#094 分解
東京美術館……
「二人は一階を頼むよ」
「了解」
丹波はそう言うと右側へ、羽部は左側へと行ってしまった。一階は予想よりゾンビが少なかった。多分中に入ったゾンビは林達の行った屋上に向かったのだろう。新宮はそう思いながら階段を登った。
「なんだこれ?」
新宮は二階につくとそう言ってしまった。階段を登った先はゾンビが倒れていて足の踏み場がなかった。なので新宮は仕方なく血を踏んで進んでいった。
「やっと来たか…… 遅いぞ」
突然新宮の背後からそう聞こえた。新宮が振り替えるとそこには返り血で真っ赤になっている笛中がいた。
「二階はあらかた片付けた。林達を呼びに行って」
「分かりました」
笛中にそう言われると部下の橋中は階段を登っていった。すると笛中は階段を下りようとした。そんな笛中に新宮はこう言った。
「私も三階を見に行ってきますね」
新宮はそう言うと階段を登っていった。しかしそんなこと笛中にとってはどうでもいい事だった。何故なら一階のゾンビを倒すことくらいなら元から笛中班だけでも出来る事だった。全て倒すことが出来ないのは外にいるゾンビだった。なので新宮が何をしようと、新宮の部下が外のゾンビを倒してくれさえすれば全く問題なかった……
「もう倒しちゃったのかな?」
新宮は三階を歩いていた。しかし、三階は倒されているゾンビばかりで特にすることがなかった。すると一体だけ普通に立っているゾンビがいた。新宮はそれを見るとすぐに剣を抜いた。
「やっと会えた…… 会いたかったよ!」
新宮はそう言うと素早く近付きゾンビの首をはね飛ばした。するとゾンビは切断面から血を吹き出して倒れてしまった。
「やっぱ弱い…… ん?」
新宮は見てしまった。倒したはずのゾンビの体から新しい頭が出てくる所を…… 普通のゾンビなら首を斬れば倒せる。しかし、このゾンビは違ったのだ。切断面から新しい首が生えてきたのだ。
「わぁー!やっと会えた……」
新宮はそう言うとゾンビの腹に剣を突き刺した。そして素早く抜くと両足を切り落とした。するとゾンビは床に倒れてしまった。しかし穴の空いた腹が少しずつ埋まっていくのが分かった。と、いっても足は再生していなかったが……
「これならどんなに斬ろうとと壊れないよね!」
その時の新宮は明らかにいつもと違っていた。いつもは仕事をきちんとする人間なのだが、この時は完全に殺人鬼のような目をしていた。しかもこんな目をしていながらも少し笑っていた。
バシュッ!
新宮はゾンビの両手を斬った。するとゾンビは変なうめき声をあげた。しかし新宮はそれを気にすることなく剣で首をはね飛ばした。
「あはは!まだ動いてるよ!さすが!」
新宮はそう言うと剣でゾンビの体を斬りつけ始めた。もちろん手加減などしていない。たとえゾンビの体がバラバラになろうと……
ゾンビ殲滅局東京本部、作戦司令室……
この部屋には東京美術館防衛戦の指揮をとる宇土が、部下と共にいた。今回の防衛戦での無線は全てここに集まるようになっているので、部下達はその対応に追われていた。
「職員の避難完了だそうです」
そう言ったのは屋島だった。すると宇土はこう言った。
「分かった。まだ敷地内に入っていない神尾班と伊東班も中に!」
「分かりました」
宇土はそう指示すると米田のいる机へと向かった。そこでは米田が机いっぱいに地図を広げていた。その地図は東京都の航空写真や東京美術館の案内図など色々な地図があった。
「狙撃場所は分かった?」
宇土はそう聞いた。今から20分ほど前に東京美術館で二人の男性が狙撃されていた。米田はその狙撃はどこから下のかを調べていた。しかし全く手掛かりがない中で調べているので、ここから狙撃したとはっきり言える場所はなかった。
「この円の中のどこかから、としか言えない」
米田は一枚の航空写真を机に広げながらそう言った。その航空写真は東京美術館を中心に、赤色の丸が書いてあった。しかし、この円は半径2000メートルと広く、狙撃場所が全く分かっていないに等しかった。
「何も分かってないのね。引き続き頼むよ」
宇土はそう言うとモニターのある屋島達の所へと戻った。すると油井が突然こう言った。
「狙撃の件ですが、救助中の男性は即死だそうです」
「そうか……」
ゾンビが現れると必ずと言っていいほど死者がでる。しかしそれは対策官がいない時の話だ。今回の場合は対策官が近くにいるなかで起きたことだ。さすがに近くにいた対策官達も狙撃があるとは思っていたかっただろう…… しかし現実では二人の民間人が狙撃されているのだ。死んだ人間はゾンビのように復活しない。今、対策官達に求められているのは、一日でも早く日本にいるゾンビを倒すことだった……
丹波颯友
ゾンビ対策士長
武器……槍
短剣
拳銃




