表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕らはゾンビ対策官  作者: ソーダ
第二章 弱体化
105/347

#095 処理

東京美術館……


東京美術館の外には防衛戦担当の対策官達が座り込んでいた。東京美術館の中、敷地内にいたゾンビは神尾、伊東班の合流であっという間に片付いたのだ。


「林…… この後はどうするの?」


そう聞いたのは冨沢だった。冨沢は疲れきっていて地面に座り込んでいた。しかし、林は防衛戦中ずっと走り回っていたにも関わらず立っていた。


「この後は神尾班と伊東班がここに残るはずだ。民間人が入れるようになるのが十時からだからそれまでの間は本部に戻る」


林はそう言うと上着を脱いだ。今の時間は五時…… 防衛戦が始まってから約二時間がたっていた。林班は笛中班と共に防衛戦の最初からいた。なので上着もゾンビの血によって真っ赤になっていた。けれど上着が赤くなるのはゾンビを倒した証拠でもある。なので赤くなるのはある意味良いことでもあった……



「林!新宮を見なかったか?」


林にそう聞いたのは笛中だった。どうやら防衛戦が終わってから一度も姿を見ていないらしく、生存確認ができていないようだった。


「見てないです。探すなら手伝いましょうか?」


「それは助かる。俺の班と新宮の部隊はこの無駄に広い外を探すから中は頼んだよ」


笛中はそう言うとどこかへ行ってしまった。林が引き受けたからには探さなくては探さなくてはいけない。なので冨沢は渋々立ち上がった。そして再び美術館の中に入った…… 美術館の中は倒されたゾンビの血によって床や壁が真っ赤だった。倒れているゾンビの処理、血の片付けは民間人が入る時間までにやらなくてはいけない。なのでまだまだ対策官の仕事は残っていた……



「冨沢と中鈴は下を頼む。俺は小牧と二階を見てくるから」


「あいよ」


冨沢はそう言うと歩いて行ってしまった。そんな冨沢を見てから林と小牧は階段を登り始めた。そして二階についた。二階は一階よりも状況が酷かった。倒したゾンビによって足の踏み場がなかった。かといってゾンビを踏むわけにもいかないので、仕方なく血の上を進んだ。そしてしばらく歩くと林は突然止まった。



「足音が聞こえる……」


林はそう言うと火炎剣を抜いた。この建物内のゾンビは全て倒したといってもその確証はなかった。なのでゾンビだった時のために小牧も拳銃を取り出した。 しだいに足音が大きくなった。そしてついに横の通路から人が出てきた……



「新宮?」


林はそう言うと剣を下ろした。すると、それに気がついた新宮は林を見てこう言った。


「あら?どうしたの?こんな所で……」


新宮はそう言った。なので林は皆が探していることを教えようとした。すると林が口を開くより早く小牧がこう言った。


「新宮さん。その手に持っているものは何ですか?」


小牧がそう聞くと新宮は右手に持っていた丸い物を林と小牧に見せた。


「再生型ゾンビの首よ」


新宮はそう言ういった。そのゾンビの首は血だらけで、今も切断面から血が垂れていた。


「このゾンビはどこで殺ったんだ?」


林がそう聞くと新宮は来た道を指差してこう言った。


「すぐそこよ」


新宮がそう言うと林は急いでその場所を見た。林はそこを見ると驚いた。何故ならその場所は血だらけでゾンビの体がなかったのだ。


「林二佐、これ肉ですよね?」


小牧は血の海の中にあった肉の塊を槍で差した。林はそれを見るとすぐにその辺りをじっくりと見た。するとすぐ近くにも小さな肉の塊がいくつもあった。



「宮島特官でも倒せなかったゾンビを新宮が倒した……

のか?」


林はそう言うと後ろを見た。そこにはゾンビの首を持って笑っている新宮がいた……




午前十時……


美術館に民間人が入ってきた。作戦が終ってから対策官達は必死に倒したゾンビの処理をしていた。しかし一部はまだ片付けられておらず、二階は関係者以外立ち入り禁止になっていた。



東京美術館二階……


「これはまたぐっちょりと殺りましたね」


そう言ったのは対策5の研究員、蒔村花純だった。彼女は再生型ゾンビを調べている唯一の研究員で、今回は新宮が倒したゾンビを見に来ていた。


「このゾンビを殺ったのは俺じゃないからな」


そう言ったのは林だった。本来なら現場には倒した新宮が来るべきなのだが、新宮は色々な理由を言って本部に戻ってしまったのだ。なので仕方なく二番目にこの現場に来た林がここにいるのだった。


「それにしてもよくここまで斬ったわね。こっちはみじん切りにしなかったのに……」


蒔村はそう言うと新宮の持っていたゾンビの後頭部を持ち上げた。その頭はすでに血が固まって黒っぽくなっていた。


「さすがにこんなに細かい肉を持ち帰る訳にはいかないから片付けちゃっていいわ。宮島特官の捕まえたやつもいるし……」


新宮はそう言うとゾンビの頭を黒い袋に入れた。そして林にモップを渡すと現場から出ていってしまった。


「処理も俺がするのか……」


さすがにこのままにしておく訳にもいかず、林は仕方なくゾンビを片付け始めた……





蒔村花純まきむらかすみ


准高研究官


武器……拳銃

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ