#101 白神
午後三時、東京本部本部長室……
その部屋では仲野がいつも通り作業をしていた。するとそこに意外な人物がやってきた。
ガチャッ!
「お久し振りです。仲野本部長」
その声はどこかで聞いたことのある声だった。仲野は作業をやめて、その声の方を見るとそこには私服姿の水瀬がいた。
「退院したのか。なら明日から任務についてもらおうか」
「了解。とりあえず今日は顔を出しにきただけなので帰ります」
それはただの会話だった。しかし仲野は水瀬のどこかに違和感があった。
「お前、前みたいに世界の闇がどうのこうのとか言わないのか?」
仲野がそう聞くと水瀬は立ち止まった。そして仲野にこう言った。
「そんな事言うわけないじゃないですか。そんなの言うなんて頭の可笑しい人くらいですよ」
水瀬はそう言うと軽く笑いながら部屋から出ていってしまった。たった一人、部屋に残された仲野はボソッとこう言った。
「ブーメランが刺さっているのはともかく、痛い人ではなくなったようだな……」
東京本部、第二会議室……
その部屋には「第六回東京地下処理作戦」に参加するメンバーと宇土がいた。ここでは作戦時にどのようなルートを回るかについて話されていた。と、いってもその下水管に地図は無く、過去の作戦時に撮った写真しかなかった。
「さっそくだがルートはどうする?前回いったルートを行ってもほとんど意味がないだろ?」
そう言ったのは有川だった。この会議室には過去五回の作戦時に撮られた大量の写真があった。しかしこの下水管は広く、まだ行けていないルートも沢山あったのだ。
「ルートについては藍卯と話しますので……」
バンッ!
宇土がそう言った時だった。突然会議室の扉が開くと皆は何事かと思い扉を見た。
「宇土はいるか?」
その女性は突然宇土の名前を出した。なので宇土がこう言った
「ここにいるぞ!」
宇土がそう言うと、その女性は部屋に入り、扉を閉めた。そして宇土に「これを見ろ」と言うと宇土に一枚の地図を投げ渡した
「なにこれ?」
宇土はそう言うと地図を受け取った。そしてその地図を見た。その地図は手書きらしく雑だったが、いくつかの文字を見ると何の地図かすぐに分かった。
「旧下水管の地図か!」
宇土はそう言うとその紙を机に置いた。するとその会議室にいたメンバーはその地図を見ようと宇土の所に集まってきた。
「確かにつくりはあってると思うが、このI-15って何だ?」
そう言ったのは有川だった。有川は地図に書いてあるI-15の意味が分からなかったのだ。
「これは旧下水管全体をA~Iまでに分けたときの数字。いつもお前らが入っているのはA-1から…… だからI-15だとこの辺りだ」
藍卯はそう言うと指でI-15の辺りを触った
「じゃあ今回は今回はこのI-15まで行くのか?」
宇土は藍卯にそう聞いた。すると藍卯はまるでごみ溜めを見ているかのような目で宇土を見た。そしてこう言った。
「馬鹿か?なんでまだE-5までしか踏み込めてないのにそこまで行くんだ?」
藍卯はそう言うとポケットから別の紙を取り出した。宇土達はその紙を覗きこむと、E地区の地図をだと分かった。
「今回はE-6に行け。初参加が二人いるから慣れも含めて簡単なのにした」
E-6に行くと言われると宮島や笛中といった第一回地下処理作戦に参加した人達の顔がくもった。どうやらE-6には苦い思い出があるようだ。
「E-6って白神の場所だよな?」
そう言ったのは笛中だった。すると横にいた宮島は小さく頷いた。しかし林や小牧達にはそこに何があるか全く分からなかった。なので、小牧はあとで宮島に何があったのか聞きに行こうと決意した。
午後五時、東京美術館……
ここには林班がいた。殲滅局の美術館防衛はまだ終わっていなかった。この美術館に飾ってある外国から借りてきた絵が返るまで防衛は終わらない。なので対策官達は24時間交代で美術館にいたのだ。
「林二佐、E-6って危険な場所なんですか?」
美術館の椅子に座っていた小牧は隣にいる林にそう聞いた。
「そりゃぁ旧下水管自体危険だからな。現に一回目で五人、二回目で二人帰って来てないからな……」
林はそう言った。旧下水管ではゾンビに襲われる以外にも、下水管自体が古いので慎重に進まないと生き埋めになってしまうのだ。それに旧下水管で死んだ場合、死体は地上に持ち帰ることは出来ない。生きている対策官も巻き添えになったらいけないということで、置いてくるのがルールになっているのだ。
「ただ、笛中二佐からE-6…… 白神の話なら聞いたことのあるぞ」
林はそう言うと手に持っていたコーヒーの缶を机に置いた。そして笛中から聞いた白神の話を小牧に話始めた……
藍卯丙
作戦立案官
武器……短剣
拳銃




