない。なのでもし都内が突然ゾンビに襲われたとき、対策官がほとんどいないと壊滅の可能性もあるのだ


「その点は大丈夫です。東京防衛に対策1と作戦に参加しない対策2の班を残します。なので埼玉支部作戦に参加する班はこれです」


藍卯はそう言うと仲野に一枚の紙を渡した。仲野はその紙を見るとそこには、参加班という所に「有川、林、小橋、染井、柚木班」と書かれていた。多分だが、埼玉支部の支部長を守るダイス(ボディーガード)対策のために参加する班を増やしたのだろう。そしてこの作戦を実行する日は『10月1日』と書かれていた


「なんで実行する日が約一週間後なんだ?準備はもう整ってるだろ?」


「確かに準備は整っています。ですが、念のため埼玉支部に対策官を潜ませます。もっと情報が欲しいですからね」


藍卯はそう言うと席に座った。埼玉支部のことはほとんど分かっていない。なぜなら関東の他の支部とは情報交換をよくするものの、埼玉支部は色々な理由をつけて情報交換どころか、他県の対策官すら建物に入れてくれないのだ。なので埼玉支部は闇に包まれていたのだ


「分かった。この作戦は十月一日に実行する。それまでに参加する班は用意せよ。これにて上層会議は終わり。解散!」


仲野がそう言うと上層会議にいた対策官達は部屋から出ていった。そして会議室には仲野だけになった。仲野も会議室が終わったのでいつもの仕事をしようと、部屋から出ようとしたときだった。会議室の扉の近くにスマホが落ちているのに気がついた。仲野はそのスマホを拾うと、誰の物か調べるためにスマホをつけた。ロックが掛かっていなかったので、そのまま中に入ったが誰のものか特定できるものはなかった。なので仲野はスマホの画面を消そうとした。しかしその時、間違ってメモ帳を開いてしまった。仲野はそのメモを見ると、会議室に一人でいるにも関わらずこう言ってしまった


「なんだこれは……」


その会議室には一人のはずなのに、つい仲野はそう言ってしまった。しかしそれもそのはず。その手帳にはこう書かれていたのだ


「追い詰められたら捕まる前に自殺しろ。情報を漏らすな by Ace」


と書かれていた。この文章と落ちていた場所から仲野は上層会議のメンバーにスパイがいると考えた。まさか上層会議のメンバーにスパイがいるとは信じたくなかったが、スパイを放置しておくわけにはいかない。なので仲野は本部長室には行かずに、対策2専用室へと向かった……



東京本部、対策2専用室……


「北音寺、ちょっといいか?」


仲野は対策2にいる北音寺にそう言った。北音寺が班長のF班はゾンビを倒すこと以外にも仕事をしていた。それはスパイがいないか監視することだった。少し前にあったスパイ狩りで当時対策4にいた松永健吾を逃がしたことから、スパイを確実に捕まえるためにスパイ対策の仕事を北音寺班に任せたのだ


「なんでしょうか?」


北音寺がそう言うと仲野は部屋の外まで連れ出すとこう言った


「上層会議のメンバーにスパイがいるかも知れない」


北音寺はそれを聞くと一瞬何を言っているのか理解が追い付かなかった。そんな北音寺に仲野は先ほど開いたスマホのメモ帳を見せると、北音寺はようやく理解したらしくこう言った


「ようするにそのスマホの持ち主を特定して欲しいということですね」


「ああ、そう言うことだ。ただ今回はスマホの持ち主が特定できたら一度本部長室に来てくれ」


「分かりました。そのスマホは預かりますね」


北音寺はそう言うと仲野からスパイの物と思われるスマホを受け取った。そして北音寺はスマホを持って対策2専用室に戻っていった……



東京本部、対策1、第四部隊専用室……


「鏡谷、調査中の築井のスマホどこにあるか知らないか?」


そう聞いたのは布田だった。布田率いる第四部隊は「ZN建築株式会社ゾンビ殲滅作戦」で築井中広と接触していて、そのときに築井のスマホを回収していたのだ。なので布田はその築井のスマホに何か重要な情報がないか、対策4の製作官と共に調べていたのだ


「自分は知りませんよ」


「これで終わりだ。もう死ぬしかない……」


鏡谷の隣にいた都倉はそう言うとナイフを取り出した。都倉はゾンビを殺す用ではなく、護身用としてナイフを所持していた。しかし都倉にはやっかいな部分があり、それは考えがややマイナスに向きやすいことだった。ただの自己否定だったら特に問題はないのだが、都倉の場合はナイフやペンで自傷行為をしようとする。なのでそれを止めるのに同じ部隊の人は苦労しているのだった


「まあ落ち着け。元町製作官に持ってないか聞いてくるから。悪いけど鏡谷は都倉がおさまるまで押さえておいて」


「了解です」


布田はそう言うと対策4専用室へと言ってしまった。その間、鏡谷はナイフを持っている都倉の手を必死に押さえていた……





元町世南もとまちせな


中等製作官


武器……拳銃

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